「平成19年9月30日までにお預け入れいただいた郵便貯金はありませんか?」と大きく書かれた新聞広告が話題だ。9月初旬から20日にかけて、全国紙・地方紙合わせ40紙以上に掲載されている。「払い戻しが受けられなくなります」とも太字で書かれているため、ネットでは、「満期になったら下ろせなくなるの?」など混乱も広がっている。
広告を出したのは「郵便貯金・簡易生命保険管理機構」。郵政民営化以前に預け入れられた定額郵便貯金、定期郵便貯金、積立郵便貯金を管理している団体だ。
通帳や証書が見当たらなければ郵便局やゆうちょ銀行に問い合わせを
旧郵便貯金法では、満期後20年と2か月を経過しても払い戻しの請求がない定額・定期・積立貯金は、利用者の権利が消滅すると決められている。民営化に伴い旧郵便貯金法は廃止されているが、同法にあった貯金に関する権利消滅の規定は、別法で効力を有するとされているため、このような取扱いになるという。
郵便局が民営化したのは2007年10月だが、これより前に預けられた定額・定期・積立貯金はすべて満期を迎えているため、このような案内が出ている。
郵便貯金・簡易生命保険管理機構が9月21日に発表した資料によると、今年8月末時点で、合計1兆6699億円が払い戻されずに残っているという。2016年度には68億円、2015年度には150億円もの貯金が権利消滅で払い戻せなくなっている。
なお、民営化前に預け入れた通常郵便貯金や通常貯蓄貯金は、民営化の際にゆうちょ銀行に承継されている。今回の案内はあくまでも、民営化前に預けた定額・定期・積立貯金に限られることに注意してほしい。
同機構の担当者によると、権利消滅の対象になる郵便貯金を持つ人を対象に、満期後10年経過時、満期後20年経過時など、届け出のあった住所に案内を送付しているという。ただ、引っ越しや結婚・離婚などで住所や名前に変更があった場合を考え、「なんらかの事情で案内が届かなかった人向けに広告を出した」そうだ。
同機構では、心当たりがあっても案内の覚えがない人、通帳や証書が見当たらない人は、郵便局の貯金窓口かゆうちょ銀行の店舗に問い合わせることを呼びかけている。