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K-POPにおけるグループの枠超えたコラボ Red Velvetら参加のSM STATIONまでの歩みを辿る

2018年10月01日 12:42  リアルサウンド

リアルサウンド

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 SMエンターテインメントの楽曲プロジェクト・STATIONにてRed Velvetのスルギ、I.O.I出身のチョンハ、GFRIENDのシンビ、(G)I-DLEのソヨンによる事務所を超えたコラボレーションソング「Wow Thing」が発表された。


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 K-POP界、特にアイドル周辺においては事務所を超えたコラボレーション楽曲がリリースされることはあまり多くない。日本の『FNS歌謡祭』などのように年末の歌謡祭や授賞式で事務所の異なるアイドルが一緒に楽曲カバーをしたり、色々な事務所のグループで歌謡祭限定のユニットを作ってオリジナル楽曲をパフォーマンスしたり、というイベントならではのコラボレーションはある。2016年の『SBS歌謡大典』では韓国の人気ミュージシャン・10cmとEXO・チャンヨル、TWICE・ジヒョ、BLACKPINK・ロゼがアコースティックなコラボレーションステージを披露し、3大芸能事務所と呼ばれるSM・YG・JYPの共演で話題を呼んだ。


 また、TV番組企画において事務所を超えたコラボレーション楽曲がリリースされることは珍しくない。人気番組だった『無限に挑戦』でお笑い芸人と人気ミュージシャンのコラボレーション楽曲を作る『無限挑戦歌謡祭』が開催された時はIU、G-DRAGON&テヤン、HYUKOH、Zion.Tやパク・ジニョンなど錚々たるメンバーが参加し、韓国の音源チャートの1位から5位までを占領したこともある。


 様々な年代・ジャンルの女性芸能人達が協力して様々なミッションに挑戦するバラエティ番組『オンニ(お姉さん)達のスラムダンク』での企画からはUnnies(オンニズ)が誕生。Unniesはシーズン1では女優のラ・ミランから少女時代・ティファニー、シーズン2では芸人のキム・スクから元2NE1のMINZYや先日JYPからYGエンターテインメントに移籍して話題となった『プロデュース101』出身のチョンソミという10代から40代まで幅広い年齢層メンバーから成る女性アイドルグループである。シーズン1でリリースした「Shut Up」、シーズン2の「Right?」は共に音源チャート1位を記録し大ヒットとなった。


 また、今年7シーズン目を迎えた人気ヒップホップサバイバル番組『SHOW ME THE MONEY』からリリースされるバトル課題楽曲も、毎回レアで豪華なフィーチャリングやコラボレーションが実現することも。リリースされる度にチャート上位を占めるのはすでにお馴染み感がある。


 このように、TV番組を通しては事務所に関係なく様々なコラボレーションやヒット曲が生まれているが、純粋に音楽活動のみでの話になるとIUとZICO、IUとG-DRAGONのようなフィーチャリング名義や、MVに他事務所のアイドルが出演するケースではなく、楽曲そのものでコラボレーションを果たすことは珍しい。


 そんな中で活発に他事務所間コラボ曲をリリースしているのが、先述のSTATIONである。特にJYPとはチョ・グォン(現在はCUBEエンターテインメント所属)&元Miss A・ミン&少女時代・ヒョヨンや、ペク・アヨン&Red Velvet・ウェンディなど、何曲かコラボレーション企画を行なっている。


 また、昨年より提携を始めて話題となったMYSTICエンターテインメントとは2017年に“雪だるまプロジェクト”というSUPER JUNIOR-Mのヘンリー(現在は個人事務所)が中心になって両事務所のアーティストをプロデュースする、というTVバラエティ番組を通してNCT・マーク&パク・チェジョンのコラボ曲、Red Velvetによるユン・ジョンシンカバー曲などをリリースした。この2曲のMVはSUPER JUNIORのシンドンが演出。後に両事務所のアーティストが出演した『雪だるまコンサート』も開催された。また、パク・チェジョンはソウルや日本の『SMTOWN LIVE』にも出演。NCT・マークとのコラボレーションソング「Lemonade Love」を披露した。


 音盤は強いが音源シェアではYGやJYPよりは弱いと言われるSMだが、STATIONではBoA&Beenzino、K.Will&EXO・ベクヒョン、10cm&EXO・チェン、エリック・ナム&Red Velvet・ウェンディ、M&D(SUPER JUNIOR・ヒチョルとTRAX・ジョンモのユニット)&MAMAMOO・フィイン、NCT・ドヨン&gugudan・セジョンなど、いわゆる“音源強者”と呼ばれる他事務所アーティストと自社アーティストのコラボレーションを活発に行なっている。また、シン・ヨンジェとf(x)のルナといった歌唱力に定評のある歌手や、オニュとイジンアやRoco(Rocoberry)などの個性派ミュージシャン、人気のインディーズミュージシャンとのコラボも発表している。


 活発に他事務所とのコラボレーションを行なってはいるが、現状STATIONからリリースされた曲で一番ヒットした曲は少女時代・テヨンソロ曲「Rain」であり、そのほかは大ヒットと呼べる曲はまだ出ていない。しかし、単に自社のアーティスト楽曲をリリースするだけではなく、様々な事務所からアイドルやアーティストを集めてのコラボレーションやスタンリー・クラークやアストリッド・ホリデイなどの欧米のアーティストの曲に加え、YESEO、PENOMECO、THE SOLUTIONSといったインディー系実力派アーティストの曲をリリースするなど、今までのSMエンターテインメントにはなかった音楽的な試みを果敢に続けている。貴重なプラットフォームとして、今後の動向が気になるところである。(DJ泡沫)