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清水翔太、武道館公演で交わしたファンとの誓い「みんなの好きな清水翔太であり続けたい」

2018年09月28日 15:31  リアルサウンド

リアルサウンド

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 清水翔太の全国ツアー『SHOTA SHIMIZU LIVE TOUR 2018 “WHITE”』が9月17日の大阪城ホール公演をもって閉幕した。筆者はセミファイナルとして9月10日~11日に日本武道館で開催された東京公演のうち、1日目を鑑賞。そこにあったのは過去最高に自信に満ち溢れた清水翔太の姿だった。


参考:清水翔太が明かす、“ピュアなクリエイティブ”への思い「音楽だけは手を抜きたくない」


 ライブのオープニング映像は、「dance with me.」と小さくメッセージが浮かび上がり、翔太が同曲をピアノで弾き語る模様。ステージ上段中央に本人が現れると、ピンスポットと大歓声を浴びながら「武道館、Are you ready!?」と第一声を発する。次の瞬間、最新シングル表題曲「Friday」の強烈なシンセサウンドと共に眩い照明やダンサー達が一気にステージを彩った。1曲目から大合唱がこだまする武道館。


 今回のツアーは、自身の音楽性をより強く確立させたアルバム『WHITE』を携えて行われた。ゆえにセットリストも『WHITE』収録曲中心だったが、この構成も攻めていた。屈指の人気を誇る「My Boo」「君が好き」を冒頭4曲の中に入れ込んできたのだ。序盤からヒートアップしているのは客席だけでなく、翔太も「こんなに盛り上がってんのは初めてじゃねえか? 俺の中で100パーセント以上の力が湧き出てくるのを今感じてる。今までで最高の武道館になる気がする」と武者震い。「清水翔太を今日初めて見る人も、絶対惚れさせるから」という発言もあった通り、このライブでは終始、自信に溢れ堂々としている姿が印象的だった。


 第2パートでは、ミドルテンポのラップチューン「(I’m fine)」や「alone feat. SALU」を披露。後者はミュージシャンにとって時に武器になる“誰にも理解できない孤独”を歌ったナンバーだが、「俺を孤独じゃなくさせる最高の仲間」という紹介でSALUとの生共演も実現した。なお、ステージのメンバー構成は、DJ、ドラム、ギター、ベース、コーラス女声2人+男声1人、男性ダンサー4人。翔太のルーツでもあるオーセンティックなソウルナンバー「Feel Good」「Silver & Gold」ではバンド勢の真価が堪能でき、一方ダンサーの実力もダンスパフォーマンスタイムや「踊り続けよう」で発揮されていた。


 清水翔太のライブは、オーディエンスとの心の距離が近い。この日は特に近く感じていたようで「いいよね、今日の俺たち!? 付き合って5日目くらいの、『よかったぁ俺この子選んで』みたいな感じするもん(笑)」とのこと。場全体のムードが和んだところで翔太は、当初Twitterで発表し、絶賛の声に押されてリリースに至った「I’m in love」を届ける。アコギ1本でエモーショナルに歌い上げる、“シミショー節”炸裂のR&Bバラードだ。彼は、繊細でありながら力強い、ソウル的に優れた声質をもともと持っている。10代の頃から喉を使い鍛え続けながらも、その素質の良さが損なわれずに歌手として成長を遂げ続けていることに、私は感謝と感動すら覚える。


 その後、この時節うってつけの「ナツノオワリ」を思いつきで歌ってみたり、自身のスマートフォンを持ってきて動画撮影、その場でInstagramにアップロードしたり、という自由なMCタイム。観客との親密度を一層高めた上で「マダオワラナイ」~「Get Back」からラストスパートへ突入した。ライブ自体が“マダオワラナイ”、MCからライブへ“Get Back”という意味合いもありそうな選曲だ。本編最後は〈良い人生 悪い人生 俺以外judgeする権利はない〉というフックが耳に残る「Good Life」を熱唱。場内は翔太の歌に合わせて大きなシンガロングに包まれた。


 アンコールでは、自前のテレキャスターを弾きながら、ギターで作曲した「Beautiful」をパフォーマンス。充実したステージを経て「俺は幸せです、今。みんなのことを家族みたいに愛おしく思ってるし、5年後も10年後も武道館でこうしてたいなと思う」と心情を吐露する。そして次の翔太の発言が、この日のハイライトではないだろうか。


「俺に音楽の才能が人よりも多くあるんだとしたら、大人たちのために使うつもりはない。自分のために使うつもりもない。今、たくさんの愛情を持って見てくれてるみんなのために使いたい。そうあるべきだって今日確信した。俺はみんなの好きな清水翔太であり続けたい」


 力強い宣誓の後、ギターをつま弾きながらアルバム表題曲「WHITE」を響かせた。さらに「武道館1日目、言葉にならないくらい本当に最高だった。どうもありがとう」とお辞儀をしてラストナンバー「Rainbow」を届け、翔太の去ったステージには虹が映し出された。デビューから10年、8枚目のアルバムにして音楽的最高到達点を更新した清水翔太。着飾ることなくまっさら(=WHITE)な気持ちで、彼がずっと客席に向けていた真摯な眼差しは、ファンはもちろん、初見の人の心をも動かしたはずだ。(鳴田麻未)