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鬼の国税局、豪州人の滞納8億円にみせた執念 現地当局との協力で「見せしめ」

2018年09月27日 10:22  弁護士ドットコム

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日本国内で贈与税を滞納していた豪州人男性(豪州在住)の預金から、約8億円(延滞税含む)を東京国税局が徴収していたことが報じられた。


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読売新聞などによると、東京国税局が豪州の税務当局に対し、租税条約に基づく税金の「徴収共助」を要請。豪州の税務当局が豪州内の男性の預金を差し押さえたという。徴収共助による億単位の徴収は初めてで、一部の税理士は「国税の本気をみた」とざわついている。


豪州人男性は数年前、日本に住む親から数十億円の贈与を受けたが贈与税を納めず、国税局による再三の督促に応じなかった。そこで国税局は日本国内の男性の預金を差し押さえ、一部を徴収したものの約8億円が未納となっていたという。


今回のような東京国税局による巨額の徴収共助について、どのように受け止めているか。贈与税に詳しい冨田建税理士に聞いた。


●インパクト大きい「8億円」世間への警告

ーー今回の一件はどのように受け止めていますか


「この件について、先日、仲間の公認会計士数人と話していたら面白い表現を用いた人がいました。いわく、『この件はパナマ文書事件の副産物』と。パナマ文書とはパナマの法律事務所から流出した『世界中の様々な個人・法人の租税回避の実態を示した膨大な情報』で、これが流出した事件がパナマ文書事件です。


結果、日本でも法人や個人につき30億円以上の申告漏れが発覚したとか。パナマ文書事件が契機になって、課税逃れ対策の国際的な協力体制を従前よりも充実させる方向に向き始めたのですけれど、今回の徴収共助はこれが機能したということではないでしょうか」


ーー今回の巨額の徴収共助からうかがえる国税側の思惑は何でしょうか


「個人的見解ですが、従前の税務当局は、海外を用いた租税回避行為や脱税行為の存在は知っていても、海外での協力体制が不十分なため歯噛みしていたのでしょう。


でも、これからはより質の高い協力が得られますよね。目に余る悪質な行為が横行し、摘発が税法的にも可能な内容の場合、インパクトのある摘発を行えば、その人に対する罰は勿論、世間への警告にも使えます」


ーーその意味では8億円はインパクトが大きいですね


「そうですね。8億円はインパクト十分ですから、本件も『これからは海外を用いた悪質な行為は許さんぞ』との、言葉は悪いですが『見せしめ』なのかなと思いますね」


【取材協力税理士】


冨田 建(とみた・けん)税理士・不動産鑑定士・公認会計士


42都道府県で不動産鑑定業務経験あり。著書執筆や雑誌・会報等に寄稿の他、何度も新聞広告に顔写真掲載の上で不動産会社様で講演。自作曲「ふどうさんのうた」で公認会計士協会東京会音楽祭優勝。現在は「ぜいりしのうた」制作中。


事務所名 :冨田建 不動産鑑定士・公認会計士・税理士事務所


事務所URL:http://tomitacparea.co.jp/


(弁護士ドットコムニュース)