2018年09月30日 10:22 弁護士ドットコム
顧客からの問い合わせに対応する「カスタマーサポート」。対応が早ければ顧客満足度も上がる傾向にあるため、会社によっては「問い合わせは●時間以内に返信」などといった目標を立てているところもあるようです。
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一方で、土日祝日の対応を巡って、弁護士ドットコムには「会社携帯に転送される休日の電話番が無報酬で疑問を抱いている」といった相談が寄せられています。
相談者の男性は、業務命令で休日の電話番と配送当番が言い渡されました。電話番は顧客からの電話が社用携帯に転送されますが、手当は出ません。また、配送当番は、実際に業務に当たった場合のみ、その時間分の手当は出ます。
男性は「実際に業務がなくとも、休日とは言え半ば拘束されているに等しく感じます」と話します。実際に配送当番者は「遠方への旅行や飲酒を控えるように」といった指示が出ているそうです。
こうした休みの日の対応は「労働時間」と言えないのでしょうか。山田智明弁護士に聞きました。
ーー「労働時間」とはどこまでを指しますか。
労働法上、一般に「労働時間」とは、労働者が使用者の指揮命令下におかれた時間とされています。これには、現実に作業している時間だけではなく、作業と作業の間の待機時間も含むとされています。
ーー労働時間に当たるかどうかのポイントはどこですか。
その判断をする際、問題となっている時間帯に「労働契約上の役務提供の義務」があるかどうかが重視されます。実際に業務に従事することが皆無に等しいような場合には、「労働からの解放の保障がされている」として役務(サービス)提供の義務付けはないと判断されるなど、現実の勤務実態が重視される傾向にあります。
ーー今回の相談者のケースは、どうですか。
今回のご相談についても、休日の電話番や配送当番に関して、どの程度の勤務実態があるかによって判断が左右されるでしょう。
具体的には、休日の勤務実態があり「労働からの解放の保障がされている」とは評価できないのであれば労働時間と判断されます。これとは逆に、休日の勤務実態が全くない場合や稀な場合であれば、実労働時間のみしか労働時間とは評価されない可能性もあります。
ーー相談者の男性は、「遠方への旅行や飲酒を控えるように」といった指示が出ているそうです。
勤務実態がない場合や稀な場合でも、そのような指示が使用者から出ているような場合には、労働者としてはその指示に従う必要があるため、労働からの解放が真に保障されているとはいえません。そのため、そのような指示があった時間帯全体が、労働時間と評価されるのではないかと思います。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
山田 智明(やまだ・ともあき)弁護士
2008年弁護士登録。2013年、柏第一法律事務所を開設。一般民事を中心に業務をおこなっており、労働問題については労働者側の代理人として活動している。
事務所名:柏第一法律事務所
事務所URL:http://www.kashiwadaiichi-lawoffice.com/