得意だと思われたF1第15戦シンガポールで、予選日もトロロッソ・ホンダのスピードは加速することはなかった。
予選Q1で敗退したブレンドン・ハートレーは、次のように語った。
「最初のアタックで渋滞にはまってしまって、2回目のアタックに賭けるしかなかった。でも、その最後のアタックのセクター2でいくつか小さなミスを犯してしまった。ピエール(・ガスリー)との差は0.15秒(編注/正確には0.19秒)だったから、あのミスがなければ、Q2に進めたはずだ」
チームメイトのガスリーは、Q1をかろうじて15番手で通過したものの、「金曜日よりもマシンは少し改善されたけど、Q3を争うほどの速さはなかった」という走りで、Q2も最下位の15番手に終わった。
いったい、何が起きたのか? ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターは次のように説明した。
「マシンの挙動をデータで見る限り、原因はある程度、見えています。パッケージとしてマシンがコンペティティブでなかった。加えて、そのマシンをコンディションに合わせてセットアップしきれなかったところも原因のひとつです」
「セットアップは金曜日から土曜日にかけて変更を加え、ドライバーたちは金曜日よりもマシンの感触が良くなっているとコメントしていました。しかしながら、ライバルたちに対しては、それが十分ではなかったということです」
今回のトロロッソ・ホンダの失速で、もうひとつ疑問に感じるのが、Q2に進出したガスリーがQ1のタイムを更新できずに終わったことだ。田辺TDは予選で使用したハイパーソフトの使い方が簡単ではなかったと明かす。
「フロントが温まりにくく、リヤがオーバーヒートしやすかったようです」
このことによって、「セクター1がアンダーステア気味となったのに対して、セクター3では逆にオーバーステア傾向にマシンバランスが変わっていった」という。
金曜日から土曜日にかけて、唯一明るい話題は「金曜日のロングランが良い感じだったこと」(ガスリー)
ただし、シンガポールGPの舞台であるマリーナ・ベイ・ストリート・サーキットはオーバーテイクが難しいコース。後半戦で最も期待できるレースは一転、最も厳しい状況の中でスタートが切られようとしている。