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カズオ・イシグロの出世作『浮世の画家』がNHKで8Kドラマ化、主演は渡辺謙

2018年09月19日 21:11  CINRA.NET

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カズオ・イシグロ『浮世の画家』表紙(ハヤカワepi文庫)
カズオ・イシグロ原作のドラマ『浮世の画家』が、2019年3月にNHK BS8KおよびNHK総合で放送される。

2017年に『ノーベル文学賞』を受賞したカズオ・イシグロ。ドラマの原作となる『浮世の画家』は1986年に発表され、現在は『コスタ賞』として改称した文学賞『ウィットブレッド賞』に輝いたイシグロの出世作だ。終戦から数年経った日本を舞台に、高名な初老の画家の日常を綴りながら、人の心の弱さから生まれる悲劇や、思い違いから生まれる喜劇を描く。

主演を務めるのは渡辺謙。脚本は『ちりとてちん』『ちかえもん』の藤本有紀、演出は渡辺一貴が担当する。撮影は8Kのスーパーハイビジョンで行なわれ、緻密で繊細な原作の世界観を丁寧に映像化するという。NHKのオフィシャルサイトではカズオ・イシグロのコメントが掲載中だ。

■カズオ・イシグロのコメント
このたび『浮世の画家』がNHKの制作でドラマ化されることとなり、大変喜ばしく思います。渡辺謙さんほど主役にふさわしい役者はいないでしょう。もう何年も前から大好きな役者です。このすばらしい俳優が主役を引き受けてくれたことは思いがけない幸運です。
私がこの物語を書いたのはずいぶん前、1980年代半ばになりますが、自分が生まれる直前の時代における日本での生き方を想像して綴ったものです。当時、まだ若かった私は自らに問いかけました。仮に祖父母の時代に生まれ、20世紀前半の目まぐるしく変化する激動の日本で、戦争のトラウマに耐えながら生きたなら、私はどのように感じ、どのような選択をしただろうと。
そしてそれと同時に、小津安二郎や成瀬巳喜男といった私が敬愛する1950年代の日本映画のような、穏やかな家族ドラマを描いてみたいという思いもありました。
先駆的な8Kフォーマットによる撮影、そして世界的な名優が主演する本作が、今日ではすっかり変わった日本の視聴者を魅了することに大きな期待を寄せています。