9月16日現地時間午後8時10分、シンガポールGP決勝のスタートしメルセデスのルイス・ハミルトンがポール・トゥ・ウィンを飾った。
金曜から一度も雨が降ることもないままドライコンディションの決勝となり、気温は29度、路面温度は34度。湿度が65%と土曜までに較べると高く、ジメジメとした暑さを感じる。
グリッド降格ペナルティはなく予選結果のままのグリッド順で、Q3に進んだ上位10台は全てハイパーソフトタイヤ、11番手以下はほぼ全車がウルトラソフトタイヤでトロロッソ・ホンダ勢だけがハイパーソフト、最後尾のランス・ストロール(ウイリアムズ)だけがソフトタイヤでスタートする。
タイヤのオーバーヒートとデグラデーションが懸念されるだけに、極めてゆっくりとしたフォーメーションラップを経て各車がグリッドにつきスタートが切られた。
ポールポジションのハミルトンは好発進でホールショットを奪い、スタート加速で3番手セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)が2番手マックス・フェルスタッペン(レッドブル)に並びかけていくが、接触が多いベッテルだけにここは一旦引き、バックストレートでフェルスタッペンをオーバーテイクする。
ターン3の立ち上がりではアウトから加速して行ったフォース・インディアのエステバン・オコンがチームメイトのセルジオ・ペレスと接触し、弾き飛ばされてウォールにヒット。これでセーフティカーが導入される。
レースは5周目に再開。ハミルトンは絶妙なリスタートで2番手ベッテルを寄せ付けず、3番手フェルスタッペンも4番手バルテリ・ボッタス(メルセデス)に対してポジションを守りながら、5番手キミ・ライコネン(フェラーリ)、6番手ダニエル・リカルド(レッドブル)と続く。
中団トップは7番手ペレス、8番手ロマン・グロージャン(ハース)、9番手フェルナンド・アロンソ(マクラーレン)、ルノー勢の後ろ12番手にピエール・ガスリー(トロロッソ・ホンダ)と続く。セルゲイ・シロトキン(ウイリアムズ)は早々にピットインしてソフトタイヤに履き替え、最後まで走り切る戦略に出た。
オーバーテイクが難しいサーキットだけに、ここからは各車とも膠着状態に入る。どのマシンも前走車とのギャップを一定以上に保ち、ダウンフォースをしっかりと確保してタイヤを労っているせいでもある。
14周目に2番手ベッテルがピットインしウルトラソフトに交換。翌15周目にハミルトンがカバーに入るが、こちらはソフトタイヤ。17周目にピットインしたフェルスタッペンもソフトタイヤに交換し、ピット出口でベッテルとサイドバイサイドとなってターン3で前に出る。
さらにベッテルはウルトラソフトでは最後まで走り切るのは無理だと訴え、フェラーリはこのタイヤ交換の判断でかなり苦境に立たされることになった。
第1スティントを長く引っ張ったライコネンは22周目にピットインして、16周目にピットインを済ませていたボッタスの後ろへ。リカルドは最後までハイパーソフトのまま引っ張るが27周目にピットインし3強6台の最後尾6番手でコースに戻る。
中団勢はスタートから長く引っ張り最後にハイパーソフトを履く戦略で、他より先にタイヤがタレたガスリーは26周目にシャルル・ルクレール(ザウバー)に抜かれスタートで稼いだポジションを失う。
そのままピットインし、後ろのケビン・マグヌッセン(ハース)もピットイン。この2台は14周目にピットインを済ませていたブレンドン・ハートレー(トロロッソ・ホンダ)の後ろに戻る。
トロロッソ・ホンダの2台はウルトラソフト、マグヌッセンはソフトタイヤを履いている。
トロロッソ・ホンダ勢はソフトタイヤのグロージャンに追い付いて行き、まずはハートレーがオーバーテイクを試みるができず、ポジションをスワップして次にガスリーが仕掛けていく。
ペレスはピットアウト後にシロトキンに引っかかり抑え込まれてフラストレーションを滲ませ、34周目のターン17出口でアウトから並びかけていくが出口で幅寄せして接触。
これでペレスは、ピットインを余儀なくされさらにドライブスルーペナルティも科されて後退する。これでシロトキンの背後に来たニコ・ヒュルケンベルグ(ルノー)は易々と抜いて行き、グロージャンとガスリーがシロトキンに襲いかかる。
ここにトップのハミルトンが追い付いてブロックされるかたちになり、ターン10でフェルスタッペンが背後に迫る場面もあったが事なきを得た。グロージャンには青旗無視で5秒加算ペナルティが科される。ハートレーとマグヌッセンは37周目に2回目のピットインを済ませた。
38周目には7番手まで浮上していたアロンソとルクレールがピットインし、いよいよ中団勢のピットストップが始まる。44周目までに各車がピットストップを終えたところで7番手アロンソ、8番手カルロス・サインツJr.(ルノー)、9番手ルクレール、10番手ヒュルケンベルグの順となり、集団の中でタイムロスを強いられたグロージャンやトロロッソ・ホンダ勢は入賞圏外に沈んだ。
各車ともタイヤの状況を睨みながらも燃料が減った分だけじわじわとペースを上げていき、ギャップはほとんど変わらず一進一退の戦いが繰り広げられる。
首位ハミルトンと2番手フェルスタッペンは拮抗したタイムバトルで、4番手ボッタスと5番手ライコネンは1秒差の熾烈な争いとなる。
3番手ベッテルはタイヤを最後まで保たせるためにペースを落とし、ライコネンがボッタスにプレッシャーを掛けることはベッテルへの援護射撃となる。
結局ハミルトンはフェルスタッペンを寄せ付けず8.961秒差を付けてトップでチェッカードフラッグを受けシンガポールGPを制した。
フェルスタッペンはマシンと戦略の全てを引き出し2位。ベッテルはハミルトンに39.945秒もの差を付けられて3位。4位ボッタス、5位ライコネン、6位リカルドは最後まで順位は変わらず。
中団トップの7位は殊勲のアロンソ、以下は周回遅れで8位サインツ、9位ルクレール、10位ヒュルケンベルグと続き、ガスリーは13位、ハートレーは17位でのフィニッシュとなった。