10月7日に行われたWRC世界ラリー選手権第11戦ラリーGB。このイベントに3台のトヨタ・ヤリスWRCを投入したTOYOTA GAZOO Racing WRTは、ヤリ-マティ・ラトバラが総合2位、エサペッカ・ラッピが総合3位とダブルポディウムを獲得する結果となった。
ラリーGB競技最終日のデイ4はウェールズ北部の森林地帯で3SS、同じく北部スランディドノの海岸沿いを舞台に2SSの計5SSで争われた。このうちスランディドノが舞台のステージはグラベル(未舗装路)ではなく、ターマック(舗装路)で争われた。
前日、総合首位のセバスチャン・オジエ(フォード・フィエスタWRC)と4.4秒差の総合2番手につけていたラトバラは、デイ4最初のステージであるSS19でステージ2位に入り、ギャップを1.7秒に短縮。続くSS20ではステージ優勝を飾り、3.6秒リードでトップに浮上した。
しかし、続くSS21~23ではオジエが連続でトップタイムを刻んで逆転。最終的にラトバラは10.6秒差の総合2位でラリーを終えた。
総合3番手でスタートしたラッピはSS19でトップタイムを記録するなど活躍し、総合4位と35.3秒差の総合3位を獲得。ラリー・フィンランドから続くチームのダブルポディウム獲得に貢献した。
前日、ラジエータートラブルでデイリタイアしたオット・タナクはメカニックの手によりマシンが修復されたためデイ4に出走。ステージ上位5名にボーナスポイントが与えられるパワーステージのSS20ではステージ2位に入り、ドライバーズランキングで貴重な4ポイントを持ち帰った。最終リザルトは総合19位だった。
ラトバラとラッピが揃って表彰台を獲得したことで、トヨタはマニュファクチャラーズランキングでのリードをさらに拡大。ランキング2位のヒュンダイとの差を20ポイントとしている。
ドライバーズランキングでは、タナクが3位に後退したものの、トップのティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)とは21ポイント差。シリーズ残り2戦での逆転戴冠に望みをつないだ。
■「今回に関してはオジエのほうが一枚上手だったようだ」とトミ・マキネン
チーム代表のトミ・マキネンは「今日、ヤリ-マティ(ラトバラ)は素晴らしい戦いをし、力を出し切って走った。ただし、今回に関してはオジエの方が一枚上手だったようだ」とラトバラとオジエを賞賛している。
「それでも、我々の2台のクルーたちがまたしても表彰台に立てたのはとてもうれしく、マニュファクチャラーズランキングにおいても大きなプラスとなった」
「もちろん土曜日のオット(タナク)のトラブルは残念だし、ドライバーズタイトルの獲得が少し難しくなったのは否めない。しかし、まだ大量得点の可能性はあるし、オットは現在最強のドライバーだから、状況が大きく変わる可能性はある」
「最終戦ラリー・オーストラリアまで、チャンスは十分にあると思っているよ」
ラトバラは「最初の2本のステージは良い結果だったが、その後勢いを失ってしまった。もしかしたら、タイヤ選択を誤ったのかもしれない」とコメント。ラッピは「チームにとって重要なポイントを獲得することができてうれしく思う」と語っている。
またタナクは「ドライバーズタイトル争いはまだ続いているが、状況はかなり厳しくなった。決して簡単ではないが、最後まで諦めることなくタイトルに挑み続ける」と逆転戴冠へ意気込んだ。
WRC第12戦はスペイン・サロウを中心に10月25~28日に開催されるラリー・スペイン(ラリー・デ・エスパーニャ)。この大会はシリーズで唯一グラベルとターマックの両コンディションが混在するミックスサーフェスで争われる1戦だ。