2018年10月04日 10:22 弁護士ドットコム
同棲していた不倫相手に脅迫され、息子の家に避難しているというタカシさん(60代・男性)は、不倫相手の家に置いてきたギターのことで頭を抱えている。
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タカシさんは出稼ぎのため、妻と暮らす地方から上京。バツイチ子持ちの女性に一目惚れし、都内にある女性の家で同棲を始めた。しかし、女性は精神的に不安定で、自殺未遂を繰り返し、暴力暴言が絶えなかった。
我慢の限界に達したタカシさんが別れ話を切り出すと、女性は包丁を取り出し、「別れるなら死んでやる」と暴れ出した。恐怖を感じたタカシさんは、財布と携帯のみ持ち、神奈川県で一人暮らしする息子の家に避難したという。
冷静になったタカシさんは女性の家に置いてきた荷物が気がかりになった。中には、大切なギターがあるのだ。取りに行こうにも合鍵は女性の家に置きっぱなし、女性は大量服薬して入院しているという。女性の娘に電話しても「荷物は捨てる。勝手に家に入ったら殺す」の一点張りで話にならないそうだ。
タカシさんは「せめてギターだけは取り返したい」と切に願っている。法的にギターを取り返す方法はないのか。増田勝洋弁護士に聞いた。
ーー法的にギターを取り返すことはできるのか。
「ギターの所有権はタカシさんにあります。そのため、最終的には訴訟で返還請求をすればこれを認める判決が出ます。判決が出た後、女性から任意に返還されなかった場合は、強制執行をして取り返すことになります」
ーー訴訟をする以外にできることはないのか。
「もちろん、内容証明郵便で返還を求める旨の書面を女性に送ることはできます。いきなり訴訟をするよりそのほうが穏便で良いと思います。それで話がつかなければ、弁護士に交渉してもらうこともできます」
ーータカシさんはギターを捨てられるのではないかという恐怖も抱いている。万が一ギターを捨てられた場合、女性やその娘に対してなんらかの請求をすることはできるのだろうか。
「自分の所有物を捨てられたのですから、ギターを捨てた相手(通常、女性かその娘のどちらかになると思います)に対し、損害賠償として、その時点でのギターの時価に見合う金銭を支払うよう請求できます。
ただし、そのギターに何らかの思い出があって大切にしているとしても、物について慰謝料の請求は認められない場合がほとんどです」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
増田 勝洋(ますだ・かつひろ)弁護士
大阪弁護士会、司法委員会、司法修習委員会委員
著書:『事例にみる遺言の効力』(共著、執筆担当)
事務所名:増田法律事務所
事務所URL:http://www.masuda-law.net/