2018年09月26日 10:12 弁護士ドットコム
「経営している飲食店の店裏で、大勢の方が立ちションしていきます。なんとかならないでしょうか」という悲痛な相談が、弁護士ドットコムに寄せられました。
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相談者によると、店の建物裏は死角になっており、立ちションする人たちが後を絶たないそうです。「換気口や仕入れの搬入口があるのですが、風向きによっては、アンモニア臭が調理場や食品の保管庫にまで臭って来るときもあります」と相談者は悩んでいます。
耐えかねた相談者は建物裏に防犯カメラを設置しました。立ちションする人をみつけた場合、その場で注意してやめるように話をしているそうです。それでも立ちションする人はいっこうに減りません。
店の建物裏に立ちションする行為は犯罪ではないのでしょうか。浅野英之弁護士に聞きました。
ーー立ちションは犯罪にあたるのでしょうか。
「立小便をする行為は、軽犯罪法という法律で、『街路または公園その他公衆の集合する場所で、たんつばを吐き、または大小便をし、もしくはこれをさせた者』について拘留又は過料という刑罰で処罰することが規定されています(軽犯罪法1条26号)。
ただし、軽犯罪法には『この法律の適用にあたつては、国民の権利を不当に侵害しないように留意し、その本来の目的を逸脱して他の目的のためにこれを濫用するようなことがあつてはならない』(軽犯罪法4条)と定められており、違反したからといって直ちに逮捕される可能性はそれほど高くはありません」
ーー相談者によると、店の建物裏は私有地になるそうです。
「私有地であれば、軽犯罪法が規定する『街路または公園その他公衆の集合する場所』に該当しないと判断される可能性が高いといえます。
ただし、立小便をする目的で自分の敷地に入ることを許可する人はいないでしょう。そのため、立小便をする目的で私有地に入れば、『住居侵入罪』(刑法130条前段)に該当します」
ーー相談者はアンモニア臭にも悩んでいるようです。立ちションにより、悪臭を放った場合もなんらかの罪に問われることはあるのでしょうか。
「店の敷地内でなくても、店の近くで、店の業務を妨害することを意図して立小便をした場合には、『威力業務妨害罪』(刑法234条)に該当し、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられる可能性があります。
業務妨害に使用される『威力』とは、直接的な暴力などの有形的な方法をいうものとされていますが、それだけではなく、悪臭や強い光等も、『威力』とされた裁判例があります」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
浅野 英之(あさの・ひでゆき)弁護士
離婚・交通事故・刑事事件・相続など個人のお客様のお悩み解決実績、相談件数を豊富に有するほか、労働問題を中心に多数の企業の顧問を務める。銀座駅(東京都中央区)にて、弁護士法人浅野総合法律事務所を設立、代表弁護士として活躍中。
事務所名:弁護士法人浅野総合法律事務所
事務所URL:https://aglaw.jp