F1第15戦シンガポールGPはトロロッソ・ホンダにとって、相性のいいサーキットだ。ホンダはF1に復帰した2015年こそポイント獲得できなかったものの、2016年と2017年はいずれも7位に入賞している。昨年は予選で2台そろって、Q3に進出していた。
トロロッソのシンガポールGPでの成績は、ホンダを上回る。14年から昨年まで4年間連続で入賞。昨年はカルロス・サインツJr.が自身最高位となる4位入賞を果たしている。予選もこの4年間はどちらか1台はQ3に進出しており、実力でもぎとった結果だと言っていいだろう。
グランプリ前日には、ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターも「今シーズン、ここまでの結果を考えると、シンガポールは我々のパッケージに合っていると思うので、いい成績を残したい」と語っていた。
ところが、蓋を開けてみると、思うように事は運ばなかった。フリー走行1回目はピエール・ガスリーが16番手、ブレンドン・ハートレーも17番手に終わった。
ただし、これはドライバーがふたりともマリーナ・ベイ・ストリート・サーキット初体験だったこともあり、セッション前のミーティングでフランツ・トスト代表から「まずはコースに慣れること。タイムを出すことより、勉強して来い」と言われていたことも関係していた。
ところが、フリー走行2回目に入っても、トロロッソ・ホンダのペースは上がらなかった。ハートレーは17番手のまま変わらず、ガスリーは2つポジションを落として18番手に終わった。
ガスリーの初日18位という結果は、2018年シーズンのカナダGP以来、自己ワースト。ハートレーの17位という結果は、第2戦バーレーンGPの20位、第4戦アゼルバイジャンGP、第5戦スペインGP、第10戦イギリスGPの18位に次ぐ下位ポジションだった。
さらにふたりの順位を合わせた35番手という数字は、開幕戦オーストラリアGPと第4戦アゼルバイジャンGPの33番手よりも悪い結果だった。
■トロロッソ・ホンダが初日に苦しんだわけ
なぜ、トロロッソ・ホンダは初日、沈んでしまったのか? 市街地コース特有のバンピーな路面に足をすくわれたのか。その疑問にガスリーはこう答えた。
「いや、そうじゃないと思う。だって、モナコで僕たちは速かったから」
モナコGPの初日の成績は、ガスリーが14位、ハートレーに至っては11位だった。
「午前中のセットアップの方向性が少しまずかったようだ。ウルトラソフトではまずまずだったけど、ハイパーソフトに履き替えてもライバルたちと同じようにタイムが伸びなかった」(ハートレー)
「とにかくマシンバランスに苦しんだ。こっちのコーナーのバランスが次のコーナーではまったく違っていて、運転するのがすごく大変だった」(ガスリー)
なぜ、そうなったのか? この日、唯一ポジティブだったことは、2台そろってトラブルなく、10チーム中、最も多くの周回を走行したことだ。データは収集できている。あとはそのデータをいかに解析し、土曜日 に向けて、どのようにセットアップを改善するか。
シンガポールGPのトロロッソ・ホンダは、初日から長い夜を過ごすことになりそうだ。