モンスターエナジー・NASCARカップ・シリーズ第29戦シャーロット
初の“ローバル”戦は首位走行のM.トゥルーエクス・Jr.がチェッカー目前の接触で無念の脱落
シャーロットで、オーバルとロードコースを組み合わせた“ローバル”でのレースが初開催。カップ・シリーズではマーティン・トゥルーエクス・Jr.が終盤首位争いを展開しますが、チェッカー目前の最終シケインで接触されスピン。デニー・ハムリンが最上位12位、トゥルーエクス・Jr.は14位に終わりました。
エクスフィニティ・シリーズではライアン・プリースが4位、クリストファー・ベルが5位でフィニッシュしました。
Monster Energy NASCAR CUP SERIES
第29戦 Bank of America Roval 400
開催日:9月30日
初の“ローバル”戦は首位走行のM.トゥルーエクス・Jr.がチェッカー目前の接触で無念の脱落
9月30日(日)、アメリカ東南部ノースカロライナ州コンコードのシャーロット・モーター・スピードウェイの“ローバル“で、モンスターエナジー・NASCARカップ・シリーズ第29戦『Bank of America Roval 400』が開催されました。
今レースが行われるコースは、シリーズ最長のコーク600が行われるシャーロットですが、今大会はオーバルの内側にロードコースセクションを新設し、オーバルの途中からそちらへ入っていくという、ロードコース+オーバルの“ローバル”と呼ばれる新しいコースで実施。
スタート/フィニッシュラインの直後、通常のオーバルでは第1ターンに向かう前にインフィールドセクションに入り、右コーナーを含む9つのテクニカルなコーナーを経てふたたびオーバルへ。オーバルのバックストレートエンドには、バスストップ形状のシケイン、そしてオーバルの第4ターンを越えてスタート/フィニッシュラインへ向かう直前にも三角形のシケインが設置された特別コースです。
今大会は、シーズン終盤に選抜された上位ドライバーによりタイトルを争うプレーオフの3戦目。プレーオフ入りした16名のうち、今大会終了時点での下位4名が脱落となるため、各チーム次ラウンド進出を目指し新たなコースに臨みました。
初めての“ローバル”レイアウトでは、金、土曜日に行われた練習走行や予選でもクラッシュが頻発。特にバックストレートエンドで一旦イン側に降り、ふたたびアウト側に戻って行くシケインの出口は難所となり、予選ではデニー・ハムリンがバランスを崩し、その影響でアウト側の壁にヒットし車体後部を破損。
トヨタ勢で最上位の12番手グリッドを獲得したエリック・ジョーンズも、土曜日の練習走行時、シケイン出口に設けられたタイヤバリヤに激しくクラッシュ。プレーオフ第2ラウンド進出を目指すふたりが、ともに決勝レースはバックアップカーに乗り換えることとなり、後方グリッドへ後退という厳しいスタートを強いられることに。また、クラッシュが多発したこのシケイン出口のタイヤバリアは、決勝レースでは形状が変更されることとなりました。
30日(日)午後2時10分、1周2.28マイルの“ローバル”を25周、25周、59周の3ステージ合計109周(248.52マイル:約400km)して競われる決勝レースがスタート。
序盤からロードセクションでは激しく接触しながらのバトルが展開され、1周目に早くも、17番手スタートのダニエル・スアレツが他車と接触。車両左前にダメージを負いながらもそのままレースを続行。5周目には、後方スタートから16位まで順位を上げていたハムリンが、タイヤの異常を訴え予定外のピットイン。最後尾へと後退。
13番手、14番手スタートのマーティン・トゥルーエクス・Jr.とカイル・ブッシュが徐々にポジションを上げていき、ステージ1はトゥルーエクス・Jr.が4位、カイル・ブッシュが7位でポイントを獲得しました。
ロードコース戦など1周にかかる時間が長いコースでは、周回遅れになりにくいため、グリーンフラッグ下でのピット作戦が積極的に用いられます。今大会も、燃料をフルに入れた状態で35周前後走行できるため、レース全体でぎりぎり2回の給油とすることが可能。このため、トヨタ勢の5台を含む20台ほどが、ステージ1と2の間のコーションではピットに入らない作戦を採りました。
