今シーズン最高位となる6番手と7番手グリッドからスタートしたF1日本GP、鈴鹿サーキットでのトロロッソ・ホンダ。しかし、レースは予選順位より後方となるピエール・ガスリーが11位、ブレンドン・ハートレーも13位に終わった。
いったい、日曜日の2人に何が起きたのか。
まず、ハートレーは、スタート直後に出遅れ、1コーナーまでにチームメートのガスリーとフォース・インディアの2台、そしてセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)に先行を許した。
「スタートでホイールスピンがひどく、まったくトラクションがかからなかった。特にスタート前の手順に問題があったとは思わない。次のレースに向けて、データを確認したい」とスタートを振り返るハートレー。
スタートで出遅れたものの、この時点でハートレーのポジションは10番手。まだポイントを目指して戦える位置にいた。しかし、その後、ハートレーは地力に勝るレッドブルのダニエル・リカルドだけでなく、カルロス・サインツJr.(ルノー)にもオーバーテイクを許してしまった。
「スタート時のひどいホイールスピンによって、リヤタイヤがオーバーヒートしてしまい、最初の5、6周は全然トラクションがかからなかったんだ」(ハートレー)
28周目にピットインしたハートレーは、スーパーソフトからソフトにタイヤを交換し、逆転を賭けてコースに復帰した。ウイリアムズ2台の後ろに入ったハートレーはウイリアムズの2台、35周目にランス・ストロール、36周目にセルゲイ・シロトキンを立て続けにオーバーテイクするが、ザウバーのマーカス・エリクソンに手こずる。
「タイヤにブリスター(オーバーヒートにより表面に気泡ができてグリップダウンしてしまう現象)が起きて、思うようなペースで走ることができなかった。昨日はあんなに有望な予選リザルトだったのに、2台ともポイント圏外だなんて本当に悔しいよ」(ハートレー)
一方、スタートポジションを守って、1周目に7番手でコントロールラインを通過したガスリー。「第1スティントは最高だった。ロマン(・グロージャン/ハース)の後ろに走行していたときはマシンの感触が本当に良かった」という走りで、1回目のピットストップまでは、一時5番手まで上がるポイント圏内を走行していた。
■悔しさ残るガスリー、トロロッソ・ホンダファンの応援に驚き
しかし、29周目にピットインし、タイヤを交換してコースに復帰すると、セーフティカーラン中の5周目にミディアムタイヤに履き替えてロングランしていたマーカス・エリクソン(ザウバー)の後ろに回ってしまう。
「たぶん、アンダーカットされてしまったんだと思う。僕には全体の状況がわからない。僕はタイヤの状況をエンジニアに伝え、ピットストップの判断はチームが行った。結果的に、ピットストップを引っ張りすぎた形となった」
それでも、ガスリーはコース上で2台のザウバーをオーバーテイクし、33周目にエリクソン、続く34周目にはシャルル・ルクレールを抜き去り、再びポイント圏内を走行する。しかし、ザウバー勢2台をオーバーテイクするのにタイヤを酷使したガスリーのリヤタイヤはハートレー同様にブリスターが発生。入賞まで残り4周というところでサインツJr.にオーバーテイクを許し、ポイント圏内からひとつ順位を下げる11位でフィニッシュした。
「終わった後で戦略について言うのは簡単だということはわかっているけど、それでも今日はもっとうまくやれたかもしれないから、今後に向けてしっかりと分析したい」
残念な結果に終わったガスリーだが、ホンダのホームコースである鈴鹿で受けた温かい応援には感謝していた。
「トロロッソ・ホンダのTシャツやキャップに身を包んだファンをこれほどサーキットで見たのは初めてだ。スタンドからの声援もセバスチャン・ベッテルよりも多かったんじゃないかな。だからこそ、そんなファンにポイントをプレゼントしたかった。だから、今はとても残念な気持ちでいっぱいだ」
10位のサインツJr.がチェッカーフラッグを受けた後、ブリスターを抱えて帰って来た2台のトロロッソ・ホンダ。レースを終え、コースを1周する彼らに鈴鹿のファンは惜しみない拍手を贈っていた。