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新しい地図の原動力とは? 『NSTまつり2018』で語った1周年への思いとNAKAMAへの感謝

2018年10月01日 07:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾が、新潟・万代シテイにて開催された『NSTまつり2018』に登場。NST新潟総合テレビ開局50周年を記念し、パラスポーツ体験イベントを行なった。パラサポのスペシャルサポーターを務める3人が、パラアスリートの方々とトークを繰り広げ、さらにパラスポーツを体験。そして、パラスポーツ応援ソングの「雨あがりのステップ」を披露し、会場を大いに盛り上げた。


(関連:新しい地図とならどこまでも新たな挑戦ができるーー真っ白なスタートからの1年を振り返る


■久しぶりの新潟に三者三様のリアクション
 今回、会場に入ることができたのは、事前の抽選で当たった約2300人。だが、開場前の万代シテイには、明らかにその何倍もの人が集まっていた。リハーサルの音が漏れ聞こえてくると「わー!」と歓声が上がる。あらためて、彼らの持つ国民的人気を実感する。3人そろってが新潟にやって来たのは、SMAPのコンサート以来。きっと全国に、こうして彼らとの再会を心待ちにしているファンがいるのだろう。今後も多くの地を訪れる機会が増えることを、期待せずにはいられない。


 「新潟のみなさん。こんにちは!」ステージに3人が登場すると客席からは大きな声援と共に、一気にスマホやデジカメが向けられた。この日も写真撮影&SNSへのアップ大歓迎だ。思い思いに撮影し、SNSで発信していく。そして、会場に入ることができなかったNAKAMAのもとに届き、世界へ拡散されていく……そうして新しい地図が広がっていくのだ。


 3人の笑顔を見れば、ファンと直接会う時間はやはり特別なものなのだということがひしひしと伝わってくる。「みなさん、元気でしたか?」という稲垣の問いかけに、黄色い歓声で応えるファンたち。その様子を見て、草なぎは「雨が降ってきそうな感じですけど、大丈夫だよね?」とニッコリ。そして、パリのルーブル美術館で初の個展を開催した香取は「この間までフランスのパリにいたんですけど、パリから次はどこに行くかなーって、もう新潟しかないな、と!」と目を閉じ、ギュッと拳を握りしめながら力説して笑いを誘った。


 オープニングから大盛り上がりの3人は着席して、そのままトークタイムへ突入。新潟にはコンサート以外でも来たことがあるか、という話題になると、香取が「番組でも来てるよね? そう、僕の記憶はみなさんが持ってますんで」と、観客と直接会話を繰り広げる場面も。また、稲垣は「プライベートではないですね。でも長岡の花火大会は他と違って、人生観が変わるって聞いてたんで。来年は3人で」と提案。さらに、佐渡ヶ島に興味があるという草なぎは「夢の中では何度も訪れているんですけど。“佐渡のつよぽん“と呼ばれたい」と熱烈アピール。ぜひ、その願いを月1回のレギュラー生放送『7.2 新しい別の窓』(AbemaTV)で実現させてほしいものだ。


 ちなみに今回、前日に新潟入りした3人。ぬかいわし、豚しゃぶ、のどぐろなど夕飯に食べたものを挙げ、「東京じゃあんなおいしいお魚なかなか食べられないので幸せでした」と静かに語る稲垣、「おいしかったな~」とうっとりする香取、「いっぱい食べたから元気モリモリです!」とガッツポーズする草なぎ。個性あふれる三者三様の反応が、実に楽しい。


■草なぎ本気の“いきみ顔“に、みんな笑顔に
 パラスポーツの面白さを広めようと、実際に彼らが体験してみせることに。草なぎと稲垣がステージを降りて、香取がその様子をモニタリング。まずは、草なぎがマクドナルド山本恵理選手の指導のもと、パラ・パワーリフティングに挑戦。持ち上げる重さはもちろんのこと、その美しいフォームも競われるという奥深さにも触れる。目の前にある50キロの重さを見て、稲垣が思わず「僕の体重と変わらないな」と口をつくと、すかさず香取が「(僕の体重は)ふたつ分くらい……」とかぶせる。思わぬ反応に稲垣が「すみません、サラッと自分が細いアピールしました!」と謝罪し、会場から笑いが溢れた。


 そんな中、草なぎは「おいしょー!」と、まず20キロのバーのみを軽々と持ち上げる。ふだんから鍛えていることもあり、「フォームが美しい」と大絶賛される。そのまま40キロも順調にクリアし、勢いにのった草なぎは「僕が63キロくらいなので」と、自分の体重とほぼ同じ60キロにトライ。「頑張れー!」会場の声援を受けるも、胸まで下ろしたバーがなかなか上がらない。腕はプルプルと震え出し、歯を食いしばって奮闘する。草なぎのガチな表情に「顔、真っ赤!」と香取が大爆笑。そんな“いきみ顔“が見られるのも、この競技の魅力だと解説されると「つよぽんのいきみ顔!」と稲垣も嬉しそう。惜しくもギブアップとなった草なぎは「これねー、すごい闘うね、自分と! 一瞬ね、ひとりになった、ここで! ありがとう、レインボータワー」と、興奮気味に語り場を和ませた。


