チーム・スズキ・エクスターは2018年アラゴンGPで、コンセッション(優遇措置)ポイントの累計が6ポイントに達したため2019年シーズンはコンセッションが剥奪されることとなった。
MotoGPはレギュレーションで、20戦を上限とするシーズン(2018年は全19戦)の全レースで使用できるエンジンをひとりあたり7基までと制限している。また、シーズンの開幕戦からエンジンの開発凍結がメーカーに課され、プライベートテストの日数は5日間に制限される。
しかしコンセッションの資格があれば、9基までのエンジンが使用可能。メーカーはシーズン中にエンジン開発をすることができ、テストタイヤの割り当ての範囲内であればテスト日数は無制限となる。
コンセッションは優遇措置を意味し、決勝レースの結果で優勝が3ポイント、2位が2ポイント、3位が1ポイントのコンセッションポイントが与えられ、シーズンを6ポイント未満で終えれば次のシーズンはコンセッションの資格を有する。
6ポイント以上稼ぐとコンセッションは剥奪。次のシーズンからエンジン開発が凍結され、7基で戦うこととなる。また、テスト無制限の権利は6ポイントに到達した時点で、即時無効となる。
2011年にMotoGPの参戦を一時休止したスズキ。並列4気筒エンジンを搭載したGSX-RRを開発し、2015年にアレイシ・エスパルガロとマーベリック・ビニャーレスをライダーに迎えグランプリに復帰した。
復帰初年度はコンセッションが与えられたが、2016年はビニャーレスが第12戦イギリスGPで優勝。第5戦フランスGP、第15戦日本GP、第16戦オーストラリアGPで3位表彰台を獲得したことでコンセッションポイントが合計6ポイントとなり2017年はコンセッションを受けられなくなった。
2017年からはアンドレア・イアンノーネとアレックス・リンスがスズキに移籍。2017年は一度も表彰台にのぼれず、2018年シーズンは再びコンセッションが与えられた。
今シーズンは第14戦アラゴンGP終了時点で、リンスが第2戦アルゼンチンGPで3位、第8戦オランダGPで2位を獲得し、3ポイント。イアンノーネが第3戦アメリカGP、第4戦スペインGP、第14戦アラゴンGPで3位表彰台を獲得し3ポイントを稼ぎスズキのふたりはコンセッションポイントを合計6ポイント稼いだ。
これにより、シーズン残り5戦はテスト制限がかかり、2019年シーズンはコンセッションが剥奪され、ホンダ、ヤマハ、ドゥカティのマシンを使用するチームと同じ条件で戦うことが決定。2015年にグランプリに復帰したアプリリアと2017年に新規参戦したKTMは、アラゴンGP終了時点でコンセッションポイントを獲得していないことから、優遇措置を受けている。
2019年シーズンも2台体制でMotoGPに参戦するスズキは、リンスを継続起用し、現在Moto2で活躍しているジョアン・ミルを新たに迎える。来季、優遇措置がなくなるスズキがどのように戦っていくのか、シーズン中ではあるが早くも気になるところだろう。