今週末、スペインのモーターランド・アラゴンでMotoGP第14戦アラゴンGPが開催される。
モーターランド・アラゴンはスペインのアラゴン州にあり、バルセロナと首都マドリードとの中間地点の山間部に位置する。2009年の9月に完成したコースだが、2010年に当初開催が予定されていたハンガリーGPが資金的な問題による新コース建設の遅れから開催不可能となり、代替としてアラゴンで開催され、それ以降、アラゴンGPがカレンダーに定着している。
アラゴンGPの開催により、2010年以降、スペインでは、ヘレス、カタルーニャ、アラゴン、バレンシアと計4回のグランプリが開催されている。
モーターランド・アラゴンは、1周5.078kmの反時計回りのレイアウトで、左コーナー10、右コーナー7の計17コーナーで構成されており、中低速コーナー中心のコースレイアウトだが、アップダウンがあることが特徴だ。今年から10コーナーがマルク・マルケス・コーナーと命名されることが決まっており、20日の木曜日に命名式が行われることになっている。
今レースでヨーロッパラウンドはいったん終了。10月のタイ、日本、オーストラリア、マレーシアのフライアウェイラウンドを戦った後、再びヨーロッパに戻り、バレンシアで最終戦を迎える。
昨年のアラゴンGPは、MotoGPクラスではマルク・マルケス(ホンダ)が優勝、2位にダニ・ペドロサ(ホンダ)、3位にホルヘ・ロレンソ(ドゥカティ)が入賞。Moto2クラスではフランコ・モルビデリ(カレックス)、Moto3クラスではジョアン・ミル(ホンダ)が優勝した。
MotoGPクラスではマルク・マルケス(ホンダ)がランキングトップをキープするが、サンマリノGPで今シーズン3勝目を記録したアンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ)がランキング2位に浮上した。マルケスとドヴィツィオーゾのポイント差は67ポイント。マルケスはドイツGP以後の3戦(イギリスGPは決勝中止)で勝利から遠ざかっており、その3戦でドヴィツィオーゾが2勝、ホルヘ・ロレンソ(ドゥカティ)が1勝とドゥカティ勢が好調だ。
ただし、マルケスはアラゴンのMotoGPクラスでは通算3勝を記録しており、得意とするコース。ホームレースでもあり、今年から10コーナーに自らの名前が冠されることになるなど、マルケスにとってポジティブな要因が多い。フライアウェイラウンドを前にさらにリードを広げるためにも大切な一戦。ドヴィツィオーゾはアラゴンのMotoGPクラスでは、2012年の3位以来、表彰台に立っていないが、ドゥカティ勢は8月下旬にはアラゴンでプライベートテストも実施しており、どんなレースを見せるかに注目が集まる。
バレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)はドイツGP以後、表彰台に立てず、ランキング3位に後退。ただし、ドヴィツィオーゾとのポイント差は3ポイントで、アラゴンGPはチャンピオンシップ争いに踏みとどまるためにも重要な一戦となる。ヤマハも8月下旬にアラゴンでプライベートテストを実施している。
ロレンソは前戦サンマリノGPで2番手を走行中に転倒を喫しノーポイントに終わったためランキング4位に後退。アラゴンのMotoGPクラスでは通算2勝を記録、ドゥカティで初レースとなった昨年は3位表彰台を獲得している。
ランキング5位にマーベリック・ビニャーレス(ヤマハ)が続く。ビニャーレスもサマーブレイク明けのオーストリアGP以降、苦戦が続いている。アラゴンのプライベートテストの成果が問われるレースとなる。
カル・クラッチロー(ホンダ)はサンマリノGPで3位に入賞し、インディペンデントチーム勢トップのランキング6位に浮上。クラッチローから9ポイント差のランキング7位にヨハン・ザルコ(ヤマハ)が続く。ダニロ・ペトルッチ(ドゥカティ)はランキング8位に後退したが、ザルコとは同ポイント。
アンドレア・イアンノーネ(スズキ)がランキング9位、アレックス・リンス(スズキ)がランキング10位とスズキ勢が続くが、スズキ勢もアラゴンでテストを行っている。昨年もアラゴンGP以降、スズキ勢は好調さを取り戻しており、今年もそれを再現できるか。
ダニ・ペドロサ(ホンダ)はリンスと3ポイント差のランキング11位。ペドロサは2012年に優勝、2015年と昨年2位に入賞した経験を持つホームレースのアラゴンで今年初表彰台獲得に期待がかかる。
中上貴晶(ホンダ)はランキング20位。オーストリアGP、サンマリノGPと入賞圏内でのフィニッシュを続けている。Moto2時代には2013年から2017年までアラゴンでは5年連続入賞。2016年には予選3番手を獲得し、ベストフィニッシュとなる5位に入賞している。ホームレースの日本GPに向けて、いい流れをつかんでフライアウェイラウンドに入りたいところ。
イギリスGPで負傷したティト・ラバット(ドゥカティ)は今レースも欠場。代役にはSBKライダーのジョルディ・トーレス(ドゥカティ)が起用されることになった。トーレスはMoto2クラスで1勝を記録したスペイン人ライダーだが、MotoGPクラスは今回初参戦となる。なお、今回もマシンは、ラバットのデスモセディチGP17をチャビエル・シメオン(ドゥカティ)が駆り、トーレスはシメオンのデスモセディチGP16を駆ることになる。