2018 JAPANESE FORMULA 3 CHAMPIONSHIP
RACE REPORT Vol.07
2018 全日本F3選手権
第15戦/第16戦/第17戦/第9戦
9月29日(土)/9月30日(日)
スポーツランドSUGO
9月29日(土)~30日(日)、全日本F3選手権シリーズ第7大会(第15戦、第16戦、第17戦、第9戦)が、宮城県スポーツランドSUGOで開催された。今大会は、2度に渡って順延された第9戦の代替戦を含む、異例の1大会4レースイベントとなった。
今大会では、公式予選で記録したベストラップタイムで第15戦、セカンドベストラップタイムで第16戦のスターティンググリッドを決定し、それぞれの決勝レース順位で第17戦、第9戦のスターティンググリッドを決定するという変則的なルールが適用される。
■公式予選
週末のスポーツランドSUGOは天候が下り坂で、予報では土曜日には崩れ始め、早ければ夕方、遅くとも日曜日には雨が降り始めるとされていた。土曜日午前8時から予選セッションが30分間の予定で開始されると、笹原はまず1セット目のニュータイヤを装着してコースイン、早速ウォームアップにかかった。空には鉛色の雲が低く垂れ込み、気温は17度と想定より低いのでタイヤの発動は遅れる。
通常よりもタイヤに負荷をかけて発熱を促しタイムアタックに備え、2周でタイヤを暖め3周目にタイムアタックにかかり1分13秒547を記録した。しかしこのときコース上でアクシデントのため赤旗が提示され、セッションが打ち切られていたのでタイムは無効となった。ピットに戻りセッション再開を待つ間、チームは2セット目のニュータイヤを装着、タイムアタックに備えた。
規則上、ベストタイムとセカンドベストタイムを問われるので1回目のタイムアタックが無効となり、残り2回でタイムアタックを行なわなければスターティンググリッドが後退してしまう。チームは、日曜日に雨が降り、ドライタイヤでのレースは土曜日の2レースのみになると予想。1セット目のタイヤは赤旗の影響でそれほど消耗しなかったのでレース用とし、もう1セットを温存。残りの2セットを使ってセッション再開後2回のタイムアタックを行う作戦とした。
午前8時17分、予選セッションが再開された。笹原は2セット目のニュータイヤでコースイン。8周目に1分12秒838、9周目に1分12秒661を記録して3番手につけ、ピットへ帰還した。チームは、笹原のインプレッションを聞きフロントのリバウンドストッパーを強め、サスペンションのリバウンドを抑制するセッティング変更を行ない、3セット目のニュータイヤを装着してコースへ送り出した。
その後、セッティング変更によりフロントがより機敏に向きを変える感触になったことを確認。タイヤを暖めると14周目に1分12秒495、15周目に1分12秒248を記録。一旦4番手に下がっていたベストタイム順位を3番手に戻すと、チェッカーフラッグが振られる最終ラップにもタイムアタックを敢行、1分12秒628を記録して公式予選を終えた。この結果、第15戦、第16戦ともスターティンググリッドは3番手と決まった。
■第15戦 決勝
土曜日午前11時25分から18周のシリーズ第15戦決勝レースが始まった。コースはドライコンディション。笹原は1セット残ったニュータイヤを装着してスターティンググリッドに付いた。笹原はこれまでスタートのクラッチミートの際、「食われ」気味であったことを考慮し、駆動をよりかける方向でクラッチミートを行った。ところが予想以上に駆動がかかったためにリヤタイヤがホイールスピンして加速に出遅れ、5番手まで順位を落としてしまった。
ようやく加速した笹原は第1コーナーを#1金丸悠選手の背後で通過、その背後にぴたりとつけ、最終コーナーで十分に接近してストレートを駆け下ると3番手と0秒111差の4番手で1周目を終えた。勢いに乗った笹原は2周目の第1コーナーのインに飛び込み、#1金丸選手をかわして3番手へ進出、前を追った。2周目を終えた段階で前を走る2番手宮田莉朋選手との差は1秒973である。
その後、背後の#1金丸選手をじりじりと引き離していくが、2番手#37宮田選手との間隔も周回毎に0秒2~0秒3ずつ開き、3番手単独走行となる。結局そのまま笹原は18周を走りきり、前回岡山国際サーキットで開催されたシリーズ第14戦に続き表彰台に上がった。
■第16戦 決勝
公式予選、第15戦を終えた土曜日は午後になって暑い雲が低くなり小さな雨粒が落ち始めた。しかしコースを濡らすほどではなく、シリーズ第15戦を戦うマシンは全車、ドライタイヤを装着してコースインしスターティンググリッドに付いた。装着したタイヤは公式予選で最初に使用しセッションが赤旗で中断され、タイムアタックを1ラップのみ行っただけの1セット目タイヤである。
スタート合図の瞬間、笹原は第15戦でのスタートミスを考え慎重にクラッチをミート、3番手のスターティンググリッドから好スタートを切った。2番手スタートの#37宮田選手の背後につけ、前を走る#37宮田選手が最終コーナーでわずかにアンダーステアを出し失速したスキをついてスリップストリームに入ってストレートを駆け抜けた。
