2018年シーズン限りでハースからの放出確実、そのまま現役引退と見られていたロマン・グロージャンが、一転して残留の方向だ。
今季のハースはウィンターテストから高い戦闘力を見せ、上位3強に迫る活躍が期待されていた。ところがグロージャンはマシントラブルや自身のミスもあって、今季前半は開幕戦から第8戦フランスGPまで0ポイント、その時点でドライバーズ選手権19位と絶不調だった。
中でも第5戦スペインGPでは、スタート直後のスピン後にアクセルを踏み続けて白煙を噴き上げ、ピエール・ガスリーやニコ・ヒュルケンベルグを巻き込む多重クラッシュ事故を起こすなど、かつての問題児ぶりが再発していた。
それでも第9戦オーストリアGPで、ハース創設後最高位となる4位入賞を果たしてからは復調。F1第14戦イタリアGPまでの6戦で5回入賞と、安定した結果を出せるようになっていた。(※イタリアGPはマシンに技術規則違反があったとして失格、なおハースは控訴手続きを開始している)
しかしその間に平穏なはずだった2019年シーズンに向けてのドライバー市場が、ダニエル・リカルドのレッドブル離脱をきっかけに激動の展開に。
■ロマン・グロージャンの評価が急上昇、一方のケビン・マグヌッセンは?
今回フェラーリへの抜擢が決まったザウバーのシャルル・ルクレールも、当初はハースへの移籍が確実視されていた。その場合は当然、グロージャンが放出されるはずだった。
ルクレールの移籍がなくなったあとも、フェラーリは同アカデミー出身のアントニオ・ジョビナッツィを何とかF1デビューさせるべく、ザウバーかハースのいずれかに押し込もうとしている。
しかし少なくとも、ハースの可能性はなさそうだ。というのもグロージャンのチーム内の評価が、シーズン後半戦以降、急上昇しているからである。
「とにかく一発が速い。それに加えて、ここ数戦はレースも非常に安定している。イタリアGPはロマンだからこそ、6位に入れた。今回のシンガポールGP予選の8番グリッドも、素晴らしいのひとことだ」と、現場エンジニアもべた褒めだ。
対照的にケビン・マグヌッセンの評価は、下がるばかり。
「純粋な速さで負けてるだけでなく、マシン性能を100%使い切れていない。ドライバー選択は首脳陣の仕事だけど、正直ケビンだけが残るとしたら、現場はちょっときついね」
ハースはフェラーリからの要求に極力応じない姿勢を見せていることもあり、グロージャンの2019年シーズンの残留はほぼ決まりと考えてよさそうだ。