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AIがブタを監視して"シッポ噛み"の兆候を検出する技術が革新的!

2018年09月30日 10:02  Techable

Techable

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英国では、AIなどのテクノロジーを農業で利活用する「アグリテック」の社会実装促進に国を挙げて取り組んでいる。

英国の農業-食品産業にAIやロボティクスを組み込むことで、今後13年で580億ポンド(約8兆6100億円)の経済効果が生み出せるとの試算もあり政府の本気度は高い。

今回ご紹介するのはAIによりブタのシッポ噛みを検出するシステムを開発するプロジェクト。「TailTech」と呼ばれるこのプロジェクトは、政府の投資機関から67万6000ポンド(約1億円)の資金を調達して進められている。・ブタのシッポ噛みは農場主への打撃大ブタはお互いの尻尾を噛むという習性があり、噛み傷からの感染により約30%のブタが食べれなくなるものになる可能性があるという。

もちろんブタを拘束したりシッポをカットしたりすればシッポ噛みは減らせるが、日常的な拘束は欧州で禁止されているうえに完全な防止策にはならない。

シッポ噛みの兆候がわかれば、ロープや藁などを替わりのもので気を紛らわすなど防止策を講じることが可能になるが、遺伝的な気質や食事、飼育密度や温度や照明など無数のきっかけがあるため、これまで予測が難しかった。・73.9%の精度でシッポ噛みの兆候を検出スコットランドの研究者らはドローンおよび固定カメラを用いて、667頭のブタの様子を52日間にわたって記録。また、ドローンによる撮影では、赤外線を照射してブタの姿勢を追跡した。そして、シッポ噛みがあるかを最低1日2回検査した。

こうして得られたデータをもとに、スコットランドのアグリテック企業Innovent Technologyがマシンビジョンによる予測アルゴリズムを開発。ブタがシッポ噛み行為に及ぶ際の、シッポによる特定のしぐさを発見し、AIにより73.9%の精度で検出することができるようになった。

今後は「TailTech」にてさらに大規模に検証/開発を展開。遺伝的条件や食事などさまざまな条件でシステムの有効性を比較していく。また、より詳細にブタのシッポの状態を分析することでシステムの精度のさらなる向上を目指すとのこと。

すでに73.9%という精度があるうえでの大規模プロジェクトの展開は心強く、常時ブタを監視するAIがシッポ噛みの兆候を検知して、スマホにアラートを送れるようになる日はそんなに遠くないだろう。

参照元:Scottish Farmers Test Machine Vision to Manage Pig Pugnacity/IEEE Spectrum