2018年09月21日 10:22 弁護士ドットコム
恋人時代にささやきあった愛の言葉。しかし、別れた後にその「言葉」を巡って法的トラブルにまで発展してしまったという男性から弁護士ドットコムに相談がありました。
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男性は同棲している彼女がいました。交際前には「結婚を前提にお付き合いしよう」と話し、「いつか結婚しようね」などとも伝えていたそうです。
その後、男性側から別れを告げたところ、彼女から「婚約破棄だ。慰謝料を請求する」と言われ、そもそも婚約した覚えがない男性は困惑しています。
一般的に、交際中の「結婚しよう」といった言葉のやり取りは、婚約にあたるのでしょうか。河内良弁護士に聞きました。
ーー言葉のやりとりが問題になっています。「いつか結婚しよう」も婚約にあたりますか。
その破棄が慰謝料請求の対象になる程度の「婚約」とは、当事者双方が真意から結婚の約束をしており、しかも、そのことが外形上も明らかな場合をいいます。
今回のケースでは、男性の側が、「結婚を前提に付き合おう」と言ったり、「いつか結婚しようね」と話すなどしており、その結果、女性も交際や同棲に応じていることから、双方の結婚の約束はなされていると思われます。
ーーポイントは「外形上も明らかな場合」ということですね
はい。この約束が、「外形上も明らか」といえるかどうかは、今回のケースの方たちが、交際中にどのような行動を取ったかに左右されます。指輪を交換したり、互いの両親に紹介したり、結納や結婚式場の下見などをしていたということになれば、婚約していたと認められる可能性は高くなります。
ーー今回のケースでは、二人は同棲していたようです。
同棲していたということ以外の事情が明らかではないのですが、この同棲の期間が年単位にわたるものであるならば、絶対ではないものの、婚約成立と認められる事情の一つにはなり得ると考えられます。
ただ、同棲期間が長い場合、婚約ではなく内縁(事実婚)関係という認定を受けることもあり、その場合は、婚約破棄よりも慰謝料額は大きくなります。
もっとも、婚約が成立したか否かの基準は、非常に曖昧なものでもあり、最終的には裁判所が判断する事柄でもあります。慰謝料請求を受けているようであれば、女性の側から裁判を起こしてもらって、裁判所に決めてもらうという姿勢を基本に、早期に弁護士への依頼をされたほうが良いように思われます。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
河内 良(かわち・りょう)弁護士
大学時代は新聞奨学生として過ごし、平成18年に旧司法試験に合格。平成28年3月に独立した。趣味はドライブと温泉めぐり。
事務所名:河内良法律事務所
事務所URL:http://www.kawachiryo-law.jp