映画『日日是好日』から樹木希林のインタビュー映像が公開された。
茶道教室に通い続けた約25年にわたる日々を綴った森下典子のエッセイが原作の『日日是好日』。就職の話が出始めた大学生の典子が母親から茶道を勧められ、従姉の美智子からの一押しもあって、嫌々ながら「タダモノじゃない」と噂の茶道教室の先生を訪ねるというあらすじだ。典子役に黒木華、茶道教室の武田先生役に樹木希林、従姉の美智子役に多部未華子がキャスティング。監督、脚本は大森立嗣が務めた。公開日は10月13日。
9月15日に逝去した樹木希林。今回公開されたのは、昨年12月中旬に樹木がオールアップしたときに撮影されたものとなり、役作りや撮影の裏側、初共演の黒木華、見どころについて語っている。
黒木については「思った通りの、実に柔らかくてすべてのものをスイっと受け取って自分の中で消化してスイっと出す」「自分の肉体というものを固めない。普通の女優さんだと普段の顔っていうのをいろいろ、かたち作っちゃうんですよね。普段は淡泊にしておいて、役のときに変わるという一番理想的な役者の姿じゃないかなと思って。だから黒木さんが典子をやると言った段階でこの作品は成立したなというふうに思いましたね」とコメント。
見どころについては「よく、そういうねおんぶにだっこの質問をするの。見どころはなんて。見どころはご自分で見つけてください、というのが観た方へのお願いなんですけど」と述べ、「この本は、森下さんがお書きになってからひと回りしてるわけです12年。あの時代とは違って、今のこの地球がいつどうなるかわからないような、隣の国もわからない、トランプさんもあんなふうだし、いつもスイッチ押せるカバン持ってるみたいだし。そういうときに、“こんなふうに何でもないことを、来年もまた毎年同じことができるということが本当に幸せなんですね”という武田先生のセリフがありますが、やはりそこに行きつく、今の時代に必要な作品になればいいなと思いました」と語っている。
さらに「みんな誰でも踏み迷うのね。若くても年とっても。75歳、後期高齢者になった私が踏み迷わないかというと、とんでもない。毎日、あっと言って踏み迷うわけでしょ。そんなの当たり前、人間としてはね。そんなときに、みなさんのそれぞれ生活の中に、長く続けているもの、趣味と言うかな、そこへ行くと自分はあまり無理しなくてもふと置ける場所を作っておくといいかもしれませんよ」と述べ、最後は「終わり」と両手を挙げて締めくくっている。