 続いて、稲垣は健常者も参加できるという車いすバスケットボールに挑戦。森谷幸生選手が競技用の車いすを「アグレッシブにプレイできるようになっている」と説明すると、「ええ、アグレッシブ吾郎なんで」と、やる気満々。さっそく車いすに乗り込み、くるくるとダンスするように操って見せると、草なぎが「ローリング吾郎!」と命名。モニタリングする香取も「かわい~い~!」と合いの手を入れて賑やかす。だが、いざシュートとなると、なかなか決まらない。何度もチャレンジと失敗を繰り返していると「もう入れて! 生放送だから」香取がプレッシャーをかける。そこは、さすがスーパースター。パサッと気持ちよくネットを揺らし、会場からは大喝采。香取からの「ギリギリOKです」の言葉が聞けて、ホッと胸をなでおろす稲垣だった。


■「どんなきっかけでもいい!」2020年に向けて
 稲垣と草なぎが再びステージに戻ると、スペシャルゲストとしてパラリンピックのレジェンド、山本篤選手が登場。北京、リオパラリンピック走り幅跳び銀メダリスト、さらに平昌冬季パラリンピックにもスノーボードなど3種目出場を果たした山本選手は、プロのパラアスリートの道を開拓し続けている。道なき道を突き進むという意味では同じフロンティア精神を持つ3人と、息の合ったトークを展開。


 特に、朝日新聞パラリンピックスペシャルナビゲーターとして、平昌冬季パラリンピックを体験した香取は「自分もそんなふうに思ってなかったはずなのに……」と、パラスポーツに対してどこか過保護に見ていたところがあったようだと語る。世界では健常者のアスリートと変わらない厳しい目でパラアスリートも評価されている。そのなかで、素晴らしいプレーをした選手に大声援が贈られているのだと、経験を通じて得た新しい視点を披露した。


 さらに、「どんなきっかけでもいいからパラスポーツに興味を持ってもらって、そのうえで2020年を迎えてもらいたい」と熱弁。山本選手も「イケメンだったり、カワイイ選手だったり、義手や車いすなどを含めてファッションがオシャレだったり、そういうところからでもいいです。体験して“楽しかったな、じゃあどんな選手がいるのかな“って調べてもらってもいいですし、せっかく今日こういうふうに来ていただいたので、山本篤っていう選手を応援していただければ(笑)」と、ユーモアを交えて盛り上げた。


 そんなトークの直後に行なった香取と山本選手のボッチャ対決は、まさに対等な真剣勝負。“的となる白いボールに自分のチームカラーのボールを近づける”というシンプルなルールのボッチャは、「このセットを買いたい」と言うほど、すっかり香取のお気に入りスポーツだ。イキイキとプレーする香取に、パラスポーツが決して遠いものではないことを感じさせる。3人が架け橋となることでパラスポーツがどんどん身近になっていく。いつか障がいの有無に関わらず、みんながこのスポーツを楽しむ日が……そんな未来が着実に近づいているのを感じさせる一幕だった。


 また、2020年に向けてさらなる“OEN(おーえん)“プロジェクトもスタート。今後、パラサポが全国各地で実施するイベント会場で、東京パラリンピックを目指す選手に応援の気持ちを届ける寄せ書きフラッグを作成していくという。さっそく草なぎが“一緒にジャンプ!!“と書き込むと、続いてペンを取った稲垣に「ごろさん、左利きだっけ」とまさかのツッコみ。「今さら何を! 左利きの稲垣吾郎です」と、おどける微笑ましいシーンも。そんな稲垣が書いたメッセージは“心一つに頑張ろう!!”。そして、香取が“Arigato! OEN!!”と書き込み、さらにSNSで広まるように#oen2020も添えた。


 そして、最後に聞こえてきたのはパラスポーツ応援ソング「雨あがりのステップ」だ。雨がちらつく中、手を広げて伸びやかに歌う3人。途中からパラスポーツ選手たちもステージに上がり、最後はみんなで大合唱。雨足が強くなってきたにも関わらず「雨も上がってきたんじゃないですか? そんなことないですか?」とニヤリ。客席から雨雲を吹き飛ばすような声援の中、イベントは幕を下ろした。


