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『サバイバル・ウェディング』は最高のヒューマンドラマに 波瑠、吉沢亮らが示した”幸せの在り方”

2018年09月23日 12:12  リアルサウンド

リアルサウンド

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 9月22日に『サバイバル・ウェディング』(日本テレビ系)の最終回が放送された。全話を通して本ドラマは、単なるラブコメディではなく、“結婚”というフィルターを通すことで“人それぞれの幸せの在り方”を描き出したヒューマンドラマであった。


参考:波瑠&吉沢亮、『サバイバル・ウェディング』撮影終了! 吉沢「おいしいお酒をたくさん飲みたい」


 “結婚=幸せ”と考える人も多いだろう。黒木さやか(波瑠)もその中の1人であり、結婚相手に求めるものは「安定した経済力、外見が爽やかで浮気をしない」こと。まさにピタリと当てまったのが柏木祐一(吉沢亮)であったが、インドで起業するからついてきてほしいという頼みに心が揺らいでいた。そして、祐一の父・惣一(生瀬勝久)からの厳しい言葉に「私たち一緒にいるべきじゃない」と祐一との結婚を諦めてしまう。


 この悩みを救ったのが宇佐美博人(伊勢谷友介)だ。rizへの出資を約束していた柏木惣一に物申せば、これまでの仕事が水の泡になってしまうとさやかは止めるが、宇佐美はお構いなしに惣一の前へ。自分だけでなくパートナーの人生も背負うことを覚悟してプロポーズをした祐一、自分の首をかけてまで戦う宇佐美、タイプは違えど2人のまっすぐな思いにさやかは覚悟を決め、祐一とインドに行くことを選んだ。


 宇佐美の「大切なのはどんな選択をするかじゃない。自分がした選択を強く生きるかどうか!」という言葉によって、さやかは背中を押された。結婚すれば幸せになれると思っていたさやかは、宇佐美によって結婚という選択をし、それを追求していくことで初めて幸せになれることを気付かされたのだ。


 この考えこそが宇佐美の幸せそのものではないだろうか。rizの成長の立役者として、バリバリ仕事をこなし、服はハイブランドで固めている宇佐美。いつも自信に満ち溢れ、自己愛が強いのは、何よりも自分の道を強く生きている証拠。私生活は独身、仕事の資料だらけのボロアパートに住んでいる。宇佐美の考える幸せはそういった外側の部分ではなく、考え方や生き方そのもの。宇佐美は仕事に全力を注ぎ、雑誌を、部下を愛していた。そして何より自らを愛しているからこそ、いつも自身に溢れ、強い芯がある。


 そして、祐一もまた、タイプは違えど同じ情熱と強い芯を持った男だった。「日本のベンチャーが世界に通用する突破口を作りたい」という夢のため、父に反対されながらも諦めることはなかった。さやかの生活も背負う覚悟のもとでのプロポーズは、生半可な気持ちではできないはずだ。


 その背景には起業に成功し、温かい家庭を築いた父親の背中があった。さやかとの結婚もまた、自分の夢に向かう決断だったのだ。祐一は自分の夢を叶え、幸せを掴むため、前だけを見て突き進んできた純粋な男だった。


 3人のキャラクターが丁寧に描かれているため、ネット上では「さやかは絶対に幸せになってほしい」「祐一の男らしさに感動した!」「宇佐美編集長みたいな上司の下で働きたい」とそれぞれに反響があった。さらに「編集長の言葉を胸に私もこれから頑張る!」「自分の子供たちに見せたいドラマだった」といった声も。宇佐美の名言や幸せを目指すさやかたちの姿は、多くの視聴者の心に届いたことだろう。


 本作は、様々な“幸せの在り方”を全10話で描いてきた。ラストシーンでバージンロードを歩くさやかと宇佐美、そしてそれを最初から変わらぬ優しい笑顔で見つめる祐一の姿には、グッとくるものがあった。さやかの幸せは、自ら選択し、辛い出来事を乗り越えて掴み取ったもの。物語はここで終わりを迎えるが、さやかたちはこれからも幾度となく選択に迫られることになる。しかし、これからは祐一と2人でいく道を決め、強く生きていくことだろう。(馬場翔大)