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「すべての子どもが大人になれますように」 『グッド・ドクター』で繋がれた命と山崎賢人の想い

2018年09月14日 12:12  リアルサウンド

リアルサウンド

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 伊代(松風理咲)に汐里(松井愛莉)の小腸を移植することで、2人で幸せを分け合う方法を選んだ姉妹。しかし、伊代の容態が悪化し、肝臓と小腸の同時移植が必要に。同じタイミングで、ERには川で溺れた少女、吉本美咲(古川凛)が心肺停止状態で運び込まれてきた。


【画像】『グッド・ドクター』最終話の山崎賢人


 小児外科の患者である子どもたちと、その家族と医者たちの姿が描かれてきた『グッド・ドクター』(フジテレビ系)。最終話では、2人の患者のエピソードにスポットが当てられた。夏美(上野樹里)は、担当する両親に、美咲の脳死を伝える。心臓が動いているのに、娘が死んだという事実を受け入れられない母親・景子(村川絵梨)。彼女は「美咲まだ生きてるんです!」と、過去に同じような子を持つ家族たちが最期の時間をどう過ごしたかをまとめた、夏美手作りの資料をくしゃくしゃにする。また、肝臓も移植する必要があることを告げられた伊代は、誰かが亡くなるのを待ち、ドナー提供を受けることに対して、「その人にだって大切な家族がいるよね?」と素直に受け入れられずにいた。


 湊(山崎賢人)は、美咲の両親に「美咲ちゃんは、きっとお父さんとお母さんと悲しい時間を一緒に過ごすよりも楽しい時間を一緒に過ごしたいです」と話し、美咲にお花の絵を贈る。伊代には、ドナーとなる子どもたちを大人にしてあげることができないことへの悲しみを伝えながら、「でも、伊代ちゃんの中で新しい命として生き続けることができます。伊代ちゃんと一緒に大人になることができます」「伊代ちゃんだからできることです」と励ました。


 湊の協力を得て両親が開いた美咲の誕生日会には、大勢の医師と看護師たちが集まった。景子が美咲への手紙を読み上げ、「どうしても、このまま美咲とバイバイしたくなくて分けてあげることに決めました」と臓器提供すること決めていた。景子は最後に「パパとママの子どもに生まれてきてくれて、本当にありがとう」と、夫の浩一郎(近藤公園)とともに美咲の頭を撫で、涙をこぼした。


 数日後、美咲の両親の元に、誕生日会で美咲へ送った手紙の返事が届く。臓器提供を受けた伊代からの手紙には、「小児外科医になりたいと思っています」という夢が綴られ、「お子さまがつないでくれた命をずっと大切にしながら私も誰かの命を救える人になります」とメッセージが寄せられていた。


 本作を担当する藤野良太プロデューサーは公式Twitterにて、「小さな命を救うために、日々奮闘している全ての小児外科医がグッドドクター」と最後に言葉を残している。本作にも登場していた夏美や高山(藤木直人)をはじめとする医師たちはみな、湊と同じように「すべての子どもが大人になれますように」という強い思いを持って患者に寄り添い、湊の素直で優しい言葉の数々は、視聴者の間で反響を呼んだ。シリアスで悲しみが深く描かれる医療ドラマが多い中、本作がこの先も、“優しい医療ドラマ”として語り継がれ、医療の現場において光をさす作品として残っていくことを願う。


※山崎賢人の「崎」は「たつさき」が正式表記


(大和田茉椰)