東京五輪大会ボランティアの応募受付が、9月26日から始まった。組織委員会は11万人の人員が必要と見込んでいるが、活動内容と応募者負担の釣り合いなどから、それだけ集まるのか疑問視する声は多い。
人数確保の難しさに拍車をかけそうなのが、応募フォームのわかりにくさだ。応募にあたっては専用サイトに、氏名や生年月日といった基本的な情報やスポーツ経験、ボランティア経験の有無などを記入しなければならない。必須事項だけでも数が多く、サイトにも「入力には約30分かかる」と書かれている。
フォームはPC・スマホどちらからでもアクセスできるが、特にスマホの応募画面が使いにくいと話題になっている。ネットでは「応募する前に試されている気がする」「断念する人続出しそう」など、不満の声が上がっている。
必須項目の多さと他ページへの移動し辛さがやる気を削ぐ絶望的なUI
フォームは、入力する情報の属性ごとに6ステップに分かれている。どのステップからでも記入できるが、デフォルトでステップ1の氏名や住所などの登録から始める人が多いだろう。
ステップ1の入力にさほど苦労しなかった人は、次のステップに移動しようとする際にとまどうかもしれない。
通常、ネットの入力フォームの最下部には「次へ」など、次の入力ページへ移動できるボタンがある。しかし、ボランティア登録サイトのページ下部には「保存」「送信」「キャンセル」の3つしかない。次のステップに移動するためには、わざわざサイトトップまでスクロールして戻る必要がある。筆者も実際に入力してみたのだが、1回や2回ならまだしも、繰り返すうちに煩わしさを感じてくる。
もし、いつものように次ページに移動するものと思いこみ、1ページ目で「送信」を押してしまうと大変だ。必須記入事項が抜けている項目があることを知らせるエラーが6ページ分すべて表示される。エラー表示は記入枠の上に重なるように出るため、表示を消さなければ記入できないという仕様も、入力の気力を削ぐ要因になりそうだ。
小さな表示を見逃すと生年月日の入力でものすごい労力を使う羽目に
さらにわかりにくいのが生年月日の入力部分。カレンダー表示から選択する際、デフォルト設定が記入日当日となっているため、2018年9月某日から生まれ年まで辿らなければならない。
実は、カレンダー上部には「DDMMYYYY」という表示があり、ここに、生まれた日付、月、西暦の順番に数値を入れれば、その日のカレンダーに一発で飛べるのだが、表示の意味を知っていなければこの存在に気づきもしないだろう。
ましてや日本では、西暦、月、日付の順に書くことが慣習になっている。慣れていない人や見落とした人は、カレンダー上の「左矢印」を数十回クリックして過去にさかのぼり、自分の生年月日を選ばなければならない。
ステップ4の「スポーツに関する経験」や「その他」などは自由記入になっていて、100字~200字で、活かしたい経験や意気込みを記入できる。ただ、入力している最中に残りの文字数は表示されないため、自分が何文字打っているか把握していなければいけない。
エラーを出さないためには、一度設問の内容を確認した後、制限字数以内で文章を考え、再度フォームを立ち上げて記入する手間がかかる。まるで就活時のウェブESだ。必須事項でないなら記入をしない、という人も多くなりそうだ。
ネットではあまりの使いにくさに「このページもボランティアが作ったのか」と皮肉る人もいる。大会ボランティアの募集は12月上旬が締め切りだが、必要人数が集まるのか、不安なところだ。