■増えるNAKAMA、広がる新しい地図
 終演後、囲み取材に応じた3人。「お祭りみたいで楽しかった」と、稲垣と草なぎが笑顔で語る中、香取が「あのー、草なぎは最後まで晴れるって言ってたんですけど、最後に雨がちょっときて……」と、少し不満げな顔で訴える。「その件について今聞いたら、“あの雨がロマンチックだった”って。ロマンチックってよくわからないんですけど!」という香取に、「レインボータワーのたぶん嬉し泣きじゃないですか?」とひょうひょうと答える草なぎ。稲垣には通じたらしく「なるほどね。雨がやんだ後、虹が出てくるかもしれないからね」とフォローを入れると「そうそうそうそう」と、草なぎ。だが、香取は「いや、僕は納得しない!」という絶妙なやりとりで取材陣を笑わせた。


 パラスポーツ体験の感想を聞かれると、車いすバスケットボールでなんとか生放送中にゴールを決めた稲垣が「一度3人でやったことがあって、剛がすごい上手で、今日途中で何度も代わってもらおうと思った」と、内心ドキドキだったことを吐露。「僕は、そういうの器用なんで!」と自信をのぞかせる草なぎは、60キロのパワーリフティングを成功できなかったのが相当悔しかった様子。


 「自分の体重を目標にしてるところでもあるんですよ、実は。いつも60キロで上がるか上がらないかくらいなんで。僕63キロか4キロくらいだから、あと4キロ足すと上がらないんで。2020年までに自分の体重を上げるっていう。そうすると、自分の中のいろんなパフォーマンスも上がるんじゃないかと思ってー。でも、いつも妥協しちゃうんですよね。ああ、やっぱり自分の体重はいいやみたいなー」とノンストップで話しまくる。見かねた香取が「もう、いいんじゃないかな? なんか、急にスポーツ選手かのように(笑)」とツッコミを入れるも「どうしようかなって、ちゃんと鍛えないと上がらないからー」と、まだまだ止まらない。「もうその話、載らないと思うよ」という香取の言葉に耳を貸さないどころか、「ウエイトを落として、57、8キロにすれば上がるんじゃないかな……」と、さらに加速。最後は「もうジムで勝手にやってください!」と、打ち切られてしまい「すみません、こだわりが(笑)」と、相変わらずなしんつよっぷりを披露していた。


 そんなほのぼのとした3人も、話題が新しい地図1周年を迎えたことに移ると、キリッと表情を引き締め、「まさかここまで充実した時間と、こんな愛に包まれた状況が信じられない。幸せいっぱいですね」(稲垣)、「本当に幸せな環境でお仕事できてるな、と。目の前にあることを必死に一つひとつ重ねての1年だったのかなって思うので、いろんな場所にこれからもNAKAMAのみんなと一緒にいきたいな」(草なぎ)、「1周年をパリで迎えまして。食事に行ったりして、まさか1年前、パリで“1年だね”って乾杯できる日が来るなんて。本当に想定外もいいところで。そうありたいという想いで突き進んできたんですけど、それ以上のことが起きるくらい幸せ」(香取)と、多くのNAKAMAへの感謝の言葉を紡ぐ。


 先日もWarner Music Groupへのjoinが発表されたばかり。だが、これからの予定は新しい地図らしく、まだ真っ白のようだ。「新しい地図を広げていくNAKAMAが増えたのかな。joinの説明はツヨポンが……」(香取)、「えっとー、joinさせていただけることになって、と、とても、光栄です……詳細は吾郎さんが」(草なぎ)、「あのー……なんでしょうかね。音楽にとどまらず、いろんなことにjoinさせてもらって(笑)」(稲垣)と、トークのバトンを渡し合う姿も微笑ましい。


 また3人は、毎日SNSに寄せられるコメントをチェックしており、さらにそこから新しい活動のヒントにもなっているという。香取は、本当にアイデアとして参考にしたものは“いいね!”をせず、黙って使わせてもらうのだと笑う。実際に、“個展の作品タイトルが曲がってる”というコメントを見つけて、パリに連絡して直してもらった、というエピソードも飛び出した。さらに、「SNSを通じてファン一人ひとりの人生を知れるようになったのは大きい」と話す稲垣。香取は「コメントから飛んで飛んで飛んで、その人の今までのインスタとか全部見ることも。そしたらすごい真面目に“頑張ってください”ってコメントしてくれた人が、夏に大胆な水着で映ってて、こんな子だったんだって、驚くことも(笑)」とも。


 「見られてますよ~」と、稲垣がはやし立てるが、それほど彼らにとってNAKAMAひとり一人の存在が、一つひとつの言葉が、今まで以上に彼らのパワーであり、新しい地図というプロジェクトの原動力なのだ。“新しい地図は皆さんと一緒につくる集いの場所です!”そうオフィシャルサイトに掲げられた言葉の通り、見えない明日にワクワクしながら、彼らと一緒に冒険を楽しもうではないか。決まっていないということは、可能性に限りがないということ。広がり続ける新しい地図の先に、もっと楽しい未来が待っていると信じて。(取材・文・写真=佐藤結衣)