2018年も静岡県・富士スピードウェイで開催されるWEC世界耐久選手権の日本ラウンド『WEC富士』。10月12~14日という日程で行なわれる今季もまた、ル・マンを頂点に世界各国を転戦する世界最高峰のレーシングチームが集結する。ここではそんな海外チームの“ピット”に焦点を当てる。
2017年から2018年にまたがる“スーパーシーズン”の第4戦として行なわれるWEC富士には都合23チーム(合計34台)が参加する予定となっているが、この中のLM-GTEプロクラスは欧米の自動車メーカーワークス、または準ワークスチームが派遣されており、そのバトルの激しさはシリーズ随一と言えるほどだ。
そんなGTEプロクラスに参戦する5メーカーの各チームは、いわば各社の“ブランド”を背負って立つ存在。彼らはコース内での競争もさることながら、国際映像やサーキットを訪れたファンの目に留まるピットスペースにも気を使っている。
そこで今回はル・マン24時間の舞台、フランスはサルト・サーキットでみられた各メーカーチームのピットを一挙にご紹介しよう。
■アストンマーチン・レーシング
アストンマーチン・バンテージAMR(95号車&97号車)
まずは現行シリーズの発足当時、2012年から参戦を続けるアストンマーチン・レーシング(AMR)だ。
創業100周年を超える歴史を持つイギリスのプレミアムブランドは、そのレーシング部門もまさに優雅。清涼感溢れるピットは白を基調としており、ドライバーが使用するヘルメットは間接照明を用いた専用の置き場に、まるでショーケースのバッグのように置かれている。
■AFコルセ(フェラーリ)
フェラーリ488 GTE Evo(51号車&71号車)
アストンマーチンと同じく初年度から参戦するAFコルセはフェラーリの準ワークスチーム。そのピットはフェラーリらしく真っ赤に染め上げられているが、他チームの“ワークスらしい”きっちりとしたイメージよりも、やや落ち着ついた雰囲気になっている印象だ。
■フォード・チップ・ガナッシ・チームUK
フォードGT(66号車&67号車)
2016年にデビューしその年のル・マン24時間でデビューウインを飾った『フォードGT』を走らせるのは、その名のとおりフォード・チップ・ガナッシ・レーシングのイギリス部隊だ。それでもピット内には“アメリカン”な要素が各所に見られ、ヨーロッパ式とアメリカ式、双方のいいとこ取りがなされた空間となっている。
■BMWチームMTEK
BMW M8 GTE(81号車&82号車)
2018年に満を持してワークス参戦を開始したBMW陣営のピットは、メーカーのイメージどおりの白を基調としている。大柄のM8 GTEが並ぶガレージ内は若干手狭に感じるものの、その設備は最高峰のLMP1チーム並み。初来日となる富士ではぜひチェックしたいピットガレージのひとつと言えるだろう。
■ポルシェGTチーム
ポルシェ911 RSR(91号車&92号車)
ル・マンでのポルシェはイレギュラーな空間を作り出したことで大きな話題を集めた。“ピンク・ピッグ”と“ロスマンズカラー”という往年のポルシェレーサーのカラーを纏ったマシンに合わせてピット内の壁、床に加えて収納棚に至るまで、すべてをレトロな雰囲気で統一したのだ。残念ながらこの仕様はル・マン限定だったが、前年までLMP1クラスを戦っていたポルシェの設備はGTEワークス随一。今季のル・マン優勝車の92号車とあわせて目にしておきたいところだ。
まもなく迎えるWEC富士はシリーズのフライアウェイ・ラウンドとなることから、各チームともホスピタリティ等の設備は縮小するものの、その雰囲気は国内レースとは別物。レースウイークではそんなWECの独特の世界観をパドックエリアから、またピットウォークの時間帯を使って堪能してみよう。なお、パドックからガレージ内を覗き見る際には、チームスタッフや関係者の迷惑にならないよう充分注意してほしい。