中小企業基盤整備機構は10月3日、動画「【感情崩壊】今日、部下が会社を辞める。」を公開した。動画は働き方改革に向けた生産性向上の必要性を訴えるため、特設サイトのPRの一環で制作されたもの。
動画は、上司が部下に「3年間お疲れ様でした」と花束を渡すシーンから始まる。穏やかなBGMと共に、上司は部下との思い出を回想する。映像には二人が一緒に働いた日々が映し出され、
「入社したときから、声は小さいし、要領は悪いし、苦労ばかりだった」
「あっという間の3年間。私はいい上司だっただろうか」
というナレーション。微笑む上司のアップのあと、「中小機構」というロゴが出て終わり、と見せかけるが、映像には続きがあった。
「勝手にいい話にすんな!」社員から突き飛ばされる上司
ロゴが消えると、男性社員に突き飛ばされる上司の様子が映し出される。男性は上司に
「勝手にいい話にすんな! うちの会社、次から次に若手が辞めて……いい加減気づけよ!」
と怒鳴る。呆然とする上司をよそに、物を投げる人、ケンカを始める人などで職場がめちゃくちゃになっていく。映像の合間には
「中小企業の73.7%が人手不足を感じている」
「人手不足を残業などの業務過多で解決する中小企業が60.7%」
「中小企業の新入社員の52.4%が3年以内に離職」
など、中小企業を取り巻く労働環境の調査結果が映し出された。ITツールの導入で会社と社員の負担を減らせると呼びかけて動画は終わる。
「ついにこういうCM作ったか…」「これからは社員を大事にする企業が伸びる」
この動画について同団体はプレスリリースで、今年1月に公開し、200万回以上された動画「社畜ミュージアム」に込めた想いを具現化したものとしている。
兼任化や残業で人手不足に対応する中小企業は6割にのぼる一方、生産性向上のためIT活用をする企業は半分ほどと指摘。これは、中小企業の経営者に「ITは高コストで効果も不明」という意識があり、企業に対する情報提供も不足しているためだと分析する。こうした状況を変えるために、低コストで導入できるITツールを紹介するサイトを作ったそうだ。
ネットでは動画を見た人から「予想外の結末。人は財産。これからの時代は社員を大事にする企業が伸びる」、「最後まで動画を閉じるな。この広告は二度はじまる」という声や、「つ…ついにこういうCM作ったか…」と驚く声も寄せられている。