「クッパ姫」がSNS上で爆発的な人気を呼んでいる。クッパ姫は任天堂のゲーム「スーパーマリオ」シリーズに登場する亀のキャラクター「クッパ」を女体化したもの。ゲーム内には登場しない非公式のキャラクターだが、海外ユーザーが二次創作で投稿したことをきっかけに人気を呼び、ツイッターではクッパ姫のファンアート(二次創作)が溢れかえる事態になっている。
これを受け、オリジナルグッズの制作を行う「アクリルグッズの達人」(愛知県名古屋市)はツイッターに9月25日、
「トレンドのクッパ姫が大変盛り上がっておりますが、弊社では任天堂さんの作品、キャラクターの二次創作の印刷は控えさせていただいております」
と投稿した。同社は個人・法人から入稿されたイラストのデータをもとに、アクリルキーホルダーやバッジなどのオリジナルグッズの制作を行う会社。クッパ姫は公式キャラクターではなく「任天堂作品の二次創作」のため、グッズ制作は行わないという。同様の理由で任天堂のゲーム「スプラトゥーン」のマイキャラ(自身でカスタムしたキャラクター)でのグッズ制作も断っていると述べた。
「二次創作への認識が甘い人多い。会社を守るためにもお断りさせていただく」
次のツイートでは「任天堂さん、ディズニーさんに限らず二次創作不可とさせていただいている作品他にもございます」と追記している。イラストによっては、「公式さんと見間違うようなイラストはお断りさせていただく場合がございます」とも説明している。さらに
「ご利用いただいている皆様が思っているよりも多くの『二次創作への認識』が甘い方が多く見受けられるので、会社自体を守る意味を込めましてもお断りをさせていただくことがございます」
と警鐘を鳴らした。「(任天堂やディズニーを始めとする)二次創作不可該当企業様、作品が嫌いとかではないですし、むしろ一緒にお仕事したいくらい」だとも補足している。実際企業から依頼を受け、キャラクター版権もののグッズ制作を行っているという。
同社ツイッター「中の人」は、「個人的にはクッパ姫の創作イラスト癖に刺さりまくり」だと言うが、
「しかしそれを形にすることは権利を奪うことに繋がりかねないのでご一考くださいね」
と、著作権の侵害にならないよう改めて呼びかけた。
「許可のない二次創作は『著作権の侵害』で真っ黒ブラック『違法』」
同社公式サイトに掲載されている「二次創作と著作権」という記事では、著作権者に許可のない二次創作は「『著作権の侵害』で真っ黒ブラック『違法』」と記載されている。著作権を侵害した場合、著作権法により、生じた損害を賠償する責任があることも書かれていた。
多くの二次創作が著作者、著作権者に許可を取っていなくとも黙認されているのは、「ファン活動の一環」として個人で楽しんでいると解釈されているためだ。著作権者が見逃してくれているだけと言える。キャラクターなどのイメージを著しく損なったり、収益に影響を与えられたりした場合には、権利者は訴えることができる。
過去には「ポケモン同人誌裁判事件」「ドラえもん最終回事件」など、裁判に発展した例もある。同社はツイッターで、
「作品への認識不足部分もあり、対応しきれていないデータもありますが原則として『お客様の責任』で制作いただいております。権利者様と争いが生じた際弊社は一切の責任を負いかねますので、お客様にはご理解いただいた上でご利用をお願いいたします」
と呼びかけた。