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スルガ銀に厳しい「お灸」、金融庁が抜本的改善を迫るワケ メガバンク出身弁護士が考察

2018年10月09日 08:52  弁護士ドットコム

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金融庁は10月5日、スルガ銀行に対し、投資用不動産向けの新規融資について6カ月間の業務停止命令を出した。同時に、経営管理体制を抜本的に強化するよう業務改善命令も出した。シェアハウス「かぼちゃの馬車」をはじめ、融資審査の書類を改ざんするなど不適切な融資が横行し、外部弁護士でつくる第三者委員会も問題の根深さを指摘していた。


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金融庁は、「営業現場で創業家の後ろ盾を得た特定の執行役員が、厳しい業績プレッシャー、ノルマ、叱責等で営業職員を圧迫した結果、法令等遵守を軽んじ不正行為を蔓延させる企業文化が醸成されたことが認められる」とした。


今回の行政処分は、スルガ銀行にどのような「お灸」をすえることになるだろうか。みずほ銀行に約17年勤務した経験をもつ天野仁弁護士に聞いた。


●業務停止命令、厳しい処分

ーー業務停止命令などの行政処分の根拠を教えてください


「国は、銀行法26条により、銀行の業務の健全かつ適切な運営を確保するため必要があると認めるときは、銀行に対して、改善計画の提出を求めたり(業務改善命令)、業務の全部または一部の停止を求めたり(業務停止命令)することができます」


ーー業務停止命令まで出されることは珍しいことでしょうか


「実際には、銀行に問題があった場合、業務改善命令だけが出されることの方が一般的で、業務停止命令まで出されるのはきわめて異例であり、厳しい処分といえます。業務停止命令の対象となった不動産向け融資は処分以前から社会問題化していたため、今回の処分は後追い的ですが、スルガ銀行の収益の柱であったので、経営に与える影響は大きいと思います」


●スルガ銀行、抜本的な出直し迫られる

ーー今回の処分でスルガ銀行が負うダメージは大きいでしょうか


「はい、そのように思います。銀行は、金融機関として、国民から広く預金を集め、それを融資するなどして、社会の中で必要なところにお金が円滑に流れるようにする機能を担っているわけですが、銀行が国から免許を受けて、そのような重要な役割を担えるのは『おかしなことをやらない』という信用があるからです。銀行にとって、信用は存立基盤です。


今回のスルガ銀行に対する処分は、シェアハウス向けの過剰融資などで、『おかしなことをやった』と認定されたためのものですが、不動産向け融資の6カ月停止という処分内容にとどまらず、銀行の信用を毀損したことがより重大であり、スルガ銀行は抜本的な出直しを迫られることになると思います」


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
天野 仁(あまの・ひとし)弁護士
弁護士法人ステラ代表弁護士。取り扱い業務は、一般民事事件、家事事件、企業法務、刑事事件など多岐にわたる。みずほ銀行に約17年間勤務した経験を活かし、企業の顧問や会社関係の訴訟、金融商品投資被害等の事件を扱うほか、離婚の財産分与や相続の遺産分割などの家事事件においても金融資産の調査などに強みを持つ。
事務所名:弁護士法人ステラ
事務所URL:https://stellalaw.jp