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30号車TOYOTA PRIUS apr GT 2018スーパーGT第6戦SUGO レースレポート

2018年09月25日 15:11  AUTOSPORT web

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30号車TOYOTA PRIUS apr GT 2018スーパーGT第6戦SUGO レースレポート
2018 AUTOBACS SUPER GT ROUND 6
スポーツランド SUGO
開催地:スポーツランド SUGO(宮城県)/3.704km
9月15日(予選)天候:曇り一時雨 コースコンディション:ドライ一時ウエット 観客数:1万2900人
9月16日(決勝)天候:晴れ コースコンディション:ドライ 観客数:2万8500人

公開練習のミッショントラブルで予選は低迷するも、決勝ではコンスタントに。しっかり75周走り抜いて完走果たす

 全8戦で争われるスーパーGT シリーズは、スポーツランド SUGO を舞台に、シーズン終盤戦への突入となる第6戦、『SUGO GT 300km RACE』を9月15日~16日に開催した。今シーズンも apr は2台のトヨタプリウスZVW51を走らせ、『#30 TOYOTA PRIUS apr GT』を今回より永井宏明選手、そして織戸学選手に託すこととなった。

 織戸選手といえば、前回のレースに第3ドライバーとして加わり、予選の後に大胆なセッティング変更を提言。その結果、マシンのポテンシャルは飛躍的に向上したことから、永井選手のみならず、チームの寄せる信頼は極めて高い。

 決勝では序盤のアクシデントで戦列を離れることになったが、ここまで不運な展開が続いているだけに、一気に流れを変えるきっかけにもなってくれることが期待された。

 SUGOでのレースは、これまでシリーズ第4戦として行われることがほとんどで、ランキング上位陣でもそう多くないウエイトハンデで望めることができたが、今回は第6戦とあって従来の比にあらず。JAF-GTと相性のいいコースに新たな体制で、しかもノーハンデで挑めるからには、これまでの苦労が一気に報われることが望まれた。

公式練習 9月15日(土)9:00~10:40
 しばらく酷暑をも相手とするレースが続いていたが、シリーズ第 6 戦ともなると、ようやく解放された感は強い。実際、レースウィークの走行開始となる公式練習は、気温 21 度、路面温度 23 度と、秋めいたコンディションのなかで開始された。

 まず『#30 TOYOTA PRIUS apr GT』に乗り込んだのは、織戸選手。計測開始と同時にピットを離れ、チェックを行ってピットに戻ってくるのはいつもどおり。だが、いつもと違っていたのは、それから1時間以上ピットに留まっていたこと。走り出して間もなくミッション不調を織戸選手が訴え、それが交換を余儀なくされるほどだったからだ。

 開始からしばらくはドライコンディションが保たれていたが、その交換の最中に雨が降り出し、しばらくはドライタイヤでも走れる程度の雨量だったが、『#30 TOYOTA PRIUS apr GT』がようやく再出走なった時には、本降りとなっていた。

 織戸選手が乗り込み、イン~アウトを何度も繰り返した後、永井選手が再び乗り込むことに。その途端に赤旗が出されてしまう。

 幸い、直後に再開されたGT300単独セッションは短縮されることなく、10分間を永井選手はフルに走ることが許され、1分31秒845を降りしきる雨の中でベストタイムとしていた。

公式予選 Q19月15日(土)14:15~14:47
 今年からGT300のQ1は2組に分けて計測されることが可能となったが、SUGOで初めて実施されることとなった。もちろんトラフィックの解消が理由である。『#30 TOYOTA PRIUS apr GT』が挑むのはB組。そのQ1は織戸選手が担当した。

 公式練習でドライコンディションを走れていないことから、そのままウエットコンディションであることが期待されたが、想いは天に届かず。すでに雨はやんでおり、ライン状はすっかり乾いた状態。

 本来ならば、しっかりコンディションを確認した上でアタックと行きたいところであるし、なおかつ気温は 23 度、路面温度は 25 度と低めであっただけに、より入念なウォームアップが必要とされたものの、2組に分けられたことで通常よりも計測時間は5分間短い10分間とあって、そうもいかず。

 さらに開始早々に赤旗が出され、残り9分間の計測と、さらに厳しい状況となったため、再開後の織戸選手は1周だけのウォームアップで、さっそくアタックをかける。

 しかし、ドライコンディションで走れていないハンデは、予想以上に大きくセットもタイヤ選択も確認ができてない状況では、織戸選手をして、1分20秒231を出すのがやっとで、『#30 TOYOTA PRIUS apr GT』はグループ下位に。決勝レースには13列目から挑むこととなった。

永井宏明選手
 ミッショントラブルで止まっていた1時間が全ての要因ですが、織戸選手の加入によって流れは確実に良くなっているので明日に期待したいと思います。それにしても、この天候にはまいりますね。決勝は、晴れても雨でもチーム全員で最高の結果を目指したいです。