このため、ステージ2を上位でスタートしたトヨタ勢は、36周が過ぎたあたりからグリーンフラッグ下でピットイン。ステージ2は全車トップ10圏外で終えることとなりました。
ステージ2終了後、ピット戦略の異なる上位勢がピットへ。ステージ3は無給油では走り切れないため、全車最低1度はピットへ向かう必要があります。ステージ3のスタートは、カイル・ブッシュが3位、ハムリン6位、スアレツが11位と上位に浮上しましたが、トゥルーエクス・Jr.は、ステージ2終盤にバトルの中で接触されスピン。タイヤ交換を余儀なくされ、27位までポジションを落としてしまいました。
コーションの少なかったステージ1,2から一転、ステージ3は再スタートして5周目にコース上の異物によりイエローコーションが出されると、その後も数周毎にアクシデントによるコーションが連発。最初の5周で11ものポジションアップを果たす猛烈な追い上げを見せていたトゥルーエクス・Jr.は、さらなる追い上げでトップ10圏内へ。
この短い間隔で連発したコーションにより、各チームはピットタイミングに悩まされることに。69周目、スピン車両によりイエローコーション。コーションラップを考えても、最後まで走り切れるかギリギリのタイミングでのコーションに。カイル・ブッシュ、ハムリン、トゥルーエクス・Jr.はピットへ。コース上に残りポジションを上げたエリック・ジョーンズとスアレツは、再スタート直後にまさかの接触を喫し、スピンしたエリック・ジョーンズは周回遅れとなってしまいました。
残り燃料を気にしながらも、カイル・ブッシュとトゥルーエクス・Jr.は速さを見せてポジションアップ。残り20周の時点で、カイル・ブッシュが3位、トゥルーエクス・Jr.は4位、残り10周になると、燃料セーブでペースを落としたカイル・ブッシュをトゥルーエクス・Jr.がパス、3位へ。
残り8周というところで、クラッシュによるイエローコーションが発生。3位のトゥルーエクス・Jr.、4位のカイル・ブッシュを含むトップ6台はピットインせず。残り6周で再スタートが切られましたが、その直後、1コーナーへの進入で多重クラッシュが発生。カイル・ブッシュを含む13台が巻き込まれ、レースは赤旗中断となってしまいました。
スタートで出遅れたカイル・ブッシュは行き場を失い壁にヒットした後、後続からも突っ込まれ、痛恨のリタイア。好スタートを切っていたトゥルーエクス・Jr.はこの多重クラッシュには巻き込まれず、再開後、残り3周での再スタートは首位で切ることに。
既に獲得ポイントで次ラウンド進出は決めていたトゥルーエクス・Jr.ですが、次ラウンド以降での戦いに向け、優勝でのプレーオフ・ポイント(次ラウンド進出リセット時にも持ち越せるポイント。勝利は5点)獲得へ向け首位を逃げました。その後方では、7度のシリーズチャンピオン経験者であるジミー・ジョンソン(シボレー)が追走。プレーオフ当落圏外にいるジョンソンは、この時点で2位でも次ラウンド進出となりますが、こちらも勝利を目指し猛プッシュ。
2台は接近戦のままファイナルラップに入り、チェッカーを目前にした最後のシケインで、逆転を狙ったジョンソンがブレーキングでミスしスピン。トゥルーエクス・Jr.は逃げ切れたかと思いましたが、スピンしたままシケインを突っ切ったジョンソンの車両がトゥルーエクス・Jr.に追突し、トゥルーエクス・Jr.もスピン。トゥルーエクス・Jr.はほぼ手中にしていた勝利を逃すこととなってしまいました。
この結果、トヨタ勢最上位はハムリンの12位。しかし、ハムリン、そして1周遅れの30位に終わったエリック・ジョーンズの2名は、ランキングで及ばず、プレーオフ第1ラウンドで脱落することとなりました。
これでプレーオフは最初の3戦、第1ラウンドを終え、上位12名が3000点にリセット(+プレーオフポイント)。トヨタ勢では既に進出を決めているカイル・ブッシュが首位、トゥルーエクス・Jr.が3位につけ、次ラウンド進出を賭けての3戦を戦います。
次戦第30戦は10月7日(日)、アメリカ東部デラウェア州ドーバーのドーバー・インターナショナル・スピードウェイで行われます。
ドライバー マーティン・トゥルーエクス・Jr.
