2018年F1第15戦シンガポールGP決勝トップ10に入ったドライバーたちが日曜日を振り返った。
■メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ
ルイス・ハミルトン 決勝=優勝
本当にタフなレースだった。疲れ切っている。長いレースだった。これまで経験したなかで一番長く感じたよ。無事に終わってうれしい。なんという一日、なんという週末だったんだろう。感謝の気持ちでいっぱいだ。
最高のスタートを決めることができた。その後は、後続をコントロールし、ペースをコントロールし、タイヤを労わり、必要な時にプッシュすることができた。
終盤、マックスがとてもいいペースで追ってきた。彼がいいタイムを出すと、僕もペースを上げるといった具合だったけど、彼に対抗できる速さで走れるのか、確信がなかった。でも最終的には十分な速さを発揮して、ギャップを広げることができた。
レース終盤にバックマーカーたちに追いついた時は、うまく対処するのが本当に難しかった。あのトラフィックは僕にとってついてなかった。彼らはラインを変えて動き回っているから、後ろを走るのが難しかった。僕を前に出してくれないんだ。本当にきわどかったよ。
(フェルスタッペンに対して)ポジションを守りながら、バックマーカーたちと戦わなければならなかった。僕が並びかけても、彼らはペースを落とさないんだ。一瞬、ぞっとした瞬間があった。生きた心地がしなかった。でもなんとか前に出て、すぐに彼らから遠ざかった。
(5度目のタイトルに近づきつつあることについて聞かれ)セバスチャンのことは考えていない。自分自身の能力がおよぶ限り最高の仕事をすることだけを考えている。自分がベストの状態で、身体的にも精神的にも完璧に整った状態であれば、誰にも負けやしない。そう信じているんだ。セリーナ(・ウイリアムズ)やモハメド・アリもそうだし、どんなトップアスリートでもそう考えるだろう。
そう信じなければならないんだ。自分が完璧な状態でも2位になるかもしれないと考えるようでは、その時点ですでに負けている。
■アストンマーチン・レッドブル・レーシング
マックス・フェルスタッペン 決勝=2位
レース序盤にセバスチャン(・ベッテル)に抜かれてしまったのは残念だった。お互い全開だったが、彼には対抗できなかった。ラインを維持できればよかったけれど、スピードで負けていたんだ。勝つためのチャンスがあるとしたら、スタートの時だけだった。でも思ったようにはいかなくて、チャンスがなくなったと知った。
でも幸いチームが最高の戦略を用意してくれて、ピットストップを完璧に決めて、僕を2番手に戻してくれた。
終盤、バックマーカーに詰まる形になったルイス(・ハミルトン)に接近したが、オーバーテイクが可能だとは全く考えなかった。ここは追い抜きがとても難しいから、リスクを冒したくなかった。ルイスはバックマーカーがどいてくれずに足止めされていて、少し不公平な目に遭っていたしね。
セーフティカー出動中にまたしてもドライバビリティの問題が出たし、ピットストップの後、発進した時もひどかった。でも最終的にはうまくやれて、欲しかった結果を手に入れることができた。今週末はマシンの感触がよくないこともあったから、それを思えば予選でフロントロウを獲って、今日2位を獲得したなんて、素晴らしい結果だよ。
■スクーデリア・フェラーリ
セバスチャン・ベッテル 決勝=3位
週末の前に、責めるとしたらそれは自分たち自身だと言ったが、今日、僕らはパッケージのポテンシャルを最大限まで引き出すことができなかった。最終的なギャップを見れば、僕らには決勝で十分な速さがなかったことが明らかだ。理由を理解する必要があるが、僕らが選んだレースの仕方、つまりどのタイヤで何周走るかといったことが大きくかかわっていると思う。トップに立つためにとった戦略だが、ルイス(・ハミルトン)が速すぎた。
(早めのピットストップでウルトラソフトに交換するという戦略について語り)序盤、アグレッシブに行こうとしたが、うまくいかなかった。メルセデスは(僕らのピットストップに)反応したけれど、彼らの前に出ることができなかったんだ。今振り返ると、もっとうまくできた部分もあるかもしれない。でもあの時点では、チャンスがあると僕らは考えた。ピットに入るよう指示を受け、その戦略を試した。
僕自身、それに満足していたし、自信もあった。アウトラップをものすごく速く走る必要があったので、プッシュした。でもそれでも足りなかった。
