2018年09月29日 11:12 弁護士ドットコム
阪神や日ハム、米大リーグ・メッツで活躍した元プロ野球選手の新庄剛志さん(46)が若い頃、税金についてよく知らず高価な外車を買って、借金をしてしまったというエピソードをテレビ番組で明かし、話題になった。
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番組は、9月23日放送のフジテレビ系「ジャンクSPORTS SP」。阪神に入団して3年目の1992年に新庄さんの年俸は460万円、その翌年に2200万円へと上がった。2200万円もらった時に欲しかったベンツを2000万円で購入。残り200万円で1年を過ごせばいいと思っていたという。
番組では「税金を知らなかった」と笑い、結局は借金する生活になったと当時を振り返った。一気に活躍し稼ぎがよくなったスポーツ選手や芸能人に多そうなエピソードだが、新庄さんの税負担は当時どれくらい重いものだったのだろうか。高橋創税理士に聞いた。
ーープロ野球選手の年俸は税法上、どのような扱いになりますか
「プロ野球選手の年俸は所得税法上、事業所得の収入金額とされ、そしてここから用具代などの経費を差し引いて利益を計算します。プロである以上、用具等にはある程度お金をかけると思いますので、年俸460万円であればあまり税金のことなど気にかけずとも問題なかったのだと思います」
ーーそれが2200万円に跳ね上がったとなると話は変わってくるのですね
「はい、2200万円ともなると話は別です。『税金を知らなかった』というのであれば節税もしていなかったのでしょうし、相当な利益が残ってしまったのだろうと思われます(ちなみに平成4年から6年頃の所得税率は現在のものとそれほどは変わりません)。利益に対して税金がかかってくるわけですが、ベンツを買った残金の200万円ではとてもまかなえなかったでしょう」
ーー税金への備えをすることは念頭に置かないと困ったことになるのですね
「基本的に税金は後払いですので、お金が入ったときに高価なものを買いすぎるなど散財してしまうと、税金を払う頃にはキャッシュ(現金)がなく納税資金に困ることになります。納税のために借金するようなことになっては困りますので、急にお金が入ってきたような場合にも納税資金はキープしておきましょう。
実際にはプロ野球選手の収入からは所得税が天引きされます。ですから手取りは天引後の金額です。年俸2200万円が12分割されて支払われるとした場合の天引き額は年間で300万円超。手取額は2000万円を下回ります。それで2000万円の車を買えばそりゃ借金生活になりますよね。ただ新庄さんが節税を意識して割安な車に乗っていたら、イメージと違うということで残念がるファンもいたかもしれませんね」
【取材協力税理士】
高橋 創 (たかはし・はじめ)税理士
資格予備校講師(所得税法)、会計事務所勤務を経て、2007年に独立。
事務所名 : 高橋創税理士事務所
事務所URL: http://namahage-tax.jp/
(弁護士ドットコムニュース)