「最終コーナーでの彼(ジミー・ジョンソン:シボレー)は完全に限界を超えていて、無謀なアタックでした。サイド・バイ・サイドのまま最終コーナーを抜けていられれば、最後まで勝利を争う素晴らしいフィニッシュになったはずでした」
「私は14位フィニッシュでも、プレーオフ次ラウンド進出は決めていましたが、あのまま行けば、彼も進出できたはずだったのですが。それ以外もクレイジーなレースでした」
「ステージ2終盤、同じコーナーで2号車(ブラッド・ケゼロウスキー:フォード)に追突され、27位まで後退を余儀なくされたときは、今日のレースは終わったと思いました。しかし、そこから追い上げることができました。勝てなかったのは残念ですが、次戦からの戦いに気持ちを切り替えます」
NASCAR XFINITY SERIES
第28戦 Drive for the Cure 200
開催日:9月29日
初“ローバル”戦で2台のトヨタ・カムリがトップ5
9月29日(土)にNASCARエクスフィニティ・シリーズの第28戦『Drive for the Cure 200』がシャーロット・モーター・スピードウェイの“ローバル”で開催されました。
エクスフィニティ・シリーズのプレーオフは2戦目を迎えました。トヨタ勢では若手のクリストファー・ベルとブランドン・ジョーンズがプレーオフ最初の1ふたりに入っており、ベルは前戦リッチモンドで勝利を挙げ、既に次ラウンドへの進出権を手にしています。
今大会はシャーロットに新たに作られたロードコースとオーバルを組み合わせた“ローバル”での初レース。日曜日のカップ・シリーズ戦に先駆け、エクスフィニティで初めてのレースが行われました。
29日(土)午後3時22分、1周2.28マイル“ローバル”を15周、15周、25周の3ステージ合計55周(125.4マイル:約200km)して競われる決勝レースがスタート。
今季10戦目の出場となるライアン・プリースが10番手、ベルが13番手から徐々にポジションを上げていきましたが、ベルはステージ2でのスタートポジションを考え、ステージ1終盤の12周目にグリーンフラッグ下でピットイン。ステージ1はプリースが6位、ベルは18位となりました。
ステージ2スタート前に上位勢がピットインしたため、ベルは3位へとポジションを上げ、再スタート。ステージ2はイエローコーションがないまま推移し、27周目に首位に立ったベルがステージウィン。プリースも4位へとポジションを上げてステージを終えました。
ステージ3は先にピットに入っていた車両が多く、ベルが13位、プリース21位で再スタート。2台は後半戦、着実にポジションを上げていき、プリースが4位、ベルが5位でチェッカーを受けました。
次戦第29戦は10月6日(土)、ドーバー・インターナショナル・スピードウェイで行われます。
ドライバー クリストファー・ベル
「予想していたよりもグリーンフラッグでの走行が多いレースになりましたが、どこにもない、本当にユニークなこのコースを本当に楽しむことができました」
「インフィールドは非常に低速で、滑りやすく、テクニカルですが、バックストレッチのシケインは逆にとても高速で、全力でアタックすることが要求されます。オーバルとロードコース、両方の魅力が詰まったコースでした」