全日本F3選手権の2018年のチャンピオンを獲得した坪井翔(カローラ中京 Kuo TOM'S F317) 9月29日、宮城県のスポーツランドSUGOで全日本F3選手権第15戦/第16戦の決勝レースが行われた。第15戦を制した坪井翔(カローラ中京 Kuo TOM'S F317)は、この結果で2018年のチャンピオンを獲得。全日本F3参戦3年目にして、悲願のタイトルを手中に収めた。
坪井は1995年埼玉県生まれ。幼少期からレーシングカートをはじめ、2011年にフォーミュラトヨタ・レーシングスクールにトップで合格。フォーミュラチャレンジ・ジャパン等を経て、2015年には牧野任祐との激闘の末、FIA-F4の初代チャンピオンを獲得した。
ただ、2016年に全日本F3選手権にステップアップしてからは、1年目は表彰台を相次いで獲得したもののなかなか勝利には届かず、2年目の2017年は前半苦戦。後半戦は怒涛の連勝を積み重ねたものの、惜しくもランキング2位に終わっていた。
チャンピオン獲得が求められた3年目のシーズンは、開幕戦で優勝を飾ると、第6戦・第7戦以外のすべてのレースで優勝。5レースを残してチャンピオンを決める圧倒的な成績を残した。そんな坪井が、第16戦終了後、チャンピオン獲得の喜びを語った。
■坪井翔(カローラ中京 Kuo TOM'S F317)
「早く決まって欲しい気持ちはありましたが、岡山での第9戦が中止になったため、そのまま繰り越し無しで終わってしまったら、LINEで『おめでとう』と来て決まってしまうところでした(苦笑)。その点ではちゃんとレースができて、勝ってチャンピオンを決めることができたのは素直に嬉しいです」
「今でも忘れないのですが、2017年にはこのスポーツランドSUGOで、そちら側の椅子に座って、昨年チャンピオンを獲った高星明誠選手の記者会見を聞いている立場でした。あのときの悔しさは覚えていますし、3年目の全日本F3選手権に賭ける思いは大きかったです。3年目でチャンピオンを獲れなければ先は無いと思っていましたし、ラストチャンスだと思って臨んだ今シーズンでした。いま、こうしてこの席に座ることができて、ホッとしています」
「全日本F3選手権でも、今日は第16戦でファステストラップを奪われてしまいましたし、1点の重さは重々承知しています。その意味ではもっともっと速くならなければいけませんし、上のカテゴリーに上がったらもっとレベルが高い選手が出てくる。F3もレベルは高いですが、ここで満足せずに上に上がるためには、F3でもっと勝利数を伸ばし、来年いい走りに繋げるための準備をして、しっかり引き出しを多くしていきたいと思います。F3で3年間経験したことはすごく大きいですし、3年間僕を使ってくれたチームに感謝しています。その意味では、とても濃い3年間だったと思います」
「今の気持ちは、正直ホッとしています。2年目は自分でレースを台無しにしたことでチャンピオンの可能性がなくなり悔しい思いをしましたし、今年はチャンピオンを獲らなければ先はない状況でした。チャンスを与えていただいて、期待を裏切ってはいけないという気持ちもありましたし、自分のレース人生においても、ここでチャンピオンを獲らなければと思っていました。プレッシャーのなかで勝つことができましたが、勝って当たり前の状況ではなかったですし、難しいところもありました。でもそんななかで、チームが支えてくれたのでこうして成長できました」
「来年はステップアップしたいです。まだどのカテゴリーなのかは分かりませんが、1年目からチャンピオン争いに絡んでいきたいです。3年間F3を走ったということは下積みが長いということなので、『1年目でルーキーだから』とか『表彰台に乗れればいい』ではなく、勝利とチャンピオンを狙っていきたいと思います。F3の上はスーパーフォーミュラだと思うので、そこで1年目からチャンピオンに絡めるように、残りのF3のシーズンでしっかり成長したいと思います」
* * * * *
また、今シーズンは1台のみのエントリーとなったF3-Nでは、ジェイク・パーソンズ(NODAレーシング)が全戦で完走を続け、今シーズンのチャンピオンを獲得している。2017年にスーパーGTに参戦するために来日したオーストラリア人ドライバーのパーソンズは、今後も日本でのキャリアを築いていきたいと語っている。
■ジェイク・パーソンズ(NODAレーシング)
「今年は日本での2年目のシーズンだった。初年度だった昨年はスーパーGTを戦い、とても多くのことを学ぶことができた。今年は全日本F3選手権にスイッチしたけれど、フォーミュラのレースということで、自分のフォーミュラのキャリアを積み重ね、成長するためのシーズンだったと思う」
「フォーミュラと日本のレース、サーキットを学びながら1年間を戦ってきたけれど、チームとともに常に成長し、前に進みながらここまでやって来られたと思う。その点については自分自身も満足しているよ。ラップタイムで言っても成長できたと思うし、シーズンの中で成長できた実感があるんだ」
「来年は日本で何か新しいことに挑戦したいと思っているよ。全日本F3のJ項車両での参戦だったり、スーパーGTに参戦したいと思っている。いろいろなプランはあるけれど、まだ交渉はスタートしたばかりだね。いずれにしろ、今後も日本で活動を継続したいと思っているよ」
「日本に来るにあたって、野田英樹さんには本当に助けてもらっている。彼にいろいろなことを教えてもらいながらレースを戦ってきたし、感謝しているんだ。チームスタッフも英語を一生懸命話してくれたし、僕も日本語で可能な限りコミュニケーションをとることができた。今後もいい関係を築くことができたらと思っているよ」