スリップストリームが抜け、2周目の第1コーナーのイン側に飛び込もうとしたが#37宮田選手は譲らず、アウト側へ切り返してクロスラインを狙うがそれもかなわず、結局3番手のポジションに落ち着いた。2周目を終えた段階で2番手を走る#37宮田選手との間隔は0秒672、4番手を走る#93大湯都史樹選手との間隔は0秒642である。背後の#93大湯選手との間隔を周回毎に0秒5以上のペースで引き離していくが、前を走る#37宮田選手との間隔もジリジリと開き始める。7周目には前との間隔は1秒045、後との間隔は3秒163に開き、単独走行となった。
この頃から小雨が降り始め、路面が湿り始めてグリップが落ち、ペースダウンを強いられるが単独走行にて安定した周回を続け3番手を守る。レース終盤、雨の量で路面が湿ったり乾いたりとコンディションが微妙に変動したが、3番手を守って18周のレースを走りきりチェッカーフラッグを受けた。その結果、岡山大会から通算3連続で表彰台に上がることとなった。
■第17戦 決勝
台風24号接近の影響で朝から雨が降り、コースはウェットコンディションとなった。大会審査委員会はスケジュールを変更。第16戦決勝レースを25周から20周に短縮したうえで午前11時20分にスタートすると決めた。早朝強く降った雨は弱まり、第17戦スタート進行時にはほぼ雨は降っていない状態となったが、路面は完全に濡れたままの状態でスタート進行が始まった。
チームは、基本セッティングは前日のまま、ダウンフォースを増やし前後のロール剛性を低く設定する雨用セッティングを施すと、レインタイヤを装着してマシンをスターティンググリッドへ送り出した。
スタート合図の瞬間、2番手グリッドにいた#37宮田選手が遅れ、笹原は間髪をいれず2番手に抜け出してレースを始めた。1周目を終えた段階でトップを走る#36坪井選手との間隔は1秒988。3番手に続いた#1金丸選手との間隔は1秒728。笹原は長いレースの間に路面が乾く可能性を考え、レインタイヤの消耗を抑えるため濡れた路面を選んで走り追撃を続けた。
後続との間隔は0秒5前後のペースで開くが#36坪井選手との間隔も0秒2前後のペースで広がる。途中、路面コンディションが好転した15周目、16周目には#36坪井選手と笹原の間隔が縮まったが、レース終盤雨が降り始めて路面コンディションが悪化するとふたたび#36坪井選手がペースを上げ、さらに間隔が開いた。
結局2番手でレースをフィニッシュ、表彰台に上がった。
■第9戦 決勝
本来は7月末の岡山大会で開催予定だったシリーズ第9戦は、2回にわたる順延を経て今大会で開催されることになった。日曜日、午後3時5分のスタート時には、霧雨が降り始めた。大会審査委員会は当初予定の18周レースを15周で行う決定を下していた。チームは、コース上の水の量は午前中のレースとほぼ同等と判断し、笹原が午前中のレースで若干アンダーステア傾向を感じたことを受け、フロントのアンチロールバーを弱める方向でのみセッティング変更を行なった。
「レインタイヤをNEWにするかUSEDにするか迷いましたが、雨の量と今年のタイヤ特性に確信が持てなかったので、大事をとって午前中のレースと同じニュータイヤで戦うことにしました」とエンジニアの伊与木。
雲が低くなって暗くなり霧も降りてくるなか、午後3時5分にレースがスタートした。3番手から無事に加速した笹原は第1コーナーのアウト側からアプローチしたが、順位を上げることはできず3番手のままレースを始めた。変更したセッティングについては、スターティンググリッドに付くウォームアップでは好感触だったものの、実際にレースが始まると思うようにペースは上がらなかった。
笹原は4番手の#8片山義章選手を引き離していったが、2番手の#37宮田選手との間隔は縮まらず、約2秒弱の間隔を維持して追った。すると5周目を過ぎ徐々に間隔が縮まり始め、8周目には1秒337まで迫った。しかし9周目以降はフロントタイヤが過熱してペースダウン、間隔は逆にわずかに開いて追撃は終わった。結局笹原は3番手のまま15周を走りきってチェッカーフラッグを受けた。
2日間で4レースを戦った笹原は4レース連続(通算5レース連続)で表彰台に上がり、それぞれ5点、5点、7点、5点のシリーズポイントを獲得、通算ポイントを58点に伸ばしてドライバーランキング3番手へ進出した。ThereeBond Racingはチームランキング3番手を維持し2番手のTODA RACINGには1点差へと詰め寄った。
■ドライバーコメント
「予選前の専有走行2日間でいろいろセッティングを試し、良い感触を得てレースウィークを迎えました。予選では2セット目のアタックで少しアンダーステア気味だったので、前日に試したセッティングを思い出し、リバンプストッパーを強めてみたところ良くなりました」
「ここまで予選がひとつの課題でしたが、今回は持っているパフォーマンスをすべて出し切ることができました。ただトップ2台との差を比べると、最終戦に向けてもやることは多いな、と考えさせられるセッションでした」
「予選で土曜日の決勝2レースとも3番手からスタートすることができたので、4レースとも表彰台に上がることができましたが、いろいろ課題も見つかった週末でした。次は最終大会ですが、富士スピードウェイはチームとしても得意なコースなのでなんとか勝利をあげてシーズンを締めくくりたいと思っています」