2018年09月20日 10:02 弁護士ドットコム
「これ税金だろ。ちゃんと住人に請求しろよ」。住人の氏名や住所が公表された上で、8月末に神奈川県横須賀市の「ゴミ屋敷」から大量のゴミが撤去された。ネットでは一時、納税者目線と表現していいのか、こうした声がわき起こった。
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当日の模様は何台ものテレビカメラに撮影され、ワイドショーなどで流された。報道陣が大量に集まっている様子に違和感を唱える声もあり、覚えている人もいるだろう。ゴミの撤去は、住人の代わりに行政機関が強制的に撤去する「行政代執行」という手法で行われた。つまり、いったんは横須賀市が費用を立て替える。
では費用はいくらなのか。事前に横須賀市が見積もっていた額は約60万円。行政代執行の手続きを取ることを伝えて以降、住人が自ら一部ゴミの処分をしたため、撤去に使う車両などが減り、実際には3分の1以下となる約19万円になった。横須賀市では9月中に約19万円を市に対して支払うよう、住人に既に通知しているという。
納税者としては、いくら19万円に収まったといっても、税金から出すのではなく本来負担すべき住人にしっかり払ってほしいところだろう。そこで、期限までに払わない場合にどうなるのかを横須賀市福祉総務課に聞くと、担当者は「最終的には差し押さえを視野に入れているが、まずはお支払いいただくよう繰り返し求めていく」と話した。
回収されたゴミは1.7トン(燃やせるゴミと不燃ゴミで1.4トン、金属類で0.3トン)だった。「撤去後もゴミが新たに少しずつ増えているので、市はしっかり見てほしい」との声が横須賀市には寄せられているという。
今回の行政代執行は、今年4月に施行されたばかりの「横須賀市不良な生活環境の解消及び発生の防止を図るための条例」を根拠としている。その11条には、不良な生活環境を解消する措置をとらなかった人について、住所や氏名、建物の所在地などを公表できることも記されている。今回、横須賀市役所のホームページでは一時、そうした個人情報も載せられた。
(弁護士ドットコムニュース)