僕らの目標は3位でフィニッシュすることではなかった。特に今日のような形で3位でレースを終えることは考えていなかった。トップに立つためにチャレンジしたが、ルイスはとてつもなく速かった。ただ、先頭を走っている人間はペースをコントロールできる。僕らにはそれができなかった。
メルセデスは予選ですべてをうまくまとめあげた。彼らの実力だ。僕らの方は、予選をスムーズに戦えなかった。そのため、3番手スタートになり、何かしら試す必要に迫られた。
うまくいかない場合、批判を受ける結果になるが、僕は自分たちがしたことについては常に擁護していくつもりだ。ただ、プラクティスで速かったのに、決勝では3位と5位だったので、本来の速さを発揮できなかったのは確かだ。そういう意味で、自分たちの力をすべて出し切ることができなかったと思う。
チームの決定を100パーセント支持する。僕はマシンのなかにいるから、すべての出来事を把握することはできない。そういう部分で彼らに頼っているんだ。
■メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ
バルテリ・ボッタス 決勝=4位
レース全体の展開として、ほとんど何も起こらなかった。何か変化が起きて、レースの流れに影響すればいいなと思っていたんだが、そうはならなかった。スタート直後にセーフティカーが一度出動しただけで、それもタイミングが早すぎて誰もピットストップを行わなかった。
このサーキットでは他のマシンの後ろを走り、オーバーテイクをするのが本当に難しい。だからセーフティカーが戻った後は、動きのないレースになった。最初のスティントで履いたハイパーソフトタイヤは、全く問題がなかった。セカンドスティントで使ったソフトタイヤでの方が苦労するだろうことは予想していた。長いスティントを走り、終盤、タイヤが終わってしまったんだ。
4位では喜べない。でも、昨日の予選結果がよくなかったために、今日はこれ以上の結果を出すのは難しかった。それでもチーム全体にとってはとてもいい結果になったので、そういう意味ではよかったと思っている。シンガポールに向けてマシンとセットアップを改善するため、チームの皆は本当に頑張ってくれたんだ。
■スクーデリア・フェラーリ
キミ・ライコネン 決勝=5位
今日のレースはあまり動きがなかったね。マシンの挙動はよく、速さもあったけれど、ほとんどの周回を誰かのすぐ後ろで走り、タイヤに気をつかいながら走っていた。このサーキットでは、前を走るドライバーが大きなミスでもしない限り、オーバーテイクをするのは不可能だ。
(前を走るバルテリ・)ボッタスは右フロントタイヤに苦しんでいて、時々ロックさせていた。彼のすぐ後ろにまで近づくことはできたが、オーバーテイクできるほどは接近できなかった。特にミドルセクターでは、ダウンフォースを失ってしまい、彼についていくのに苦労した。
ファーストスティントを長く取り、セーフティカーが出動するのを待ったけれど、ついに出なかったね。
ここでは予選がカギになる。グリッドが後ろになってしまうと、他のマシンに抑えられ、退屈なレースを走る羽目になるんだ。僕らの速さを活用する機会はなかった。いい結果を目指して、やれるだけのことはやったが、今日はこういう結果に終わった。
(ボッタスを抜けなかったことについてCrash.netに語り)いくつかミスをしていたけれど、もう少し大きなミスをしてくれない限り、彼に仕掛けるチャンスはなかった。近づくたびにコーナー出口でトラクションを失い、結局逃げられてしまった。
■アストンマーチン・レッドブル・レーシング
ダニエル・リカルド 決勝=6位
最終的に予想どおりのレースになった。究極の戦略が違いを生み出してくれればと願っていたんだけどね。ハイパーソフトで長いスティントをとるという、他とは違うプランを試し、ペースもよかった。でも市街地サーキットは自分がポールシッターでない限り、最高の気分ではレースできない。オーバーテイクできないばかりか、前のマシンにぴったりついていくことすら難しいんだ。
ここでは予選がとても重要だから、今日思うような結果が出なかった原因は昨日の予選にあるといえるだろう。キミ(・ライコネン)に追いつくことができても、数周、ぴったり後ろに接近して走った後、結局引くしかなくなるんだ。彼のすぐ後ろまで差を詰められるだけの速さはあったが、アクションを起こせるほどは近づけなかった。キミがミスをしてくれるとか、彼とバルテリ(・ボッタス)が絡んでくれれば、それがチャンスになっただろうけどね。最終ラップ、ターン13で接近したが、やはり十分ではなかった。
