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レクサス陣営、まさかの同士討ち2回/計4台。大きく広がってしまったホンダNSXとのパフォーマンス差《GT500決勝あと読み》

2018年09月17日 09:01  AUTOSPORT web

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レース終盤にコースオフしたKeePer TOM’S LC500
スーパーGT第6戦SUGOのGT500は結果から見ればRAYBRIG NSX-GTがポール・トゥ・ウイン。さらにはARTA NSX-GTが2位に入り、ホンダNSXが1-2フィニッシュを果たした。この第6戦からホンダNSXは最低重量が10kg増加することになったが、そのハンデもなんのその。予選に引き続いて決勝でもライバル2メーカーを圧倒することになったが、逆に心配になるほど競争力が弱まった印象を残したのがレクサスLC500陣営だった。

 レクサス陣営のトップ車両は5位のZENT CERUMO LC500。しかし、どちらかというとZENTも今週末を通して見せ場が少なく、レクサス陣営は今回、同士討ちが2度、計4台というアクシデントで目立つ形になってしまった。

 まず最初の同士討ちはレース後半に起きた。バックストレートへ入るレインボーコーナーで9番手を走行の19号車WedsSport ADVAN LC500のインにau TOM’S LC500が入り、オーバーテイクを狙ったが接触。国本雄資がステアリングを握るWedsSportがスピンを喫し、auはドライブスルーペナルティとなってしまった。auをドライブしていた関口雄飛が振り返る。

「雄資はGT300を抜こうとして出口重視のラインを取ってインを空けることになったと思うけど、そこに自分が飛び込んで、雄資は気づいていなかったんだと思う。予想していなかったようで寄ってきて、自分がブレーキを踏んで減速したところで、雄資の右リヤと自分の左前が接触して向こうが回ってしまいました。あそこで退かないで並んでいれば良かったのかもしれないけど、結果的にスピンさせてペナルティになってしまったので自分のミスです」と関口。

「残り2戦、いつもどおり全力で頑張るだけです」と気丈にサーキットを去ったが、auと関口はこのSUGOをノーポイントで終えることになり、ランキングトップのRAYBRIGと21ポイント差が付いてしまい、大きく離されてしまった。

 一方の19号車WedsSportは接触を受けながらもその後、コースに復帰したが、エキゾーストから煙と炎が吹き出し、緊急ピットイン。その後、リタイア届けを出してリタイアとなった。

 原因はまだ調査中とのことだが、auとの接触でコース外に飛び出した際、フロアを打ったようで、エンジン下のオイルラインが切れてオイル漏れを起こして、そこに引火した可能性が高いのだという。いずれにしても、次戦はエンジン交換の可能性が高く、このSUGOはリタイアの結果以上に手痛い出費となりそうだ。

 また、このSUGOに入るまでランキングトップだったKeePer TOM’S LC500も苦しいレースとなってしまった。予選は9番手とポイント獲得の気配を伺わせたが、結果的に77周目に接触を受けてコースオフしてストップの14位でノーポイントレースとなってしまった。

■レクサス陣営失速の要因は予選のエンジンパフォーマンスか

 しかも、接触を受けた相手が同じレクサス陣営のWAKO’S 4CR LC500で、このレース2度目のレクサス陣営の同士討ち。KeePerは周回遅れだったのでWAKO’Sに4コーナーで道を譲ったわけだが、そこで接触してしまったという、なんとも皮肉な結果となってしまった。WAKO’Sはレース後、37秒加算のペナルティを受けることになり、まさにお互い不幸な結果になってしまったわけだ。

 KeePerの後半にステアリングを握っていた平川亮がレースを振り返る。

「乗り替わった時からフロントのサスペンションが壊れていて、自分ではどうすることもできませんでした。(4コーナーでの接触は)僕は周回遅れだったので、3コーナーからラインを譲っていたのですが、普通に押し出されてしまいました」と平川。

 今回のノーポイントで、トップのRAYBRIGとは14ポイント差を付けられる3位に下がってしまい、苦しい状況になってしまったが、平川の表情はまだまだ、曇ってはいない。

「まだ2戦あるので、まだ諦めずに走れば全然、挽回はできると思いますし、クルマは普通に速さはあると思うのでまだまだ頑張ります」と平川。今回の結果で、ポイントランキングは上位5台中3台がNSXで、2台がLC500という、2メーカーの戦いに絞られつつあるが、勢いは明かにNSX陣営にある。

 レクサスLC500がこのシーズン終盤に苦しんでいる理由のひとつに、予選で上位を奪えないことが大きく影響している。特にどのドライバーも口にしているのが、ホンダ陣営との予選におけるエンジンパフォーマンス差だ。

 ホンダ陣営は予選用にブーストアップさせる効果的なマッピングを見つけており、LC500も予選用のマッピングがありながらも、ホンダほどのパワーアップは出ていないというのが多くのレクサス陣営のチームから出てくる言葉だ。

 レースになれば、これまではむしろNSXが厳しくなり、レクサス陣営が逆転するというパターンが多かった。ただ、今回のSUGO戦ではホンダ陣営のエンジンパフォーマンスはレース中も安定して速く、これまでの弱点を克服してきているように見える。

 ホンダ、レクサス陣営ともに同じブリヂストン勢が上位に来ており、タイヤの差はほとんどないことからも、残り2戦の両者の戦いはエンジンのパフォーマンスを相手以上に引き出せた方が、チャンピオンにもっとも近づくことできそうだ。