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細部までこだわった演出は誰かと共有したくなる! 『ガールズ&パンツァー総集編』4DXを体験

2018年10月10日 18:32  リアルサウンド

リアルサウンド

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 応援上映、一気見上映、極上爆音上映……。昨今の映画館では、通常の映画鑑賞以外にも多くの取り組みが行われており、”映画館は静かに見る場所”という固定観念も崩れてきている背景がある。特にアニメ映画においてはそれが著しく感じる。


 そして、一部の映画館には映画のシーン演出によって座席が揺れたり、風が吹いたり、煙が出たりと、五感で映像を楽しめる4DXといった設備までも用意されている。今年に入ってからも『Fate/stay night [Heaven’s Feel]』『劇場版「進撃の巨人」Season 2~覚醒の咆哮~』のような迫力ある戦闘シーンが多く盛り込まれた作品が4DX化し、体験したファンは興奮冷めやらぬ様子だった。


 そんななか、『ガールズ&パンツァー』(以下、ガルパン)が再び4DX版として劇場へ帰還する。『ガルパン』の4DXは、2016年2月『ガールズ&パンツァー 劇場版』が初めて4DX版で公開されて以来、今回が2度目の展開となる。この『ガールズ&パンツァー 劇場版』の4DX上映は、歴代の4DX日本公開作品の中で、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』、『ジュラシック・ワールド/炎の王国』に続いて歴代動員数3位を記録し、大ヒットした。


 すでに人気を獲得している作品だからこそ期待が高まる。今回、4DXで体験できるのはテレビシリーズ全12話とOVAを時系列にまとめた『ガールズ&パンツァー 第63回戦車道全国高校生大会 総集編』。一度見たあのシーンが今度は大迫力の映画館で観られるというだけでもファンにはうれしいわけなのだが、それが4DXとして楽しめるのだから一粒で二度おいしい。また、テレビアニメ冒頭から語られるので、どんな作品か知りたい『ガルパン』入門者にもオススメしたい内容となっている。


■OPで『ガルパン』4DXの洗礼を浴びる


 『ガルパン』の世界では、戦車を用いた武道“戦車道”が華道や茶道と並んで大和撫子のたしなみとされている。この戦車が本作の重要な柱であり、そして4DXとの相性を最大限にまで高めているのだ。


 とある理由で戦車道から逃げている西住みほが、戦車道のない大洗女子学園に転入したところから物語が動き出す。しかし、転校早々なかったはずの戦車道が必修選択科目として復活。戦車道を選ぶことを拒否した西住みほは、生徒会長から戦車道全国大会に出場するよう強要されてしまう。彼女の実家は戦車道で有名な家元「西住流」。そのために生徒会からは目を付けられており、全国大会に出場し優勝をしてほしいと依頼される。廃車寸前の戦車と戦車道未経験の個性的なメンバーと一緒に、唯一の戦車道経験者・西住みほは全国大会へ挑むことに。これが大まかな序盤のストーリーラインだ。


 冒頭は会話パートとなっており、物語が一息つくとChouChoによるオープニングテーマ「DreamRiser」が流れ、4DXの洗礼を浴びることとなる。オープニングに戦車が登場すれば座席が振動し、砲撃をすればダイナミックに衝撃を演出。アプリゲーム序盤のチュートリアルさながらに、今後本作の4DXでどういった体験ができるのかがありありと分かり、いい味を出していた。普段は何気なく聴いていた曲ではあるが、動きが付くとまた違った印象を受けたのも面白い(正直OPから動くとは思ってもいなかった)。


■まるで自分が作中のキャラクターと同じ体験をしているかの気分に


 西住みほが覚悟を決め、戦車や仲間を集めるといよいよ大会が始まる。ここからは戦闘の連続で「ヤバい!」「スゴい!」ぐらいしか言えなくなるほど、著しく語彙力が低下していく。映像で動いている戦車の種類が変われば揺れも変化、戦車から顔を出しているキャラクターの横を弾が通れば座席からも風が起こる。そういった演出へのこだわりが節々から感じられるのだ。戦車による戦闘のほかにも、お風呂シーンでは煙が湯気のようにもくもくと出たり、いい香りが漂ってきたりと、さまざまなサービスも用意されている。


 そして、五感に訴えかける演出は、まるで作中のキャラクターと同じ体験をしているかのような気分になれること間違いなし。「カルロ・ヴェローチェの動き、激しすぎだろ」「マウスの砲撃、衝撃すごすぎなんだけど」「西住姉妹の直接対決、臨場感ハンパないな」なんて思いながら高まっていた筆者は、人前では見せられないほどニヤケていた。それほどまでに細部まで4DXでの利点を盛り込んでいるのだ。


 『ガルパン』を本編、劇場版含め何度も観てきた筆者だが、映像だけでは味わうことのできない別の面白さが4DXにはあると感じた。アニメで良かったシーンがあればそれを他人と共有したくなるように、4DXにも「あそこの演出が良かった」と言い合えるような、その場でしか味わえない醍醐味がある。先述したように今回は総集編なため、既存のファンもこれから『ガルパン』を楽しみたいと考えている人にもオススメな映画だ。ぜひとも、要所要所でこだわりが感じられる4DXを体験してみてほしい。


 最後に一言、「ガルパンはいいぞ」。(文=聖☆あべさん)