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ブランパンGT:白熱のタイトル争い。WRTアウディ先勝もAKKA ASPが逆転でスプリントカップ奪取

2018年09月18日 18:02  AUTOSPORT web

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2018ブランパンGTシリーズ・スプリントカップの総合ドライバーズタイトルを獲得したマイケル・メドウズ(右)、ラファエル・マルチェッロ(右)
ブランパンGTシリーズ第9戦ニュルブルクリンクは9月17~16日、ドイツ・ニュルブルクリンクで決勝2レースが行なわれ、土曜のレース1をランキングリーダーのベルジャン・アウディクラブ・チームWRT、1号車アウディR8 LMS(アレックス・リベラス/クリストファー・ミース組)が制しチャンピオンに王手をかけた。しかし、翌日のレース2でAKKA ASPの88号車メルセデスAMG GT3(ラファエル・マルチェッロ/マイケル・メドウズ組)が優勝。獲得ポイントでWRTを逆転しスプリントカップの新王者となっている。

 連覇を狙うチームWRTの1号車アウディと、初戴冠を目指すAKKA ASPの88号車メルセデスが、74ポイントで並んで迎えたブランパンGTシリーズ・スプリントカップ最終第5戦。チャンピオンが決定するこの一戦で“先制”したのはアウディだった。

■レース1は1号車アウディが繰り上がり優勝。88号車メルセデスは4位

 予選3番手からレース1のスタートを切った1号車アウディはオープニングラップでエミール・フレイ・レーシングの14号車レクサスRC F GT3を交わして2番手に上がると、レース中盤のピットストップを無難にこなし2位をキープする。首位を走るGRTグラッサー・レーシング・チーム、63号車ランボルギーニ・ウラカンGT3には及ばなかったものの、僚友の2号車アウディを3番手に従えて2位でチェッカーを受けた。

 一方、逆転戴冠を狙う88号車メルセデスは予選が振るわず10番手スタートに。しかし決勝ではピットアウト後のレース後半にトップ8に進出し、後半にかけて3つ順位を上げて5位でフィニッシュしている。

 しかしレース後、優勝した63号車ランルギーニをドライブするクリスチャン・エンゲルハートが、ハンズのストラップを正しく留めていなかったことがTV中継映像で明らかになったことで、同車は30秒のタイム追加ペナルティを受けた。

 また、シリーズを運営するSROはチェッカー後にエンゲルハートがレーシンググローブを外し、車内のドライバーを映すオンボードカメラのSDカードを取り外したことに対しても処罰を決定。その結果、ランキング3位につけていた63号車ランボルギーニは週末の全セッションから除外されることが決定し、レース2への出走も取り消されることとなった。

■88号車メルセデスが逆転するには3位表彰台以上が絶対条件に

 レース1優勝マシンの失格によって、2位表彰台を獲得した1号車アウディは1位に繰り上がり、88号車メルセデスも5位から4位となった。この時点でマルチェッロ/メドウズ組はランキング首位に対して9ポイントのビハインドとなったが、レース2の予選順位は2番手。対して1号車アウディが13番手と沈んだことから、最終レースでの逆転チャンピオン獲得の可能性も充分に考えられる状況となっていた。

 そうしたなかで迎えた日曜のレース2、表彰台獲得がタイトルへの絶対条件となる88号車メルセデスは、1号車アウディをアシストしたいベルジャン・アウディクラブ・チームWRTの2号車アウディR8 LMSの猛攻を受ける。

 2台は1コーナーから2コーナーにかけてサイド・バイ・サイドとなるも、直後に2号車アウディの左フロントタイヤがパンクしたことでバトルはあっけなく終了。難を逃れたマルチェッロは、ポールから首位を行くブラックファルコンの6号車メルセデスAMG GT3を捉えにかかる。

 後方では1号車アウディが予選13番手から猪突猛進の勢いで追い上げを開始し、すぐさま9番手に順位を上げてくる。また、AKKA ASPの87号車メルセデスAMG GT3を抜きあぐねていた9周目には、1コーナーの侵入で7番手の僚友17号車アウディが、ライバルの頭を抑える間に大外から1号車アウディを逃がす“技あり”のチームプレイをみせ、仮に88号車メルセデスが2位ならば1号車アウディがタイトルを獲得できる7番手に浮上させた。

 さらに上位を目指すWRTはスタートから25分後のピット・ウインドウ・オープンと同時にミースをピットに呼び戻す。このアンダーカットで2台を交わした1号車アウディは5番手にポジションアップ。眼前のアテンプト・レーシング、66号車アウディを交わせば88号車メルセデスが優勝してもポイントを上回れる状況とした。

 その88号車メルセデスは、1号車アウディのピットインから4周後の17周終わりに首位6号車メルセデスと同時にピットへ。AKKA ASPはここでのピット勝負に勝利し、メドウズ駆る88号車をトップでコースに復帰させる。

 レース後半は4番手を争う66号車アウディと1号車アウディの息詰まるバトルに注目が集まったが、約20分に渡ってテール・トゥ・ノーズが続くも順位は変わらない。このまま66号車アウディが逃げ切るのかと思われたが、チェッカーまで残り6分を切った29周目にリベラスが勝負に出た。

■1コーナーから6コーナーまで続いたアウディR8どうしの激熱バトル

 1号車と66号車、2台のアウディR8 LMSはともに1コーナーをオーバーランしながら並走を続け、そのまま2コーナーから3コーナーへ。3コーナーでインを突いたリベラスが一度は前に出るが、続く4コーナーで膨らんだことで加速が鈍り5コーナーと6コーナーの連続コーナーでふたたび並走。

 その間に背後に迫っていた6番手、GRTの19号車ランボルギーニが2台の間に割って入ると、7コーナーのヘアピンでリベラスがコースオフを喫し、この激しいバトルが幕を閉じるとともにタイトル争いにも決着がつくこととなった。

 ピットタイミングで首位に立った88号車メルセデスはレース終盤、逆転を許した6号車メルセデスに0.9秒差まで迫られるも、最後までリードを保ってトップチェッカー。メドウズとマルチェッロが2018ブランパンGTシリーズ・スプリントカップを獲得した。なお、スプリントカップのチームタイトルは、ベルジャン・アウディクラブ・チームWRTが4ポイント差でAKKA ASPを上回り、タイトル防衛に成功している。

 スプリントカップの新ドライバーズチャンピオンとなったマルチェッロはレース後、「スプリントカップだけでなく、総合ドライバーズチャンピオンシップのために戦っているので、かなり感情的になったよ。今回はとてもタフなレースだった」とBlancpain GT Series.comに語った。

「マイケル(・メドウズ)が首位を走っていたが、1号車アウディが66号車アウディと4位を争っていたから(タイトル決定には)その結果を待つ必要があった」

 改めて王者となった感想を問われると「チャンピオンシップを勝ち取ることができて本当にうれしいよ! スプリントカップは毎戦タフなレースだが、特にピットでの戦いはものすごく熾烈なんだ」とマルチェッロ。

「彼らが非常に良い仕事をしたのでこの結果を得ることができたのだと思う。AKKA ASPとマイケルに感謝しているよ。次戦のバルセロナでもうまくやる必要があるね」

 ブランパンGTシリーズ・エンデュランスカップおよびシリーズをとおしてのチャンピオンが決定する最終戦バルセロナは9月28~30日、スペインのカタロニア・サーキットで行なわれる。