F1第16戦ロシアGPの週末、珍しい事故が起きた。グランプリ開幕前日の9月27日(木)の深夜、ハースのガレージ裏にあるタイヤ保管エリアで火災が発生したのだ。
火災はサーキットに駐在していたセキュリティスタッフによって直ちに消火され、すぐに鎮火。ケビン・マグヌッセン用のタイヤが2セット消失したものの、被害がそれ以上広がらなかったのは、不幸中の幸いだった。
どうして火災は起きたのか。ピレリのマリオ・イゾラ(ヘッド・オブ・カーレーシング)は次のように説明する。
「ピレリが作成し、FIAを通してチームに通達している指示書では、タイヤの管理は週末を通して60℃で行われ、80℃で2時間加熱した後、セッションの1時間前に110℃まで温度を上げられることが許されている。つまり、夜間は60℃でタイヤは保温されているはずなので、なぜ火災が発生したのかわからない。これまで、タイヤウォーマーに問題が起きて、タイヤが使えなくなったというトラブルは何度かあったが、今回はコントロールボックスから出火したと聞いている。それ以上のことはわからない」
ちなみに火災によって使用不可能となったマグヌッセンのタイヤは、ハイパーソフトとソフトだったが、グランプリが開幕する前だったため、タイヤはFIAによって交換が許可され、ピレリは直ちに20セットある予備のタイヤから2セットをハースへ引き渡した。
だが、もし火災がグランプリ期間中に発生し、しかもタイヤが未使用ではなく、ユーズドだったら、「状況は少し複雑になっていただろう」とイゾラは話す。今回、8位に入賞したマグヌッセンがレースで使用したタイヤは、奇しくも火災で消失したものと同じコンパウンドだった……。