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King & Prince、Superfly、倉木麻衣、槇原敬之、ソナポケ……それぞれの“愛”を表現した新作

2018年10月09日 08:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 ポップスの王道はやはりラブソング! ということで、恋愛はもちろん、親子、友達、がんばっている人たちへ向けたエールなど、様々な愛の形を表現した新作を紹介。ロマンチックな愛を高らかに響かせるKing & Princeの新曲、コンプレックスを抱えた人たちを勇気づけるSuperflyのニューシングルなど、それぞれの愛の在り方を感じ取ってほしい。


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 デビューシングル『シンデレラガール』(2018年5月)が初週売上歴代2位となる57.9万枚のセールスを記録。ジャニーズ系アイドルの新たな潮流を生み出すことに成功したKing & Prince(以下、キンプリ)の2ndシングル『Memorial』は、前作のコンセプトを継承したロマンチックでラブリーなポップソングに仕上がっている。作詞に坂室 賢一、作曲に坂室、Susumu Kawaguchiというジャニーズ系の楽曲を数多く手がけている作家陣を起用。ストリングスとピアノを軸にしたミュージカル的なサウンド、ドラマチックなメロディライン、“何があっても永遠に一緒だよ”的な歌詞が共存したこの曲は、王道のアイドルとしてのキンプリのイメージを決定づけることになるだろう。


 完全復活を印象づけた前作『Bloom』に続くSuperflyのニューシングルの表題曲「Gifts」は、第85回NHK全国学校音楽コンクールの中学校の部・課題曲として越智志保が書き下ろした楽曲(作曲は蔦谷好位置との共作)。アコースティックギター、ストリングスを軸にした有機的なサウンドのなかで描かれるのは、コンプレックスを抱えながら日々をかんばっている人たちに対する、温かくて力強いメッセージ。リスナーのそばに寄り添うような親しみやすさと大らかな解放感をあわせ持ったボーカル、〈あなたがあなたでありますように〉というラインに心打たれるミディアムバラードだ。彼女自身も「自分が中学生のときにそばにあってほしかった」とコメントしているが、10代だけではなく、幅広い年齢のリスナーの心を捉える普遍的なパワーを持った楽曲だと思う。


 昨年大ヒットを記録した「渡月橋 ~君 想ふ~」(劇場版『名探偵コナン から紅の恋歌(ラブレター)』主題歌)を含む倉木麻衣の新作『君 想ふ ~春夏秋冬~』は、四季折々の情景と切なくも純粋な恋心を描いた楽曲を軸にした初のコンセプトアルバム。美しい風鈴の音からはじまり、琴の音を取り入れたサウンドが広がる「花言葉」、和楽器とダンストラックを融合させた「今宵は夢を見させて」など、日本語の響きを活かした歌詞、叙情的なメロディラインを中心とした楽曲をじっくり堪能できる。一つひとつの言葉に深い思いを込め、繊細に揺れる心情を映し出すボーカルも印象的。和の雰囲気を醸し出す倉木麻衣の新たなスタイルは、このアルバムによって確立されたと言えそうだ。


 幼少期における、大きな存在に包まれ、守られ、愛されていたときの記憶が、大人になってからの自分を支えてくれている。前作『理由』(2016年8月)以来、約2年ぶりとなる槇原敬之のニューシングルの表題曲「記憶」は、〈言葉を超えた想いの記憶〉をテーマにしたナンバー。力強い推進力をもたらすエレクトロトラック、深いメッセージを含んだ歌詞にナチュラルなグルーヴを与えるソングライティング、すべての言葉を手渡すようなボーカリゼーションがひとつになったこの曲には、槇原敬之のベーシックな音楽性と常に進化を求める姿勢が刻み込まれている。槇原敬之のツアーメンバーでもあるTomi Yoがストリングスアレンジを加えた「記憶 Strings Version」、英語詞バージョンの「Memories」も収録。


 ko-daiの病気療養を経て、復活第一弾となったシングル『一生一瞬』、映画『honey』の主題歌「108~永遠~」などを含むSonar Pocket(以下、ソナポケ)の7thオリジナルアルバム『flower』。前向きな意志を刻んだアッパーチューンから切ない恋心描いたバラードまで、ソナポケの様々な表情が楽しめる作品だ。特に印象的なのは、“負けたくない”という思いと“いつか花を咲かせてみせる”という希望を綴った「つぼみ」、そして、大切な人たちに向けた感謝、“これからも一緒に花を咲かせよう”という願いを込めたタイトル曲「flower」。大きな壁を超えて音楽活動を再開させた3人はこのアルバムによって、自らの軌跡を振り返りつつ、この先の道筋をしっかりと掴み取ったようだ。


■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。