マルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)が、MotoGP第14戦アラゴンGPで、4戦ぶりに表彰台の頂点に返り咲いた。ここ数戦、ポディウムを獲得はするものの、ドゥカティ・チームの後塵を拝してきたマルケス。アラゴンには覚悟をもってレースに臨んでいたようだ。
マルケスはアラゴンGPの決勝日の朝に目覚めたとき、こう思ったという。「今日はリスクを冒してもいい」
マルケスはドゥカティを警戒していた。ここ数戦、優勝を争っていたのはドゥカティ勢のふたり、ドヴィツィオーゾとホルヘ・ロレンソだった。そのふたりは予選でワン・ツーを果たし、3番グリッドを得たマルケスの前のグリッドにつけていた。
アラゴンGPのウイーク前、「ドゥカティはすべてのサーキットで速く安定している」とマルケスは語っていた。
決勝日朝のウオームアップ走行を終え、マルケスはある決断を下す。それはリヤタイヤにソフトを履く、というものだった。
決勝での使用を見据えていたハードタイヤにいい感触を得らえていなかったマルケスは、フロントはハード、リヤをソフトで戦うことを決めた。ホンダ勢でリヤにソフトタイヤを履いたのは、マルケスただひとりだった。
「チームとミーティングして議論を重ねたよ。そして最終的に、ソフトで行くという賭けに出たんだ」
結果的にマルケスが下した選択は正しかった、と言えるだろう。オープニングラップで2番手に浮上したマルケスはトップを走行するドヴィツィオーゾの背後でチャンスを伺い、中盤以降はドヴィツィオーゾとの先頭争いを展開した。
ドヴィツィオーゾとの間で何度もオーバーテイクが繰り返された。マルケスとドヴィツィオーゾが争ううちに、3番手を走るアンドレア・イアンノーネ(チーム・スズキ・エクスター)、4番手のアレックス・リンス(チーム・スズキ・エクスター)が迫り、一時トップ集団は4台になる。
しかし終盤の21周目にドヴィツィオーゾからトップを奪うと、マルケスはそのままチェッカーを受けた。ドゥカティの連勝を止め、マルケス自身としても4戦ぶりの優勝を手にしたのだ。
「ドヴィツィオーゾやイアンノーネとの争いは接戦だった。激しい戦いだったけれど、限界以上ではなかったよ。これがMotoGPだ。ファンが楽しめるレースなんだ」
「モーターランド(・アラゴン)は僕の好きなサーキットのひとつだ。ここで走るのは楽かったよ。かなりのプレッシャーがあるにせよね」
ドゥカティ・チームの勢いに待ったをかけることに成功したマルケス。マルケスが負った賭けは、ポイントランキング2番手のドヴィツィオーゾに対し72ポイントの差を築くという、最善の結果をもたらした。