ついにホンダが第16戦ロシアGPで最後のジョーカーを切ってきた。パワーユニット『スペック3』の投入だ。
ホンダは公式にはスペック3という名称は使用していないが、第7戦カナダGPに投入したパワーユニットを『スペック2』と呼んでおり、田辺豊治F1テクニカルディレクターも今回のアップデートバージョンを「スペック2の次」と語っていることからも、スペック2.5というような中途半端なアップデートではなく、スペック3と呼んでいいだろう。
では、今回ホンダはどこをアップデートしてきたのか。それは、ICE(エンジン本体)とMGU-H(熱エネルギー回生)、そしてターボだ。「ICEは燃焼系の性能向上を目指したもので、MGU-Hを見て、弱そうなところを改善し、ターボも詳しくは言えませんが、信頼性向上を図って部品を変えてた」(田辺TD)という。
もちろん、このスペック3はピエール・ガスリーとブレンドン・ハートレーの2台のマシンに搭載される。
ただし、その仕様は微妙に異なる。1台のマシンにはES以外の5つのコンポーネントを新品した仕様が搭載され、もう1台のほうにはES(エネルギー・ストア)とCE(コントロールエレクトロニクス)以外の4つのコンポーネントを新品した仕様だ。なお、ESとCEは今回、アップデートはされていない。
なぜ、このタイミングでアップデートを入れてきたのか。田辺TDは次のように答えた。
「このタイミングというのは、それなりのパフォーマンスアップが確認されたことは確かですが、鈴鹿も当然、視野に入れた決断です。やはり、鈴鹿にぶっつけ本番では臨みたくはなかった。われわれにとっては、やはり日本GPというのは大きいですから」
スペック3は、ある意味、「鈴鹿スペシャル」とも言えるパワーユニット。ロシアGPから、トロロッソ・ホンダはすでに鈴鹿へ向けた戦いが始まっている。