市街地サーキットを走るのは大好きだけど、レースをしていてフラストレーションがたまることもある。モナコGPで7位だった時のルイス(・ハミルトン)が、前のマシンに近づけないと文句を言っていたけど、今の僕はそれに共感する。皆、同じだよ。もっといい結果を目指して戦いたかったけど、無理だった。昨夜、何時間かかけて対策を考えたのにね。ロシアですべてが報われるといいな。
これからもさらに上の結果を目指して戦い続ける。そうすれば予想外のサーキットで勝つようなこともあるかもしれない。さて、これからアイスバスに飛び込んで、クールダウンしようかな。
■マクラーレンF1チーム
フェルナンド・アロンソ 決勝7位
7位にとても満足している。今日は上位勢に何かが起きたわけではなく、グリッドのトップ6台がすべてフィニッシュした上での7位だから、僕らにとってはささやかな勝利と言える。
優れた戦略を用いて、レースを完璧な形で走り切った。パープルのタイヤ(ウルトラソフト)でスタートするアドバンテージを最大限に活用し、イエロー(ソフト)に交換して走り切るというプランで、最終的にチームのためにたくさんのポイントを獲得することができた。
ある段階ではコース上で最速のペースを発揮した。この厳しいサーキットでいいパフォーマンスを見せることができたので、なおさらうれしい。
僕にとっては退屈なレースではなかった。セーフティカーが出動する場合に備えて、後方に十分なギャップを築いておく必要があったんだ。後方のドライバーたちがいつピットストップするのか分からなかったしね。だから単独走行ではあったが、ギャップをコントロールすることに力を注がなければならなかった。
このサーキットの特性が僕らのパッケージに合っているだろうことは予想していた。でも今シーズンの残りのレースには、競争力を発揮できるだろうサーキットもあれば、そうでないサーキットもあり、アップダウンを経験することになるだろう。
それでも、チームのコンストラクターズ選手権においての戦いに役立つよう、どのレースでも決勝でポイントを獲得することを目指していく。
ここは独特のサーキットで、セットアップをうまく決めて、マシンの力を最大限に引き出すのが難しいところだ。ストレートがたくさんあるモンツァやスパで僕らチームは周回遅れになったが、今回は(ケビン・)マグヌッセンを周回遅れにした。つまり、ここは普通とは違うサーキットだから、今後のレースでは苦労するのではないかと思っている。
でも今日はいいスタートを決めて、それをうまく活用するいい戦略で走った。僕らにとっては魔法のようなレースだった。
■ルノー・スポール・フォーミュラワン・チーム
カルロス・サインツJr. 決勝=8位
今日の結果にはとても満足している。昨日の予選は不満が残る結果に終わったが、今朝起きた時には、決勝ではいいチャンスに恵まれるだろうというポジティブな気持ちになっていた。
12番手スタートということで、タイヤ戦略の面で有利だったし、スタートをうまく決めたことにより、トップ10圏内に入るための足掛かりを作ることができた。
8位というのは悪くない結果だけれど、もっと上だったらよかったな。でも選手権の順位争いの面で、5ポイントはチームにとって重要だ。これによってライバルたちとの差を維持することができる。だから全体的に見ると、良いレースができて、いい一日だったと思う。
■アルファロメオ・ザウバーF1チーム
シャルル・ルクレール 決勝=9位
なんてレースだ。ほぼ完璧といっていいようなレースができた。ラップタイムはとてもよかったし、マシンバランスも最初から最後までいい感触だった。金曜日にはレースペースが悪かったけれど、そこからうまく挽回を図れた。
戦略もうまく決まり、中団の上位に浮上し、またポイント圏内でフィニッシュすることができた。これまでの数戦を考えると、今回これほどいい結果を出すことができてうれしい。僕らのポテンシャルを証明できたと思う。次のレースが楽しみだ。
■ルノー・スポール・フォーミュラワン・チーム
ニコ・ヒュルケンベルグ 決勝=10位
もっと良い結果も可能だったことが分かっているから、あまり満足していない。スタートでポジションをふたつ失ったことが響き、不利な状況に陥ってしまった。早めにピットに入り、アグレッシブにアンダーカットを狙い、それは最初はうまくいった。でもその後、トラフィックにつかまってしまったんだ。
前方で接触事故が起きたことでポイント圏内に入れたけれど、今日はもっと上位を狙えたはずだから、レースを終えた今、複雑な気分だ。