織戸学選手
 セットもタイヤもわからないまま、全力でアタックしましたが、今のマシンバランスではこれが精一杯でした。でも、どこが悪いかは確実に把握しましたので、明日の決勝に向けては かなり良くなると思いますのでご期待ください。

金曽裕人監督
 公式練習が始まって間もなくミッションがスティックしてしまって、要因はすぐ治るものだったから良かったんですが、大事をとってバラしているうちに、予想より早く雨が降ってきてしまって、ドライで走れなかったんです。それでタイヤチョイスができない、セットアップも何も見られていないという状況になって……。

 それでも、ウエットではそこそこ走れていたので、予選は濡れたままであることを期待したんです。でもドライ。どんな状態か分からないなかでアタックをしても、やはりうまく行きませんでした。決勝での追い上げに期待します。

決勝レース(81周)9月16日(日)14:00~
 不安定な天候に翻弄された土曜日とは異なり、日曜日のSUGOは爽やかな秋晴れに恵まれ、朝からスタンドは熱心なファンが詰め寄せて超満員。たくさんの熱い視線のなかで、どれだけ順位を上げられるか、永井選手と織戸選手がすでに気持ちを入れ替えていたのは言うまでもない。

 決勝レースのスタート進行開始と同時に行われる、20分間のウォームアップは永井選手からの走行となり、途中2回のピットを挟んで、よりセットを詰めていく。永井選手は1分23秒279をマークした後、交代した織戸選手は2周を走行。1分23秒324をマークする。

 ふたりから伝えられたフィーリングは悪くない。だが、気温は26度と土曜日とそう変わらなかったものの、路面温度が37度にまで上昇していたため、チョイスしていたタイヤではマッチしないことも明らかになった。

 そこで英断が下される。もとより 13 列目からのスタートである。最高の結果をこの順位から狙うのには、晴天の路面温度では厳しいソフトタイヤからミディアムタイヤに変更するためにピットスタート作戦を実行することにした。

 もちろん、ピットスタートとなれば最下位からのレース開始となる。スタートを担当した永井選手は、このタイヤ変更が吉と出たこともあり、1分22秒台での周回を重ね、10周を過ぎたところで前走車の背後につけることとなる。

 だが、相手はエンジンパフォーマンスに勝るFIA-GT3のGT-R、コーナーで『#30 TOYOTA PRIUS apr GT』は差を詰めるのだが、ストレートで離されてしまい、逆転を許されず。

 27周目に永井選手から織戸選手にバトンタッチ。タイヤ無交換でコースに戻された時、後ろを行くのはトラブルを抱えて順位を下げた車両だけだったが、ハイペースでの周回を繰り返す織戸選手。表彰台圏内の車両を追い回しながら着実にポジションアップを果たし56周目には、やがて16番手に浮上する。

 それ以上のポジションアップはかなわず、16位でのゴールとなったものの、織戸選手のベストラップ、1分21秒693は表彰台の上位陣とも遜色なく、なおかつピットスタートでありながら、トップと1周遅れに収めたこと、さらに決勝レースでは一切トラブルに見舞われなかったのは、今後に期待を抱かせる要素と言えるだろう。ラスト2戦の大逆襲に期待がかかる。

永井宏明選手
 ピットスタートは、戦術のひとつでしたが選択して正解だったと思います。前車に追いつくまでは、非常に気持ちよくドライビングができ速さもありました。久しぶりにマシンもタイヤも決まっておりストレスなくレースができました。

 あと2戦となりましたが、色々と期待が持てそうでヨコハマタイヤ、応援くださる皆様が楽しく、喜んで頂けるように、チーム全員で全力を尽くしたいと思います。

織戸学選手
 決勝では流れを完全に戻すことができました。ヨコハマタイヤのパフォーマンスもバランスも非常によく、マシンセットもすごく決まっていた。アベレージも良く、1 周遅れではありましたが上位陣と気持ちよくレースができました。

 間違いなく、PRIUSもチームも、もっと速くなると思いますので、残り2戦にご期待ください。やはりGTレースは気持ちよいです。この機会を下さった皆様に感謝いたします。

金曽裕人監督
 レース前のウォームアップでドライバーから、マシンには好印象を持ってもらえたのですが、路面温度が上がりすぎていたため、選んでいたタイヤがソフト過ぎてミニマムの周回数でも厳しいことは明らかだった。

 そのまま行くわけにはいかず、交換してピットスタートとすることとにしました。永井選手のベストタイムは22秒7、織戸選手は21秒6。ふたりとも驚くほど良いペースで走ってくれたので、ピットスタートだったにも関わらず10台もポジションアップ。チームランキングも3ポイントを獲得できました。

 決勝ではノートラブルでしたし、兆しは見えてきたと思います。残り2戦、僕自身が、非常に期待が持てると断言できる状況です。