モビスター・ヤマハ・MotoGPは、第15戦タイGPの初日フリー走行2回目(FP2)で新型エアロフェアリングを投入した。
前戦の第14戦アラゴンGPで、未勝利のレース数が23戦にまで積みあがり約1年優勝のないヤマハ。今季もライバルメーカーと同様にエアロパーツ付きのフェアリングを装着してレースを戦っている。
今季前半戦も苦戦してるヤマハは、後半戦の緒戦となる第10戦チェコGPの決勝翌日である8月6日に行われたブルノオフィシャルテストで、エアロフェアリングと前後フェンダーをテストして話題となった。ブルノテストで試したフェアリングは、その後のレースウイークで使われてはいないが、肉抜きされたリヤフェンダーは使用されている。
しかし、成績の上がることのないヤマハ。第11戦オーストリアGPでは、ヤマハのグループリーダー兼プロジェクトリーダーである津谷晃司氏がライダーふたりに対する謝罪会見を行った。
津谷氏は加速面、パワーデリバリーで苦しんでいることを明かし、マシンパフォーマンスについて謝罪。問題点の改善をすることも語った。
また、第13戦サンマリノGPで、チームディレクターであるマッシモ・メレガリはテストライダーにジョナス・フォルガーを招集したことをインタビューで答えた。そしてフォルガーが既にプライベートテストに参加していることを明らかにした。フォルガーは、2017年にヤマハのサテライトチームから参戦し、ヤマハYZR-M1でレース経験がある。
フォルガーをテストライダーに起用した経緯は、ライバルチームがヨーロッパラウンドでワイルドカード参戦し、マシン開発に貢献していると思われているからだ。フォルガーをテストライダーに迎えるまで、ヤマハのマシン開発を担うのは、ファクトリーライダーのバレンティーノ・ロッシ、マーベリック・ビニャーレス、そして日本のテストチームとなっていた。
苦戦している経緯は他にも考えられ、コンセッション(優遇措置)が与えられていないヤマハは、シーズンの開幕戦からエンジンの開発凍結が課され、エンジンはひとりあたり7基までと制限されている。ロッシは、エンジンにも問題があるのではないかと考えているが、今季いっぱいはエンジンの変更ができないため空力面での対策をするしか方法がない。また、電子制御を担うECUも全車共通のため変更ができない。
そんなヤマハが、フライアウェイラウンドとなる第15戦タイGP初日に新型のフェアリングを投入。FP2でロッシのマシンに新型フェアリングが装着され周回を重ねた。FP2での結果は9番手で、トップのアンドレア・ドヴィツィオーゾとコンマ3秒差の1分31秒398だった。予選と決勝で使用されるかはわからないが、新型フェアリングで一矢報いる結果を残すことはできるだろうか。
メレガリはタイGP初日を終え「大きな成果を見ることができました。アラゴンのあと対応策を練ってきた成果が現れたのだと思います。私たちはフリープラクティス第1セッションでベースとなるセッティングを作り上げ、ライダーたちが気持ちよく乗れるようになったことで1-2を獲得。これがチームの自信につながりました」とコメントしている。
「そこで午後からのセッションでは新型カウルとタイヤオプションのテストを行いました。オフシーズン中のテストのときとはスペックが異なっているので、これはどうしても必要な作業でした。明日もこの好調を維持できるようハードワークを続けます」
2019年はモンスターエナジーをタイトルスポンサーに昇格させるヤマハ・ファクトリー。サテライトチームには新規参戦のセパンレーシング・チームを迎える。後半戦は残り5戦。調子を上げ来季に向けて流れを取り戻せるだろうか。次戦は10月19日から第16戦日本GPが開催される。