2018年09月14日 20:32 弁護士ドットコム
日本郵便が、非正規労働者に65歳の定年(更新上限)をもうけていることをめぐり、雇止めされた元期間雇用社員9人が雇用の継続などを求めていた訴訟で、最高裁第二小法廷(菅野博之裁判長)は9月14日、雇止めを有効とした一・二審を支持し、原告側の上告を棄却する判決を出した。
【関連記事:「16歳の私が、性欲の対象にされるなんて」 高校時代の性被害、断れなかった理由】
郵政民営化にともない、日本郵便は2007年、就業規則で65歳以上の非正規社員とは契約を更新しないという条項をもうけた。この結果、2011年9月末に65歳以上の非正規社員1万2245人が雇止めされたという。
一方、労働者側は突然の定年設定に反発。(1)定年制が必要なことに正当性がないこと、(2)非正規労働者の不利益が大きいこと、などを訴えていた。
判決は、高齢の労働者について、加齢による体力の低下などを前提に処遇を一律に決めることには合理性があると判断。労働者側は、定年制をつくったことは労働条件の不利益変更であるとも主張したが、最高裁は旧公社と日本郵便との継続性を否定し、問題なしとした。
労働者側代理人の関根翔弁護士は、「無期雇用は、収入の安定や退職金、年金などが見込まれるから定年が認められている。一方、判決は非正規雇用の場合にどれだけの不利益があるかを検討していない。判断が踏襲されれば、非正規にとって苦しい世の中になる」と懸念を口にした。
原告の一人、丹羽良子さんは、日本郵便が近年、人手不足から雇止めした高齢者を再雇用している事例があることに言及。会社の都合に振り回される悔しさをあらわにしていた。
(弁護士ドットコムニュース)