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YMCKの8bitサウンド演奏アプリ『YMCK Player 2』はどう進化した? その演奏力を検証

2018年10月06日 12:41  リアルサウンド

リアルサウンド

 チップチューンバンドのYMCKから、8bitサウンド演奏アプリ『YMCK Player 2』がリリースされた。プラグイン『Magical 8bit Plug』のようなチップチューンサウンドを、スマホで手軽に演奏できるというものだ。10月7日現在はiOSのみに対応。


(参考:バーチャルYouTuberは音楽を“見せられるか” 「ときのそら」の新たな挑戦と可能性


 2と名付けられている通り、本アプリは前作『YMCK Player』の進化版にあたる。装飾を極力排除し、より演奏面での自由度が高めたとのこと。2のリリースによって『YMCK Player』はストアから姿を消してしまったが、動作の様子は以下の映像を参考にして欲しい。


 では、新しくなった『YMCK Player 2』を見ていこう。


 3本のラインがあり、それぞれにペンタトニック、ダイアトニックなどのスケール設定が可能。タッチやスライドで演奏できるが、スケールのおかげで適当にスライドするだけでも楽曲的に統一感のあるサウンドになる。ドを基準にしたオクターブの境目でタッチエリアの色が変わるため、演奏する際はここを基準にすると良い。


 スライド演奏は、スマホを左右に傾けることでも可能。どこか鍵盤を押さえながら傾けるだけで、いかにもソロプレイヤーらしい演奏になる。スライド中にラインを移動すれば、いかにも複雑なグリッサンドを奏でているように聞こえるだろう。スマホを奥側に傾ければ、強烈なビブラートもかけられる。


 これらのラインはカスタマイズが可能。キー、スケール、トーン(三角波、矩形波、パルス波)、エコーの設定ができる。例えば、中央のラインは基本のダイアトニックスケールにしておいて、上下にはペンタトニックやハーモニックマイナーを設定しておき、楽曲のソロパートでそのラインを演奏する、といった使い方も面白い。これらのライン設定は「Scene」としてまとめて保存できる。


 キーさえ合わせておけば、『YMCK Player 2』を使ったライブ演奏も難しくない。スライドを使った縦横無尽な演奏であれば、少々スケールが違っていてもユニークなアクセントに聞こえるだろう。とりあえずダイアトニックに着地しておけば問題ないと思われる。


 もちろん、ラインの数も設定ができる。ラインが多いほどタッチエリアが狭くなってしまうが、あえて多くのラインとスケールを作っておいて、画面全体を動き回ってカオスなサウンドを生み出す方法もある。こうした表現は、鍵盤からはなかなか生まれにくい。


 オプションでテーマをダークに変えれば、目に優しいだけでなく、明暗差の激しいステージでも視認性が確保できる。


 鍵盤というインターフェイスからは生まれにくい表現を楽しめるのが強みだが、一方でクロマチックスケールが無いため、クラシックに演奏するのは難しい。従来的な鍵盤演奏をしようとするのではなく、スケールを活用したアドリブ的なライブ演奏が『YMCK Player 2』の強みだろう。音色に関しては、さすがのYMCKということで素晴らしく8bitだ。マイクに通しても全く問題ない。


 スライドやビブラートを駆使した自由闊達なチップチューンソロを、ぜひとも体験して欲しい。(ヤマダユウス型)