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『絶対零度』『グッド・ドクター』『dele』などから探る、連続ドラマを彩るゲスト出演者の役割

2018年09月24日 06:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 医療を扱った作品、あるいは、毎話で依頼や事件のある作品には、しばしば多彩なゲスト出演者が登場する。患者、医者とその家族、犯人もしくは事件関係者としてキャスティングされることが多く、そうした作品のちょっとした見どころでもある。今年の夏クールの作品で言えば、『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』(フジテレビ系)、『健康で文化的な最低限度の生活』(カンテレ・フジテレビ系)、『グッド・ドクター』(フジテレビ系)、『探偵が早すぎる』(読売テレビ・日本テレビ系)、『dele』(テレビ朝日系)などがそうだ。いずれも、ストーリーごとにゲストが登場したわけであるが、こうしてゲストを招く形のドラマの面白さはどこにあるのだろうか。いくつかの類型を見てみよう。


参考:沢村一樹の“魔物”演技に騒然 『絶対零度』最終回で投げかけられた“正義の在り方”


■百戦錬磨のゲストによる物語の深み


 先に述べたような、ゲストを招く形式のドラマには、連ドラファンなら「あっ、また出てる!」と思うキャストがいるものである。とりわけ、自分が応援している役者であれば、そういう時はなおさら嬉しい。今クールで言えば、『絶対零度』に、近藤公園、中村新将、小野了、高橋努。『ケンカツ』に、江口のりこ、池田鉄洋、音尾琢真。『探偵が早すぎる』に、マギー、池田鉄洋、相島一之。『グッド・ドクター』に、堀内敬子、近藤公園、高橋洋らが出演した。


 こうした役者陣は多くの場合、熟練の演技力を誇り、その作品に深みをもたらす。どこか影のある事件関係者、心に何か大きなものを抱えた犯人、家族や人生の問題を前に葛藤する人間。こうした役柄を支えるのは、キャラクターに関する深い理解と、それをもとに演じきることができる芝居力であって、百戦錬磨の役者にこそ、画面越しに伝えることができる業である。一朝一夕に身につけられるものではない。時にはいわゆる、バイプレーヤーと紹介される彼ら、彼女らの魅力が、こうしたドラマを支えていることは言うまでもない。


■豪華コラボの楽しみ


 一方で、メインキャストとしてよく抜擢される役者、ないしは人気急上昇中の役者がゲストとして出演するパターンもある。例えば、『dele』には柴咲コウ、橋本愛、余貴美子、麿赤兒らが、『絶対零度』には、佐野岳や白石麻衣らがそれぞれ出演して話題となった。最近の作品で言えば、『コンフィデンスマンJP』(フジテレビ系)などもそうであるが、こうしたパターンの場合、普段は共演することのない役者同士が語らい合ったり、対決したり、協力し合ったり、相談に乗ったりすることに魅力の一つがあると言えるだろう。もちろん、共演経験のある役者同士の場合もあるが、その時々で仲間同士だったり、敵対関係だったりして、様々な人間関係を観ることができる。


 歴史的に見れば『古畑任三郎』(フジテレビ系)などはその最たる例であろう。田村正和演じる名刑事が、いわゆる“豪華”な面々と毎回対決するのは、どこか貫禄のようなものを感じさせる。意外な共演が多く観られ、また民放の連続ドラマにはあまり出演しないような人々の登場を楽しめるということもあり、何かと話題にもなりやすい。


■意外な出演者


 「えっ、何でこの人が?」と視聴者を驚かせるパターンもある。今クールでは、『dele』に作家の高橋源一郎が登場した(最近では『カルテット』(TBS系)にも突然出演)。意外な人選は、時にこうして大きな印象を残す。例えば過去には、『古畑任三郎』のスペシャルに、メジャーリーガーのイチローが出演し、『ガリレオ』(フジテレビ系)に久米宏が登場したりと、あまり役者の仕事を行わない人々のキャスティングはこうして時折あるのだ。しかもこうしたキャストは、エキストラ的出演では決してなく、作中でかなり重要な役柄を演じるだけに、なおさら惹きつけられるものである。


 出演する役者陣が比較的固定された作品も、もちろん楽しみ方があるわけであるが、毎回のいろいろなゲストに注目できるドラマもこうして楽しめる点があって大変興味深い。次のクールの連ドラも少しずつ発表されてきたわけであるが、どんなゲスト演出があるのかに注目するのもいいだろう。(國重駿平)