トップへ

ブランパンGT第10戦:ブラックファルコン完勝も決勝後に失格の波乱。チームの抗議で結果は暫定扱いに

2018年10月01日 12:21  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

2018ブランパンGTシリーズ第10戦バルセロナ スタートシーン
ブランパンGTシリーズは9月30日、スペイン、カタロニア・サーキットで2018年シーズン最終戦が行なわれ、メルセデスAMGチーム・ブラックファルコンの4号車メルセデスAMG GT3(イェルマー・ブールマン/マーロ・エンゲル/ルカ・ストルツ組)がポール・トゥ・ウインを飾った。しかしレース後、同車に失格処分が下ったため2位フィニッシュとなったメルセデスAMGチーム・AKKA ASP、88号車メルセデスAMG GT3(トリスタン・ボーティエ/ダニエル・ジュンカデラ/ラファエル・マルチェッロ組)が繰り上がりでの優勝を手にしている。

 ブランパンGTシリーズ・エンデュランスカップおよび、スプリントカップをあわせたシリーズ総合チャンピオンの行方がかかった第10戦バルセロナは30日、晴天のなかで決勝レースを迎えた。

 総合チャンピオンに王手をかけている88号車AMGのマルチェッロとランキング2番手につけるベルジャン・アウディクラブ・チームWRTの1号車アウディR8 LMSを駆るクリストファー・ミース、アレックス・リベラスのポイント差は18.5点。2週間前のスプリントカップ最終戦に続き、ここでもメルセデスAMG対アウディの戦いに焦点が集まった。

 そんなシリーズ最終戦でポールポジションを獲得したのは4号車メルセデス。これに1号車アウディが2番手で続き、88号車メルセデスは6番手からのスタートに。現地時間15時過ぎに始まったレースでは、まず4号車メルセデスのエンゲルがホールショットを決める。その後方では3番手スタートのR-モータースポート、ニッキー・ティーム駆る76号車アストンマーチンV12バンテージGT3が2番手に浮上。1号車アウディのミースは3番手からタイトル獲得の絶対条件である優勝を目指すこととなった。

 3時間レースの序盤は落ち着いた展開をみせ、トップを行く4号車メルセデスが2番手以下との差を徐々に広げていく一方で、76号車アストンマーチンを先頭とする2番手争いは9番手までが数珠つなぎの状態に。

 そのなかで6番手スタートのマルチェッロはじわりじわりと順位を上げ、スタートから約60分後に迎えた1回目のピットストップまでに3番手までポジションを上げることに成功。ジュンカデラに交代した第2スティントは終始3番手を走ることとなったものの、2回目のピットイン後には、先にピットに入ったアストンマーチンを交わして2番手となった。

■マルチェッロの総合チャンピオンが決定も、エンデュランスカップの勝者は……

 首位を走る4号車メルセデスは、スタートから悠々とひとり旅を続けていたが、中盤にセーフティカーが導入されたことで20秒以上あった後続とのギャップを失ってしまう。それでも、ペースに勝るブラックファルコンは、その後も続いたアクシデントによる2回のセーフティカー出動に動じることなくトップを守り続け、スタートから3時間後にトップでチェッカーを受けた。総合2位には88号車メルセデスが入り、3位はレース中盤以降、1号車アウディと接戦を繰り広げていたSMPレーシングの72号車フェラーリ488 GT3が入っている。

 逆転タイトルには優勝するしかなかった1号車アウディは、スタートから2時間20分を迎える直前に7コーナーで76号車アストンマーチンに仕掛けるが、2台は接触。アストンマーチンがグラベルに飛び出して8番手に下がると、5番手に留まった1号車アウディにはドライブスルー・ペナルティが課されることとなった。

 この結果、マルチェッロがブランパンGTシリーズ総合チャンピオンに輝くと同時に、メルセデスAMGチーム・AKKA ASPが総合チームタイトルを獲得している。一方、エンデュランスカップのドライバーズおよびチームズタイトルは、今レースを制したメルセデスAMGチーム・ブラックファルコンと同チームのブールマン、エンゲル、ストルツ組が獲得したと思われた。

 しかし、シリーズを運営するSROはレース後、4号車メルセデスのエンジンにつながる吸気口に、FIAによってホモロゲートされていないテープが使用されているのを発見。これがブランパンGTシリーズ・スポーティングレギュレーション第6条および第11条に抵触しているとして、同車をレース結果から除外するとアナウンスした。

 この裁定を受けてチームは当該違反が「パフォーマンス上、利益を得ていない」と反論。控訴する意思を示したため、今レースの結果は暫定扱いとなっている。

■ニッサンGT-R、レクサスRC Fは波に乗れず厳しい結果に

 最終戦バルセロナに臨んだ日本車勢にとって、今レースは厳しい戦いとなった。トレーシング中に肩を負傷したルーカス・オルドネスに代わってヤン・マーデンボローを迎えたGT SPORT・モチュール・チームRJNは、23号車ニッサンGT-RニスモGT3が13番手からスタートするが、オープニングラップに他車と接触したことでドライブスルー・ペナルティを受けて後退してしまう。

 さらに中盤にも接触による30秒ストップペナルティを受け、23号車GT-Rは最終的に23位でフィニッシュした。僚友の22号車GT-Rは40番手スタートから一時は30番手前半までポジションを上げたものの、レース終盤に1コーナーでクラッシュを喫し42位完走となった。

 エンデュランスカップのランキング首位で今戦を迎えたエミール・フレイ・レーシングは、エースカーの14号車レクサスRC F GT3が19番手から上位を目指すも9周目にガレージイン。そのままレースを終えてしまった。また、114号車レクサスもレース中盤にマシンストップしリタイアとなっている。