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綾瀬はるかと上白石萌歌のゴールは? 『義母と娘のブルース』良一から受け渡されたバトン

2018年09月18日 06:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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「私たちは知らないうちに知り合っているものなのでしょうが、でも実際それが“お互いに分かる”なんて、何万分の一の確率なのかと」


参考:佐藤健の告白に詰まった麦田の成長 『義母と娘のブルース』最終回はドラマオリジナルの“奇跡”に?


 『義母と娘のブルース』(TBS系)では、しばしば“奇跡”について語られてきた。誰かと誰かが出会うこと。とりわけ、実は知り合っている誰かと出会うこと。そもそも、それ自体がすでに天文学的確率で起こった出来事である。ただ、冒頭に書いた亜希子(綾瀬はるか)の台詞にあるように、それが“お互いに分かる”こともまた極めて小さい確率での出来事である。『ぎぼむす』では、出来事それ自体もさることながら、そのことへの“気づき”にもフォーカスを当ててきた。“奇跡的な出来事に気づけたこともまた奇跡といえる”という考え方が、本作の根底にあるように感じられる。


 さて、そんな風にして出会うことができた亜希子と章(佐藤健)はこれからどうなっていくのか。第9話では、みゆき(上白石萌歌)に鼓舞されたこともあり、「ぶっちぎりで、おめぇ(みゆき)の父ちゃんになんぞ!」とすっかり息巻いた章。そんな思いもあって、その回の終盤では、「ありがと~う、旦那さ~ん(良一)! めっちゃ、めっちゃありがとうございま~す! 宮本さんに引き合わせてくれて、ありがとうございま~す!」と叫びあげた後、章は亜希子に自分の気持ちを告白した。


 思えば、第4話でこんな台詞があった。「普通の結婚というのは、(中略)二人三脚のようなものかと。しかしながら私たちのそれは、リレーです」。みゆきを大切に育てていけるように、良一(竹野内豊)から亜希子へバトンが手渡された。ただ、この“リレー”というたとえは、意味を変えていろいろなところに当てはまりそうだ。


 今のみゆきは亜希子のことを切に気にかけている。章の背中を押すシーンでは、亜希子から長い時間をとってしまったことなどを念頭に置いて、「私、母には幸せになってほしいって思ってますから」「うちの母を幸せにしてください!」と思いのたけを口にした。


 もし亜希子が章の気持ちを受け入れたのであれば、章が良一に感謝したからではないが、比喩的にバトンは(あくまで結果的な解釈であるものの)良一から章、あるいはみゆきの2人にも手渡されていたようにも見える。本来とは違った意味でも、リレーはまだ続いているのかもしれない。もちろん、先に述べたように、“リレー”とはみゆきを育てるための結婚のたとえであって、実際に良一が章とみゆきにバトンを“手渡した”という事実は全くない。今の亜希子だって十分幸せであろう。ただ、亜希子のために試行錯誤している章とみゆきを見ていると、亜希子がもっと幸せになるための“リレー”が同時に良一から続いているようにも見えなくない。当然、良一は亜希子の幸せもまた望んでいるわけだから。


 まだまだみゆきの成長を見守っていかなくてはならないわけであるが、このように、同時に亜希子自身にまつわる未来も、私たちは最終回で見届けなければならないことになりそうだ。“奇跡”と“リレー”。どちらも、探してみれば私たちの身の回りにも似たようなことがあるかもしれない。人と人とのつながりの不思議を楽しませてくれる本作は、最後にどんな奇跡を見せ、もしそこに“終わり”があるとするならば、リレーはどのようなゴールを迎えるのだろうか。(國重駿平)