2018年09月14日 11:03 弁護士ドットコム
「お~い!違法アップロードされてるエロ動画を見るやつ~!やめとき~!」
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沖縄で活動しているお笑いコンビ「リップサービス」の榎森耕助さん(30)が扮するキャラクター「せやろがいおじさん」がこのように叫ぶ。そんな動画が7月下旬にネット上に投稿された。ツイッター上で22万回以上、YouTube上で1万4000回以上も再生されており、話題となっている。
沖縄の美しい海を背景にしながら、榎森さんは「みんなが違法アップロードされてるエロ動画を見るようになったらAV業界は終わってしまうんや!」「そうなったら美人の裸を見るには直接交渉するしかなくなるんやで!」「こんな素晴らしい時代を終わらせたくないんや!」とまくし立てるように訴えている。
(動画)違法アップロードされたエロ動画を見るやつに一言【せやろがいおじさん】https://youtube.owacon.moe/watch?v=_j1T-5_9kT4
榎森さんによると、この動画をツイッターに投稿したところ、AV女優や監督、制作会社の人たちなど、業界関係者から「よくぞ言ってくれた」という内容のコメントが寄せられるなど、大きな反響があったという。漫画やアニメの違法アップロードが社会問題となる中、どうして、AVにスポットをあてた動画をつくったか。榎森さんに聞いた。
――この動画をつくったきっかけは?
リップサービスの動画を違法アップロードしている人がいて、最近になって、その人にコンタクトをとる機会がありました。それで、「やめてくれませんか」と伝えたら、そのときは「わかりました」と返事がありました。ところが後日、ふたたび違法アップロードされていたんです。
やっぱり、作り手に1円も利益が入ってこないのが、ダメですね・・・。漫画やアニメにくらべたら規模は小さいかもしれないですが、自分の判断が及ばないところで勝手に使われて、何も還元されないのはおかしいと思います。
――なぜ「AV」だったのでしょうか?
近ごろ、「漫画村」など、海賊版サイトの問題が、大手メディアに大きくとりあげられています。そんな中、AV業界も、違法アップロードで打撃を受けていると聞きました。AVはアングラなだけに、大手メディアもとりあげていない、という印象です。それで、誰かが声をあげたほうが「ええやろがい」と。
――AVに対する特別な思い入れがあったのでしょうか?
動画の中でも言っていますが、むちゃくちゃ美人な人たちが、自分たちの身体という資本を使って、人生をかけて作品を作ってくれているおかげで、僕たちは作品を楽しめています。それに対する感謝から、何かしらのかたちで返せないかと。彼女たちのがんばりをゼロにしてしまうような違法アップロードに誰か物申していいのではないかと。
――漫画やアニメの海賊版サイトについてはどう思いますか?
まったく一緒の問題だと思います。漫画もめちゃくちゃ好きです。だから、「漫画村」が登場したとき、本格的にヤバイ流れになってきたと思いました。あのまま続いていたらダメだったと思います。だから、運営者をぜったいに捕まえられるように法整備してほしい。「このビジネスモデルは成立しないんだ」ということがわかれば、漫画・アニメ業界だけじゃなく、すべての業界の違法アップロードの牽制になると思います。
――ネットのユーザーに考えてほしいことは?
「その業界がなくなって困るのは誰ですか」「ブーメランになって自分に返ってきますよ」「なくなってしまってからではもう遅いですよ」と言いたいですね。ネット上で、手軽に動画が見えるようになりましたが、ネットはまだまだ黎明期だと思います。要するに、原始時代です。ご飯でたとえるなら、手づかみで食べているような状況です。だからこそ、学校の授業でも、著作権の大切さを教えて、しっかりとコンテンツにお金を払って楽しむのが大事だと教えてほしい。現代日本人が箸やスプーンでご飯を食べるように。
(弁護士ドットコムニュース・山下真史)
(弁護士ドットコムニュース)