■『アンナチュラル』野木亜紀子がオリジナル脚本で贈る「ラブかもしれない」ストーリー
野木亜紀子が脚本を手掛ける連続ドラマ『獣になれない私たち』が、10月10日から日本テレビ系で放送される。
昨年放送された『アンナチュラル』、2016年の『逃げるは恥だが役に立つ』など、話題作を次々に世に送り出している野木亜紀子。両作は共に『ギャラクシー賞』や『コンフィデンスアワード・ドラマ賞』といったドラマ賞を受賞するだけでなく、SNS上で繰り広げられる作品考察やファンアートなど、視聴者の高い熱量が印象的だった。魅力的なキャラクターや物語の誘引力に加えて、現代社会の様々な問題や課題への意識を感じさせる描写やセリフが散りばめられているのも、視聴者が「語りたくなる」要因のひとつだろう。
新ドラマ『獣になれない私たち』はそんな野木のオリジナル脚本による作品だ。「理性的すぎる」男女2人を巡る「ラブかもしれない」ストーリーになるという。演出は『anone』『Woman』『Mother』といった坂元裕二脚本作や、『ゆとりですがなにか』、映画『謝罪の王様』『なくもんか』『舞妓Haaaan!!!』などの宮藤官九郎脚本作をはじめ、数多くのドラマや映画を監督する水田伸生が担当する。
■新垣結衣と松田龍平が「人生うまくいっているようで、ままならない」男女を演じる
本作では新垣結衣と松田龍平がダブル主演を務める。新垣結衣が演じる30歳の深海晶は、常に笑顔で仕事は完璧、誰からも好かれるが「全方位に気を遣うすり減らし女」。一方の松田龍平演じる33歳の根元恒星は人当たりがよく世渡り上手だが、本当は誰のことも信頼していない毒舌男というキャラクターになっている。
共に「人生うまくいっているようで、ままならない」アラサーの2人が、クラフトビールバーで偶然に出会うところから物語は始まる。「ラブかもしれない」ストーリーであると掲げられているだけに、一筋縄ではいかない展開が期待できそうだ。
■新垣結衣×野木亜紀子は4度目タッグ
新垣結衣と野木亜紀子のタッグは本作で4作目となる。新垣はこれまでに野木が脚本を手掛けた『空飛ぶ広報室』『掟上今日子の備忘録』『逃げるは恥だが役に立つ』の3作に主演している。過去3作は原作ものだったが、オリジナル脚本の今回は、どんなキャラクターを見せてくれるのだろうか。
新垣はドラマの放送決定時にオフィシャルサイトで発表されたコメントで、野木とのタッグについて次のように述べている。
・新垣結衣のコメント
本当に信頼する方なのでまたご一緒できて本当に感謝です。なんともいえない安心感があります。それと同時に、だからこそのプレッシャーもあります。脚本に込められた野木さんからの期待と課題に応えられるように頑張りたいです。
松田龍平と新垣の共演は2007年の映画『恋するマドリ』以来。松田はドラマのオファーを受けたことについて、作品への期待を明かしている。
・松田龍平のコメント
面白くなりそうですね。男と女の人間模様が交差して変なことになれば最高ですね。楽しみです。(恒星に関しては)感じたまま演じたいです。言いたいことを正直に言えてしまう人だと思うのでそう言う意味でも。
■脇を固める共演陣に田中圭、黒木華、菊地凛子、山内圭哉、伊藤沙莉ら
さらに2人の脇を固めるキャストには、田中圭、黒木華、菊地凛子、田中美佐子、松尾貴史、山内圭哉、犬飼貴丈、伊藤沙莉、近藤公園、一ノ瀬ワタルらが名を連ねる。
田中圭は新垣演じる深海晶の恋人で、大手デベロッパー勤務の花井京谷役を演じる。黒木華が演じる長門朱里は、晶のストレスの原因となる「謎の女」という役どころだ。菊地凛子は松田演じる根元恒星と最近まで付き合っていたブランドデザイナーの橘呉羽を演じる。
■主題歌はあいみょんの新曲。挿入歌はビッケブランカ
音楽にも注目したい。野木の近作である『アンナチュラル』と『逃げるは恥だが役に立つ』は主題歌が大きなヒットを記録したという共通点もある。
あいみょんは“今夜このまま”について「曲が完成した時は本当に達成感がありました」と明かす。また水田監督も同曲のデモテープを聴いた際に、「23歳のシンガー・ソングライターの読解力、自らの音楽世界との融合力に脱帽した」と賛辞を贈っている。主題歌発表時の2人のコメントは次の通り。
・あいみょんのコメント
ドラマはこれから始まるんですが、曲が完成した時は本当に達成感がありました。今までの自分にない新たな楽曲を作れたのも、台本を読ませて頂いた中で得られた、もどかしい男女の関係性や感情の変化、台詞から滲み出るように浮かぶ表情。そういったものがうまく私の五感を刺激してくれたからだとも思います。ドラマに寄り添いながらも本当に自由に作詞作曲させて頂きました。
・水田伸生のコメント
あいみょんに、野木さんの書いたシナリオを渡し「まずは自由に作ってみて」と伝えた。届いたデモテープ…23歳のシンガー・ソングライターの読解力、自らの音楽世界との融合力に脱帽した。『今夜このまま』掻き鳴らすギターに重なる、その歌声、その詩の世界…。本格的な撮影が始まる前に『獣になれない私たち』が、獰猛に動き始めた。あどけない笑顔の美女子「あいみょん」の中に、「現代を生きる女性」が獣の牙を持って存在している。
挿入歌はビッケブランカの新曲“まっしろ”。こちらもドラマのために書き下ろされた楽曲で、ドラマ初回放送翌週の10月17日に配信リリースされる。
・ビッケブランカのコメント
「バラード歌ってみない?」の一言でスタートしたのがとても印象的な今回のお話でした。
台本を読ませてもらっていたので世界観にも浸かることができ、浸かってしまえばあとは潜水、自然と出来上がった歌です。
ドラマを彩ることができたならとても光栄なことです。
・水田伸生のコメント
ビッケブランカと最初の打ち合わせ時、彼の端正な顔だちに痺れドラマ出演を打診してしまった。(笑)
そんな弛い打ち合わせにも関わらず、ビッケブランカから届いた「まっしろ」は素晴らしい楽曲だった。
デモを聴いて即OKした。さあ、次は出演だ!
■今秋放送の野木亜希子脚本作は『けもなれ』だけじゃない
なおこの10月は野木亜希子のオリジナル脚本ドラマがもう1本放送される。10月20日、27日にNHK総合で放送される『フェイクニュース』だ。
『フェイクニュース』は、大手新聞社からネットメディアに出向してきた記者の東雲樹が、真偽不明のSNS投稿がきっかけとなってフェイクニュースが飛び交う中、真実を追い求めて孤軍奮闘する、というあらすじになっている。フェイクニュースと戦う記者を北川景子が演じる。連続ドラマではなく、全2回の単発ドラマだがこちらにも期待したい。