ABBフォーミュラE選手権に参戦するアウディスポーツ・アプト・シェフラーは10月4日、2018年から19年にかけて行われる“シーズン5”用新型マシン、『アウディ e-トロンFE05』を発表した。
2シーズン続けてのドライバーズタイトルは逃したものの、2017/18年シーズン最終戦のニューヨークE-Prixで、ルーカス・ディ・グラッシとダニエル・アプトが2位、3位フィニッシュを果たし、見事逆転でのマニュファクチャラーズタイトルを獲得したアウディ。
シリーズ創設当初からアプト・スポーツラインとタッグを組んで電動フォーミュラカーシリーズに参戦している陣営は、今年3月から“Gen2”と呼ばれる第2世代シャシーにテクニカルパートナーのシェフラーと共同開発した新型パワートレインを搭載した『アウディe-トロンFE05』の実走テストを開始している。
また、シーズン4の終了後には2018/19年シーズンのドライバーにディ・グラッシとアプトを継続して起用することを発表すると、9月下旬にはこれまでDSオートモビルとパートナーシップを結んでいたヴァージン・レーシングに新型パワートレインを供給することがアナウンスされた。
そんなチームは今回、改めて新型マシンを公開するとともに、その概要を発表した。従来よりもパワフルで1レースを乗り換えなしで走り切る能力を手に入れたe-トロンFE05には心臓部に“アウディ・シェフラーMGU03”と呼ばれるモーター、インバーター、ギアボックスからなる新型モータージェネレーターユニットを搭載。また、新たにブレーキ・バイ・ワイヤ・システムが組み込まれた。
これによってブレーキバランスは常に電子制御によって最適に分散され、減速でエネルギーを得る回生がさらに効率的に行えるようになるという。
アウディ・フォーミュラEプロジェクトを統括するトリスタン・サマースケール氏はアウディe-トロンFE05の開発について、その特徴を次のように語った。
「我々はシングルギアの基本的コンセプトをe-トロンFE04から継承すると同時に、そのすべての部分で効率化をさらに高める開発を行い、それらを洗練させることに成功した。ドライブトレインの約95パーセントは新しくなっており、エンジニアたちの努力によって重量は10パーセントも削減することができたんだ」
最大240kW(340PS)のパワーを発揮し、最高240km/hをマークするというこのパッケージはすでにFIA国際自動車連盟の公認を受け、今後は2019年のシーズン最終戦まで変更することができない。しかし、ソフトウェアに限っては改善が図れる可能性が残されているという。
チームは今後、シーズン5に参戦する全チームが集うバレンシアでの公式テストに参加し、その後レースカーを2018/19年シーズン開幕戦の舞台であるサウジアラビアに輸送する予定だ。